痛みに寄り添う

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痛みに寄り添う

川越さんのクリニックを訪れるのは、現代医療では治らないと言われ、それまで信頼して治療を託していた主治医のもとをつらい気持ちを抱えて去った患者さんばかりだ。末期がんの場合、平均的な在宅療養期間は2カ月ほど。なかには最初に相談のために外来を訪れて、1週間、あるいは3日で亡くなる方もいる。

その長くはない期間で信頼関係を築いて、最終的には患者さんを看取った家族と「(納得のいく最期を迎えられて)よかったですね」「ありがとうございます」という会話ができるほどに、「残された日々が豊かになるように支える」のが川越さんの仕事だ。そのためには、「患者さんの苦しみに踏み込まなければいけない」と言う。

あるとき、50代の乳がん末期の患者さんがクリニックを訪れた。秘書として働き、独身生活を楽しんでいた40代後半にがんが見つかり、がんに立ち向かう治療を拒否して緩和ケアを希望された患者さんだ。最初に相談外来に来られた時、その患者さんはボロボロと涙を流された。突然、命の終わりが目前に迫ってきたことを受け入れられずにいたからだ。「そういう方には時間をかけて、その苦しみに寄り添って支えなければいけません」と川越さん。

人の気持ちには波がある。たとえ、一旦は病気を受け入れたかのように見えても、状況が変わり、たとえば体力が低下して仕事が続けられなくなったりすれば、やはり悲しい。「その患者さんも、秘書の仕事を辞め、『自分は何のために生きているんだろう』と、まさにスピリチュアルな痛みで苦しんでおられました。そうすると身体にも影響があり、痛みが強くなるのです」。さまざまな痛みを取り除く手伝いをし、支えるのもホスピスケアだ。

先の患者さんに対しては、身体的な痛みを緩和することはもちろんのこと、「パリアンでボランティアをされませんか?」と提案した。この患者さんは幸運にも元気になって、最初に相談外来を訪れてから4年経った今でもボランティアとして手伝ってくれている。


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