プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2024年1月19日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。
- 第III相NETTER-2試験では、新たに診断されたグレード2および3の進行性膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)患者において、高用量のオクトレオチド長時間作用型(LAR)群の無増悪生存期間(PFS)の中央値が8.5ヵ月であったのに対し、ルタテラとオクトレオチドLARの併用群は22.8ヵ月に有意に延長1
- NETTER-2試験は、一次治療における放射性リガンド療法(RLT)の肯定的な結果を示した最初で唯一の第III相試験であり、治療早期ラインにおけるRLTが有望な治療法であることを示した
- 放射性リガンド療法のリーディングカンパニーであるノバルティスは、GEP-NETに加えて、肺がん、前立腺がん、乳がん、大腸がん、膠芽腫、膵臓がんなどの進行がんを対象とした幅広いRLTのポートフォリオを検討し、患者さんのために医薬品の概念の再構築を継続
2024年1月19日、バーゼル発 – ノバルティスは本日、ソマトスタチン受容体陽性(SSTR+)かつ高分化型(グレード2および3)の進行性膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)患者さんを対象とした第III相NETTER-2試験のデータにおいて、一次治療としてのルタテラ®(国際一般名称 (INN): lutetium (177Lu) oxodotreotide/米国一般名(USAN):lutetium Lu 177 dotatate/一般的名称: ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu) )と長時間作用型(LAR)オクトレオチドの併用投与が、高用量オクトレオチドLARの単独投与と比較して、疾患進行または死亡のリスクを72%軽減したことを発表しました1。本データは2024年米国臨床腫瘍学会(ASCO)消化器がんシンポジウムで発表されました。
トロント大学医学部准教授であり、カナダ・オンタリオ州のサニーブルック健康科学センターにあるオデットがんセンターのSusan Leslie Clinic for Neuroendocrine Tumoursの共同設立者Simron Singh博士は次のように述べています。「ルタテラに関するこれらの肯定的な結果は、診療に変化をもたらすものであり、重要なアンメットニーズを抱える患者さんに対して新たな一次治療のデータを提供するものです。本試験では、これら進行性GEP-NETと新たに診断された患者さんに対する一次治療としての放射性リガンド療法の臨床的ベネフィットが確認されました。本結果により、このような生命を脅かすがん患者さんに対する一次治療としてのルタテラの使用について、医師の信頼が得られるはずです」
有効性評価項目1 | ルタテラ + オクトレオチドLAR vs. 高用量オクトレオチドLAR |
無増悪生存期間(以下、PFS) | HR: 0.28(95% CI:0.18、0.42;p < 0.0001) |
PFSの中央値(月) | 22.8ヵ月(95% CI:19.4~推定不能)vs. 8.5ヵ月(95% CI:7.7~13.8) |
客観的奏効率(ORR)* | 43%(95% CI:35.0~51.3)vs. 9.3%(95% CI:3.8~18.3)、p < 0.0001 |
*RECIST 1.1を用いて評価
ノバルティスのオンコロジー開発部門のグローバルヘッドであるJeff Legosは次のように述べています。「本試験は、一次治療における放射性リガンド療法を検討し、肯定的な結果を得た初の第III相試験であり、全体的な有効性および安全性の結果は、これらの進行がんにおいてこれまで観察されてきた中でも最も臨床的に意義のある結果の一つであり、新たに診断された進行性GEP-NET患者さんの重大なアンメットニーズに応えるものです。この肯定的な結果は著しい進歩であるとともに、患者さんの転帰を改善するために、より早期の治療ラインまたは早期の病期において放射性リガンド療法を研究開発するというノバルティスの戦略を再確認するものです。」
本試験において、新たな安全性所見は認められず、既に確立されたルタテラの安全性プロファイルと一貫しています1。ルタテラ群のほとんどの患者さん(88%)は、4サイクルのルタテラ投与を完了しました。ルタテラ群と対照群との比較において最もよく見られた(20%以上)全グレードの有害事象(AE)は、悪心(27.2% vs 17.8%)、下痢(25.9% vs 34.2%)、腹痛(17.7% vs 27.4%)であり、最もよく見られたグレード3以上のAE(5%以上)はリンパ球数の減少(5.4% vs 0%)でした。
NETは全身の神経内分泌細胞に由来するがんの一種であり、一般的に進行の遅い悪性腫瘍であると考えられています。しかし、一部のNETは急速に進行して予後不良となることがあり、進行するまで診断されない実情もあります2-4。NETは希少疾患ですが、その発症率はこの数十年で上昇しており2-5、新たに診断された患者さんに対する治療選択肢の研究を継続していく必要があります。
NETTER-2試験は、全生存期間および長期安全性を含む副次的評価項目をさらに評価するために進行中です。
NETTER-2について
NETTER-2試験(NCT03972488)は、一次治療としてルタテラとオクトレオチドLARを併用投与した場合に、増殖が速い腫瘍(グレード2および3)を有する患者さんにおいて、高用量(60 mg)の長時間作用型オクトレオチドによる治療と比較して無増悪生存期間(PFS)を延長できるかどうかを評価する非盲検、多施設共同、無作為化、実薬対照比較第III相試験です6。対象患者は、登録前6ヵ月以内にSSTR陽性の進行性GEP-NETと診断された患者さんです6。
ルタテラ®について
