大切なのは患者さんの選択を支えること

大切なのは患者さんの選択を支えること

大切なのは患者さんの選択を支えること


「日本の病院でもスピリチュアルケアを提供したい」と帰国。現在は大学をはじめさまざまな組織で教えたり、スピリチュアルケアの専門職を養成する活動を続けている。

日本でスピリチュアルケアに関心が高まったのは、ホスピスなど終末期の心のケアがきっかけだったが、伊藤さんは「急性期の医療現場でも必要性を感じています」と話す。
「インフォームドコンセントという言葉は、『説明と同意』と訳されがちですが、本来は説明を受けた上で同意することです。つまり、主語は患者さん。説明されたことを理解し自分の人生に照らし合わせて考え、納得し、消化し、それからでなければ同意はできません。診断され、説明を受けてから、自分の価値観や家族との関係、生活の現状などさまざまなことを考えて自己決定しなければならない患者さんには、その決断に寄り添うスピリチュアルケアが重要だと思うのです」

日本でも、少数のキリスト教系の病院にはチャプレンがいる。現在、スピリチュアルケアを提供する施設も少しずつ増えている。

大切なのは患者さんの選択を支えること

「チャプレンなど、スピリチュアルなケアを担う存在が、特にがん診療連携拠点病院にかならず一人はいることが当たり前になればいいですね。もっと言えば、病院に雇用されている立場では病院側に立った物の言い方しかできないこともあるので、より中立的な立場でいられればと思います。たとえばアメリカでは、地域住民が財団をつくって病院に一人分の給料を寄付し、チャプレンを置いているケースがあります。日本でも、自分たちに必要なケアや必要な職種を、患者さんたちが主体的に持ち込むという動きが出れば、と期待しています」

医療という客観的なデータを重視する場で、データからはこぼれ落ちる患者さんの物語を聴き、患者さんが行った選択・決断の"証人"になるチャプレン。自分が悩み、迷い、選択することを見ていてくれる人がいる―そう思えることで、「患者」としてではなく、一人の人間として歩むことができるのではないか。

(2014年5月)


Source URL: https://prod1.novartis.com/jp-ja/the-important-thing-support-patients-choice

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