プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2024年5月31日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい
- 第III相ASC4FIRST試験は統計学的に有意かつ臨床的に意義のある結果を示し、両方の主要評価項目を達成した。セムブリックス®(アシミニブ)は、48週時点の分子遺伝学的大奏効(MMR)率に関して、医師選択の標準治療TKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)(67.7%対49.0%)およびイマチニブ(69.3%対40.2%)と比較して、優れた有効性を示した1
- 「セムブリックス」は、良好な安全性および忍容性プロファイルを示し、イマチニブおよび第二世代TKIと比較して、グレード3以上の有害事象(AE)の発現率および用量調節が少なく、投与中止に至ったAE発現率も半分であった1
- TKIによりCML治療は大きく進歩したが、多くの初発のCML患者は治療目標を達成できておらず、また不耐容のため多くの患者が治療を中止または変更しており、アンメットニーズは依然として存在している2-17
- 「セムブリックス」はFDAの画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy Designation)を受けており、申請は現在、同局のOncology Center of Excellence(OCE)のReal-Time Oncology Review(RTOR)プログラムのもとで審査中。データは欧州血液学会(EHA)でプレナリー として発表予定であり、現地時間の本日米国臨床腫瘍学会(ASCO)でレイトブレーキング・アブストラクトとして発表。
2024年5月31日、スイス・バーゼル発 — ノバルティスは本日、2024年ASCOでピボタル第III相ASC4FIRST試験の良好な結果をレイトブレーキング・アブストラクトとして発表します。セムブリックス®錠(一般名:アシミニブ塩酸塩、以下、「セムブリックス」)は、初発の慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)患者において、医師選択の標準治療であるチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)およびイマチニブと比較して、48週時点の優れた分子遺伝学的大奏効(MMR)率を示しました1。また、「セムブリックス」は、第二世代TKI(ニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブ)と比較して、48週時点のMMR率で数値的改善を示しました1。さらに、「セムブリックス」は、イマチニブおよび第二世代TKIと比較して、有害事象(AE)の発現率および投与中止が少なく、良好な安全性および忍容性プロファイルを示しました1。
South Australian Health & Medical Research Institute(SAHMRI)の教授Tim Hughes医学博士は、次のように述べています。「セムブリックスは、医師選択の標準治療TKIと比較して、有意に優れた有効性を示した初めてのCML治療薬です。セムブリックスは優れた奏効率と素晴らしい安全性および忍容性プロファイルを兼ね備えており、初発のCML患者さんが治療目標を達成することを後押ししてくれる、非常に有望な一次治療の選択肢となる可能性があります。」
追跡期間の中央値は、セムブリックス群で16.3ヵ月、医師選択の標準治療TKI群で15.7ヵ月でした1。セムブリックス群では、48週時点でMMRを達成した患者が、医師選択の標準治療TKI群より20%近く、イマチニブより30%近く多くなりました1。また、セムブリックス群では、医師選択の標準治療TKI群およびイマチニブよりも分子遺伝学的に深い奏効(MR4およびMR4.5)がより多くの患者で達成されました1。
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| 全体a | イマチニブ層b | 第二世代TKI層c |
主要評価項目 | 48週時点のMMR率 | 67.7% vs. 49.0% | 69.3% vs. 40.2% | – |
48週時点のMMR治療効果差 | 18.9% | 29.6% | – | |
調整済み片側p値 | <.001 | <.001 | – | |
副次評価項目d | 48週時点のMMR率 | – | – | 66.0% vs. 57.8% |
48週時点のMR4 | 39% vs. 21% | 43% vs. 15% | 35% vs. 26% | |
48週時点のMR4.5 | 17% vs. 9% | 18% vs. 5% | 16% vs. 13% |
a セムブリックス群(n=201)または医師選択の標準治療TKI群(n=204)のすべての患者。ランダム化前に選択されたTKIとベースラインのEUTOS long-term survival(ELTS)リスクグループで調整後の治療効果差。