ルタテラ®(国際一般名称 (INN): lutetium (177Lu) oxodotreotide/米国一般名(USAN):lutetium Lu 177 dotatate/一般的名称: ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu))は、前腸、中腸、後腸のGEP-NETを含むSSTR陽性のGEP-NETを有する成人患者さんを適応として米国で承認されており、NETTER-2試験の集団が含まれます。ルタテラはまた、欧州では切除不能または転移性高分化型(グレート1および2)SSTR陽性の進行性GEP-NETの成人患者7,8、日本では「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」を効能又は効果として承認されています。
ノバルティスおよび放射性リガンド療法(RLT)について
ノバルティスは、進行がん患者に対する放射性リガンド療法(RLT)により、がん治療のあり方を刷新しつつあります。RLTは、放射線のエネルギーを利用し、進行がんに応用することで、理論的には体内のいろいろな部位に存在する標的腫瘍細胞に対し放射線を照射することができます9,10。
ノバルティスでは、RLTの幅広いポートフォリオを検討し、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)や前立腺がんに留まらず、乳がん、大腸がん、肺がん、膵臓がんを対象に、新規アイソトープ、リガンド、併用療法を探索しています。
ノバルティスは、確立されたグローバルな専門知識とノバルティスネットワーク全体にわたるサプライチェーンおよび製造能力により、RLTに対する需要の拡大に対応しています。ノバルティスの製造能力は拡大を続けており、現在では米国のミルバーン、スペイン・サラゴサ、イタリア・イブレアの施設に加え、米国のインディアナポリスに最新の製造施設があります。直近では、日本と中国の患者さんに対するRLTを製造するために、日本の篠山と中国の浙江省海塩県で製造能力を拡大し、新たな供給地点を構築する計画を発表しました。ノバルティスは、世界中の製造能力を拡大するためのさらなる機会を継続的に評価しています。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日が過ごせるため「医薬の未来を描く (Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で2.5億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
ノバルティスのソーシャルメディアもご覧ください。 Facebook LinkedIn X/Twitter Instagram
以上
参考文献
- Novartis Data on File.
- Man D, Wu J, Shen Z, Zhu X. Prognosis of patients with neuroendocrine tumor: a SEER database analysis. Cancer Manag Res. 2018;10:5629-5638. Published 2018 Nov 13. doi:10.2147/CMAR.S174907Dasari.
- A, Shen C, Halperin D, Zhao B, Zhou S, Xu Y, Shih T, Yao JC. Trends in the Incidence, Prevalence, and Survival Outcomes in Patients With Neuroendocrine Tumors in the United States. JAMA Oncol. 2017; doi:10.1001/jamaoncol.2017.0589.
- Frilling A, Åkerström G, Falconi, M, et al. Neuroendocrine tumor disease: an evolving landscape. Endoc Related Cancer. 2012; 19: R163-815.
- Lawrence B, Gustafsson BI, et al. The Epidemiology of Gastroenteropancreatic Neuroendocrine Tumors. Endocrinol Metab Clin N Am. 2011; 40:1–18.
- ClinicalTrials.gov. NETTER-2 (NCT03972488). Study to Evaluate the Efficacy and Safety of Lutathera in Patients With Grade 2 and Grade 3 Advanced GEP-NET (NETTER-2). Accessed January 2024.
- Lutathera. Full Prescribing Information. 2018. Revised March 2023. https://www.novartis.com/us-en/sites/novartis_us/files/lutathera.pdf.
- Lutathera. Summary of Product Characteristics (SmPC). 2018. Revised February 2023. https://www.ema.europa.eu/en/documents/product-information/lutathera-epar-product-information_en.pdf.
- Jadvar H. Targeted radionuclide therapy: an evolution toward precision cancer treatment. AJR Am J Roentagenol. 2017;209(2);277-288.
- Jurcic JG, Wong JYC, Knoc SJ, et al. Targeted radionuclide therapy. In: Tepper JE, Foote RE, Michalski JM, eds. Gunderson & Tepper’s Clinical Radiation Oncology. 5th ed. Elsevier, Inc. 2021;71(3):209-249.
ノバルティスのルタテラ®、進行性膵消化管神経内分泌腫瘍患者の一次治療として、疾患進行または死亡のリスクを有意に72%低下(PDF 782KB)