Jan 26, 2024

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

 

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2024年1月8日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。​

  •    ASC4FIRST試験は統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果を示し、両方の主要評価項目を達成。セムブリックス®(アシミニブ塩酸塩)は、初発の慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)患者を対象として、標準治療であるTKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)と比較して、48週時点の優れた分子遺伝学的大奏効(MMR)率を示した1
  • 「セムブリックス®」は、良好な安全性および忍容性プロファイルを示し、標準治療であるTKIと比較して有害事象(AE)の発現頻度と治療中止が少なく、新たな安全性シグナルは認められなかった1
  • 現在の標準治療であるTKIでは、初発のCML患者の60%以上が1年時点で分子遺伝学的奏効の目標を達成できていない。既存治療に対する不耐容およびAEの発現がTKI治療中止の主な理由であり、5年目までのAEによる治療中止率は最大25%に達する2-13
  • 本試験データは、今後学会発表を予定しており、2024年に各国の規制当局へ申請を予定している。

2024年1月8日、スイス・バーゼル発 — ノバルティスは本日、初発の慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)患者を対象として、セムブリックス®錠(一般名:アシミニブ塩酸塩、以下、「セムブリックス」)を、医師選択のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)と比較するピボタル第III相ASC4FIRST試験の主要解析において、良好な結果を得たことを発表しました1。ASC4FIRST試験は、承認されている標準治療である第一世代および第二世代TKIと比較した最初で唯一の無作為化直接比較第III相試験です1
 

本試験では、医師選択のTKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)、及びイマチニブと比較した場合の「セムブリックス」の分子遺伝学的大奏効(MMR)率という両方の主要評価項目を満たし、両評価項目について統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果を示しました1。「セムブリックス」は、標準治療である医師選択のTKIと比較して、有害事象(AE)の発現頻度及び治療中止が少なく、良好な安全性および忍容性プロファイルを示しました1。ASC4FIRST試験のデータからは、これまでに確立された「セムブリックス」の安全性プロファイルと比較して、新たな安全性シグナルは示されませんでした1,14

South Australian Health & Medical Research Institute(SAHMRI)の教授Tim Hughes医学博士は、次のように述べています。「初発の慢性骨髄性白血病(CML)患者さんのかなり多くが治療目標を達成していないことを考えると、これらの結果は非常に勇気づけられます。現在のCMLの一次治療では、忍容性の高い治療選択肢に対するニーズが依然として存在しており、CML患者にとって治療と生活の質のバランスをとることが望まれます」。

治療の向上によりCMLは慢性疾患へと変化し、平均寿命も一般集団と同程度となっていることから、忍容性は重要な治療目標となっています9。CML患者の多くは既存のTKI治療の恩恵を得られる可能性がありますが、TKI治療の主な中止理由は依然として不耐容と有害事象で、有害事象による治療中止率は5年で最大25%に達します2-6。さらに、初発のCML患者の60%以上が12ヵ月時点の分子遺伝学的奏効の目標を達成できていません5-13

ノバルティスの開発本部のプレジデント兼チーフ・メディカル・オフィサーであるShreeram Aradhye医学博士は次のように述べています。「セムブリックスが、初発のCML患者さんの治療目標達成の後押しをしてくれる可能性に胸を高鳴らせています。慢性疾患であることを考慮すると、多くの場合患者さんはTKI治療を長期間受ける必要があるため、忍容性が良好で、有効性が高い治療選択肢はアドヒアランスを高めるために極めて重要です。本試験結果は、20年にわたるCMLに対するイノベーションの成果であり、私たちは引き続きこの血液がんとともに生きる人々のアンメットニーズに対応できるよう努めてまいります」。

本試験は継続中で、次回の解析は96週時点に予定しており、主な副次評価項目(96週時点のMMR)およびその他の副次評価項目を評価する予定です。

詳細については今後学会で発表を予定しており、2024年の規制当局への承認申請資料にも含められる予定です。  

ASC4FIRST第III相試験について 

ASC4FIRST試験(NCT04971226)は、初発のPh+ CML-CP成人患者405名を対象に、経口セムブリックス®錠(80 mg 1日1回)と、医師選択の第一世代または第二世代のTKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、またはボスチニブ)を比較する第III相、直接比較、多施設共同、非盲検、無作為化試験です1。本試験の2つの主要評価項目は、48週時点でMMRを達成した被験者の割合を指標として「セムブリックス」と医師選択のTKIの有効性を比較すること、およびランダム化前にイマチニブが選択された被検者層で、「セムブリックス」と医師選択のTKIの有効性を比較することです1。本試験は現在も継続中であり、主な副次評価項目は96週時点でMMRを達成した被験者の割合で、安全性に関する評価項目は96週時点までの有害事象による治験薬の投与中止までの期間(TTDAE)です。本試験では、その他の安全性および有効性の副次評価項目も評価します。これらの副次評価項目には、予定されているすべてのデータ収集時点および収集時点までのMMR、MR4、MR4.5、血液学的完全奏効(CHR)、BCR::ABL1 ≤ 1%の他、最初のMMR、MR4およびMR4.5までの期間とそれらの持続期間、治療成功期間、無イベント生存期間、Failure-free survival、無増悪生存期間、全生存期間が含まれます1

「セムブリックス」(一般名:アシミニブ塩酸塩)について 
「セムブリックス」は、ABLミリストイルポケットを特異的に標的とすることにより作用する最初のCML治療薬であり15,16、特異性が高く、キナーゼ媒介のオフターゲット効果を最小限に抑えるようにデザインされており、現在の標準治療と比較して改善された安全性と忍容性のプロファイルを示します。

