ノバルティス、「ファビハルタ®カプセル200mg」のC3腎症に対する効能または効果の追加承認を取得―C3腎症の根本原因を標的とする最初で唯一の治療薬―
プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
- ファビハルタはC3腎症の根本原因と考えられる補体第二経路を標的として阻害する唯一の経口補体阻害薬1,2
- C3腎症は非常に稀な腎疾患であり、主に若年成人で診断され、患者さんの約半数は10年以内に腎不全に進行1,2,3
- 国際共同第III相試験では、ファビハルタは尿蛋白の減少を12ヵ月時点でも持続させ、良好な安全性プロファイルを示した4
ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジョンポール・プリシーノ、以下「ノバルティス ファーマ」)は、本日、「ファビハルタ®カプセル200mg」(一般名:イプタコパン塩酸塩水和物、以下「ファビハルタ」)について、C3腎症に対する効能または効果の追加承認を取得したことをお知らせします。
ファビハルタは、C3腎症に対して初めて承認された治療薬で、C3腎症の根本原因と考えられる補体第二経路の過剰活性化を阻害します1,2。ファビハルタは、過剰活性化に関係する補体B因子を選択的に結合して阻害し、C3転換酵素の活性を直接阻害します。これにより、第二経路の過剰活性化を阻害し、C3の分解、増幅回路の阻害、C3フラグメントの生成および糸球体への沈着を抑制することにより、C3腎症に対する治療効果が期待されています5。
今回の承認について、ノバルティス ファーマの代表取締役社長であるジョンポール・プリシーノは次のように述べています。「今回の承認はC3腎症における治療パラダイムを大きく転換し、患者さんの人生に希望をもたらすだけでなく、当社の腎臓領域における画期的なパイプラインの展開にとって歴史的な第一歩となります。腎移植から始まった40年の知見を活かし、今回の追加承認を皮切りにこれからもアンメットニーズが高い腎疾患に革新的な治療をお届けしてまいります」。
C3腎症について
C3腎症は非常に稀な進行性の腎疾患であり、主に若年成人で診断されます1,2,3。世界的にC3腎症を新たに発症する人は毎年100万人あたり約1~2人と推定されています2。日本において、C3腎症の患者数に関する正確な疫学情報はまだありませんが、C3腎症は約1,000人の患者さんがいる膜性増殖性糸球体腎炎に含まれ、指定難病の一つとされています6。
C3腎症では、免疫系の一部である補体第二経路が過剰に活性化することにより、腎糸球体(老廃物をろ過し、血液から余分な水分を除去する血管網)にC3という蛋白質が沈着します3,7。そして炎症および糸球体損傷が誘発され、蛋白尿、血尿および腎機能低下が引き起こされます3,8。
ファビハルタが承認される以前、C3腎症患者さんは支持療法、広範な免疫抑制療法、症状管理に頼らざるを得ませんでした10,11。患者さんの約半数が診断から10年以内に腎不全が進行し、生涯にわたる透析または腎移植が必要となります1,9。
- 疾患啓発サイト「腎援隊:C3腎症患者さんとそのご家族向け情報サイト」
https://jinentai.com/dse-c3g/index.html
APPEAR-C3G試験について
今回の承認は国際共同第III相試験(APPEAR-C3G試験)の結果に基づくものです。本試験は、腎移植を受けたことのない74名のC3腎症患者(日本人4名を含む)を対象にファビハルタ200mgの1日2回経口投与の有効性および安全性を評価する多施設共同、無作為化、二重盲検、並行群間、プラセボ対象試験です4,12。成人患者が支持療法に加えてファビハルタまたはプラセボに1:1の割合で無作為化された6ヵ月間の二重盲検投与期と、それに続いてすべての患者(二重盲検投与期にプラセボを投与された患者を含む)にファビハルタを投与する6ヵ月間の非盲検投与期で構成されています。
二重盲検投与期の主要評価項目である投与6ヵ月時の24時間蓄尿による尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)のベースラインに対する比(幾何平均値)において、ファビハルタはプラセボと比べて35.1%の減少を示し、プラセボに対する優越性が検証されました4。また、ファビハルタは、投与14日時点の早期から尿蛋白の減少が認められ、12ヵ月時点でも持続していたことが確認されました4。同様に、非盲検投与期間において、プラセボからファビハルタに切り換えた患者でも尿蛋白の減少が見られました4。
ファビハルタ(一般名:イプタコパン塩酸塩水和物)について
ファビハルタは、補体第二経路B因子と結合してその活性を阻害することで、C3転換酵素の活性を阻害して第二経路の活性化を阻害する作用機序を有する経口の補体B因子阻害剤です。当社で開発されたファビハルタは、2023年に米国で発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として承認され、2024年に欧州および日本でも同治療薬として承認されました。2024年に米国で進行リスクの高い成人原発性IgA腎症患者の尿蛋白減少に対する適応で承認されました。また、2025年3月に米国で、4月に欧州および中国で、5月に日本でC3腎症に対するの最初の治療薬として承認されました。
腎疾患におけるノバルティスの取り組み
ノバルティスは、腎移植から始まった40年の知見を基に、腎臓の健康における画期的な進展を促進し、特にアンメットニーズの高い腎疾患に対する革新的な治療の探索を使命としています。これらの疾患はこれまでにファンディングや研究が十分に行われず、治療の多くが対症的な、または末期の疾患管理に比重を置き、しばしば多大な身体的、精神的、経済的な負担がかかっていました。ノバルティスのパイプラインは疾患の根本原因を標的として、腎臓の健康を守り、透析や移植への移行を遅らせるまたは防ぐことを目指しています。ノバルティスの目標は、患者さんが職場や学校、愛する人たちと過ごす生活を取り戻すことです。患者さんやアドボケート(擁護者)、医師、政策立案者と連携して、疾病の認知度を高め、診断を迅速化し、患者さんが早期に適切な治療が受けられるよう取り組みます。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼルに本拠を置く革新的医薬品のグローバル製薬企業ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実した健やかな毎日のために、「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。
詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.co.jp
ノバルティス ファーマ株式会社のソーシャルメディアもご覧ください。 Facebook LinkedIn Youtube
以上
参考文献
- Martín B, Smith RJH. In: Adam MP, Feldman J, Mirzaa GM, et al., editors. C3 Glomerulopathy. GeneReviews® [Internet]. Updated 2018. University of Washington, Seattle; 1993-2024. Available from: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK1425/. Accessed March 2025.
- Schena FP, Esposito P, Rossini M. A Narrative Review on C3 Glomerulopathy: A Rare Renal Disease. Int J Mol Sci. 2020; 21(2):525.
- Caravaca-Fontán F, Lucientes L, Cavero T, Praga M. Update on C3 Glomerulopathy: A Complement-Mediated Disease. Nephron. 2020; 144(6):272-280.
- Smith RJ, Kavanagh D, Vivarelli M, et al. Efficacy and safety of iptacopan in patients with C3 glomerulopathy: 12-Month results from the Phase 3 APPEAR-C3G study. Presented at American Society of Nephrology (ASN) Kidney Week 2024; October 23-27, 2024; San Diego, CA.
- Schubart A, Anderson K, Mainolfi N, et al. Small-molecule factor B inhibitor for the treatment of complement-mediated diseases. Proc Natl Acad Sci U S A. 2019; 116(16):7926-7931.
- 難病情報センター「一次性膜性増殖性糸球体腎炎(指定難病223)」(https://www.nanbyou.or.jp/entry/4423、2025年3月17日情報取得)
- Ravindran A, Fervenza FC, Smith RJH, Sethi S. C3 Glomerulopathy Associated with Monoclonal Ig is a Distinct Subtype. Kidney Int. 2018; 94(1):178-186.
- Medjeral-Thomas NR, O'Shaughnessy MM, O'Regan JA, et al. C3 Glomerulopathy: Clinicopathologic Features and Predictors of Outcome. Clin J Am Soc Nephrol. 2014; 9(1):46-53.
- Smith RJH, Appel GB, Blom AM, et al. C3 Glomerulopathy – understanding a rare complement-driven renal disease. Nat Rev Nephrol. 2019; 15(3):129-143.
- Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Glomerular Diseases Work Group. KDIGO 2021 Clinical Practice Guideline for the Management of Glomerular Diseases. Kidney Int. 2021;100(4S):S1-S276. doi:10.1016/j.kint.2021.05.021
- National Kidney Foundation. Treatment for C3G. National Kidney Foundation. Available from: https://www.kidney.org/kidney-topics/treatment-c3g. Accessed February 2025.
- 社内資料:国際共同第III相試験(APPEAR-C3G試験)(CTD2.7.6-4.1.1)
<参考資料>
ファビハルタ®カプセル200mgの製品概要
製品名:
ファビハルタ®カプセル200mg(FABHALTA® capsules)
一般名:
イプタコパン塩酸塩水和物
効能または効果*(下線部が今回追加):
〇発作性夜間ヘモグロビン尿症
〇C3腎症
用法及び用量*:
通常、成人にはイプタコパンとして1回200mgを1日2回経口投与する。
承認取得日:
2025年5月19日
製造販売:
ノバルティス ファーマ株式会社
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