普段からの口腔ケアを

普段からの口腔ケアを

普段からの口腔ケアを


杉浦さんが普段、患者さんと接するときやセルフケアの方法を説明するときに心がけているのが、「相手のできていないこと、苦手なことを見つけて触れることはしないようにする。一方で、できていること、方向転換できそうなところを見つけ出して評価する」こと。

歯科医院に行って、「ほら、この部分がちゃんと磨けていませんよ」と指摘されたことはないだろうか?
「それではやる気がしなくなるでしょう。私だったら、反感をもつかもしれない」と杉浦さんは笑う。

「私は、まずきれいに磨いてさしあげて、気持ち良さを実感してもらうようにしています。そして、患者さん自身に磨いてもらって、『ここ、きれいに磨けていますね』といいところを評価し、達成感を味わってもらう。そうすることで少しでも前向きに取り組んでいただけると思うのです」

こうしたやり方は、杉浦さんが歯科衛生士になって初めて務めた歯科医院での経験が大きい。

「患者さんが元気になって帰る歯科医院だったんです。先生の技術だけではなく、先生のお人柄や話術もあったのだろうと思います。記憶にある限り、先生は、『ほら、こんなに細菌がついているよ』なんて言いませんでした。その人なりにがんばって磨いてきているのですから、患者さんのやる気を削ぐような言葉は絶対にかけない先生でしたね。そのせいか、うつむき加減でいらっしゃった患者さんが、会計の時には元気になっているんです。それが不思議で、大学の通信教育で1ヵ月の夏季スクーリングを利用したりして、10年間心理学を学んだこともあります。
働き始めて2年目の頃からですから、今となっては『先輩を差し置いて、よくお休みを下さいと言えたな』と思うんですが(笑)」

普段からの口腔ケアを

新人時代に開業医の先生に学んだこと、心理学を学んできたことは、今の杉浦さんの「患者さんに寄り添って、患者さんのモチベーションが上がるように励まし、フォローする」というスタイルにつながっている。

最後に杉浦さんは、「口の中はちょっとした身体の変化、環境の変化でトラブルが起きやすいところ。何かあったときにすぐに相談ができる"かかりつけの歯医者さん"を普段からもっておいてほしい」とメッセージを投げかける。

「今、歯科医院が増えているので、どこに行こうか逆に迷うかもしれませんが、自分に合った先生がきっといると思います。あるいは、お気に入りの歯科衛生士をみつけるのもいいかもしれません。今まで患者さんをみていて、やはり普段から定期的に歯科医院でチェックやケアを受けている方のほうが、がん治療が始まったあともトラブルが少ないと感じています」

口の中の状態と、がん治療__。一見、関係がなさそうに見えるかもしれないが、粘膜保護や口腔乾燥対策、口の中をきれいに保つことの重要性、さらには免疫力が著しく低下した時の口腔感染管理の重要性が、今、見直されている。そして、杉浦さんのように、それをサポートしてくれるプロフェッショナルも徐々に増えてきている。

(2013年6月)


Source URL: https://prod1.novartis.com/jp-ja/oral-care-from-usual

List of links present in page
  1. https://prod1.novartis.com/jp-ja/jp-ja/oral-care-from-usual
  2. https://prod1.novartis.com/jp-ja/jp-ja/node/14131/printable/print
  3. https://prod1.novartis.com/jp-ja/jp-ja/node/14131/printable/pdf