「セムブリックス」は、2剤以上のTKIによる治療歴があるPh+ CML-CPの成人患者の治療を目的として、日本、米国およびEUを含む60ヵ国以上で承認されています14,19。米国を含む一部の国では、「セムブリックス」はT315I変異を有するPh+ CML-CP患者に対しても承認されています2-14,18,19

「セムブリックス」は現時点で利用可能なTKI治療に抵抗性や不耐容を示す患者にとって重要な治療選択肢となる可能性があります。現在、本剤は、Ph+ CML-CPの複数の治療ラインで単独療法と併用療法の両方について試験が実施されています15-18,20-33

* 2剤以上のTKIによる治療歴のあるPh+CML-CPに対する80 mg 1日1回投与、およびT315I変異を有するPh+ CML-CPに対する200 mg 1日2回投与ついては、日本では未承認。

CMLに対するノバルティスの取り組みについて

ノバルティスは、CMLで苦しむ患者さんに対して長年にわたって科学的な取り組みを行っています。ノバルティスの20年以上にわたる研究開発により、多くの患者さんにとって、この疾患は致死的な白血病から慢性疾患へと変化しました。このような進歩のなかで、ノバルティスは現在も歩み続けています。今後も、この疾患に対する治療法を追求し、治療効果の目標を達成できずに多くの患者さんが直面する治療抵抗性や不耐容という課題に取り組んでまいります。これまで培ってきたものは、将来のイノベーションの原動力となります。ノバルティスは引き続き、CMLにおける深刻なアンメットニーズに対処するための新薬開発を先導していきます。このコミットメントは科学を超えるものです。Max Foundationとの提携により、低中所得国の患者さんに対し20年以上前からグリベック、タシグナ、そして現在では「セムブリックス」へのアクセスを提供し、現在までに9万人の患者さんを支援してきました。

免責事項 

本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。

ノバルティスについて  

ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日が過ごせるため「医薬の未来を描く (Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で2.5億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com 
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 以上

参考文献 

  1. Novartis Data on File, 2024. 
  2. Cortes JE, et al. Long-term bosutinib for chronic phase chronic myeloid leukemia after failure of imatinib plus dasatinib and/or nilotinib. Am J Hematol. 2016;91(12):1206-1214.   
  3. Garg RJ, et al. The use of nilotinib or dasatinib after failure to 2 prior tyrosine kinase inhibitors: long-term follow-up. Blood. 2009;114(20):4361-4368. 
  4. Steegmann JL., et al. European LeukemiaNet recommendations for the management and avoidance of adverse events of treatment in chronic myeloid leukaemia. Leukemia. 2016;30:1648-1671. 
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  6. Cortes JE., et al. Final 5-Year Study Results of DASISION: The Dasatinib Versus Imatinib Study in Treatment-Naïve Chronic Myeloid Leukemia Patients Trial. J Clin Oncol. 2016;34:2333-2340.   
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  8. Cortes JE, et al. Ponatinib efficacy and safety in Philadelphia chromosome–positive leukemia: Final 5-year results of the phase 2 PACE trial. Blood. 2018;132(4):393-404.   
  9. Hochhaus A, et al. European LeukemiaNet 2020 recommendations for treating chronic myeloid leukemia. Leukemia. 2020;34:966-984.   
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  17.  Schoepfer J, et al. Discovery of Asciminib (ABL001), an Allosteric Inhibitor of the Tyrosine Kinase Activity of BCR-ABL1. J Med Chem. 2018;61(18):8120-8135. 
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  20. Wylie AA, et al. The allosteric inhibitor ABL001 enables dual targeting of BCR–ABL1. Nature. 2017;543(7647):733-737. 
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  22. Hughes TP, et al. Expanded Phase 1 Study of ABL001, a Potent, Allosteric Inhibitor of BCR-ABL, Reveals Significant and Durable Responses in Patients with CML-Chronic Phase with Failure of Prior TKI Therapy. Poster presented at: ASH Annual Meeting & Exposition; Dec. 5, 2016. 
  23. Ottmann OG, et al. ABL001, a Potent, Allosteric Inhibitor of BCR-ABL, Exhibits Safety and Promising Single- Agent Activity in a Phase I Study of Patients with CML with Failure of Prior TKI Therapy. Blood. 2015;126(23):138. 
  24. Mauro MJ, et al. Combination of Asciminib Plus Nilotinib (NIL) or Dasatinib (DAS) in Patients (PTS) with Chronic Myeloid Leukemia (CML): Results from a Phase 1 Study. Poster presented at: EHA Annual Meeting; June 15, 2019. 
  25. Cortes JE, et al. Combination Therapy Using Asciminib Plus Imatinib (IMA) in Patients (PTS) with Chronic Myeloid Leukemia (CML): Results from a Phase 1 Study. Poster presented at: EHA Annual Meeting; June 15, 2019. 
  26. Manley P., et al. The specificity of asciminib, a potential treatment for chronic myeloid leukemia, as a myristate-pocket binding ABL inhibitor and analysis of its interactions with mutant forms of BCR-ABL1 kinase. Leukemia Research. 2020;98. 
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  32. ClinicalTrials.gov. 2014. A Phase I Study of Oral ABL001 in Patients With CML or Ph+ ALL. [online] Available at:  https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02081378.
  33. ClinicalTrials.gov. 2021 Asciminib Treatment Optimization in ≥ 3rd Line CML-CP. [online] Available at:  https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04948333.

 

ノバルティスの「セムブリックス®」、初発の慢性骨髄性白血病患者を対象とした第III相試験で標準治療であるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)よりも優れた分子遺伝学的大奏効(MMR)率を示す(PDF 452KB)​