b ランダム化前にイマチニブが選択された被験者層の203名は、セムブリックス(n=101)またはイマチニブ(n=102)による治療を受ける群にランダム化された。ベースラインのELTSリスクグループで調整後の治療効果差。
c ランダム化前に第二世代TKIが選択された被験者層の202名は、セムブリックス(n=100)または第二世代TKI(n=102:ニロチニブ48%、ダサチニブ41%、ボスチニブ11%)による治療を受ける群にランダム化された。
d 副次評価項目では統計学的有意性を示すために必要な検出力は設定されなかった。
初発の患者での安全性プロファイルはこれまでの臨床試験データと一致しており、新たな安全性上の懸念は認められませんでした1。セムブリックス群では、イマチニブおよび第二世代TKIと比較して、グレード3以上のAEの発現率とAEによる用量調節が少なく、投与中止に至ったAEの発現率も半分であることが示されました1。
| セムブリックス | イマチニブ | 第二世代TKI |
グレード3以上のAEa | 38% | 44% | 55% |
投与中止に至ったAEa | 5% | 11% | 10% |
用量調節/投与中断に至ったAEa | 30% | 39% | 53% |
a 1件以上のAEを発現した患者が対象。
ノバルティスの開発本部のプレジデント兼チーフ・メディカル・オフィサーであるShreeram Aradhye医学博士は次のように述べています。「CMLとともに生きる患者さんは、慢性疾患を管理しながら、意義のある治療効果を得られる有効で忍容性の高い治療選択肢を必要としています。ASC4FIRST試験の説得力のあるデータから、初発の成人患者さんにおいてセムブリックスが良好な安全性および忍容性プロファイルを維持しながら、標準治療よりも優れた結果を達成できる可能性が示されました。今回の結果は、セムブリックスがPh+CML-CPに対する検証された治療薬であることをさらに支持するものであり、当社は20年にわたるCMLに対するイノベーションの成果をもとに、引き続き研究を進めてまいります。」
CML患者の介護者、支援者であり、CML Advocates Networkで運営委員会会計を務めるGerald Clementsは次のように述べています。「CMLは慢性疾患であり、標準治療の副作用は患者にとって困難なものとなる場合があります。そのような副作用はしばしば患者の日常生活に影響を及ぼし、治療変更につながることも多くなります。長期的に忍容可能であり有効な治療には、重要なアンメットニーズが存在します。セムブリックスを初発の患者さんに届けられるようになることで、患者さんは治療開始の当初から日常生活を維持しつつ、非常に有効な治療を受ける機会を得る可能性があります。」
本試験は継続中で、次回の解析は96週時点に予定しており、主な副次評価項目(96週時点のMMR)およびその他の副次評価項目を評価する予定です18。
今回の結果は、FDAにOncology Center of ExcellenceのReal-Time Oncology Review(RTOR)プログラムを通じて申請されており、「セムブリックス」は画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy Designation)を受けています。また、6月には欧州血液学会(EHA)の2024年学術集会でプレナリーとして発表されます。
ASC4FIRST第III相臨床試験について
ASC4FIRST試験(NCT04971226)は、初発のPh+ CML-CP成人患者405名を対象に、経口セムブリックス®錠(80 mg 1日1回)と、医師選択の第一世代または第二世代のTKI(イマチニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、またはボスチニブ)を比較する第III相、直接比較(head-to-head)、多施設共同、非盲検、無作為化試験です18。本試験の2つの主要評価項目は、48週時点でMMRを達成した被験者の割合を指標として「セムブリックス」と医師選択の標準治療であるTKIの有効性を比較すること、およびランダム化前にイマチニブが選択された被検者層で、「セムブリックス」と医師選択のTKIの有効性を比較することです18。
本試験は現在も継続中であり、主な副次評価項目は96週時点でMMRを達成した被験者の割合で、安全性に関する評価項目は96週時点までの有害事象による治験薬の投与中止までの期間(TTDAE)です18。本試験では、その他の安全性および有効性の副次評価項目も評価します。これらの副次評価項目には、予定されているすべてのデータ収集時点および収集時点までのMMR、MR4、MR4.5、血液学的完全奏効(CHR)、BCR::ABL1 ≤ 1%の他、最初のMMR、MR4およびMR4.5までの期間とそれらの持続期間、治療成功期間、無イベント生存期間、治療成功生存期間、無増悪生存期間、全生存期間が含まれます18。
「セムブリックス」(一般名:アシミニブ塩酸塩)について
「セムブリックス」は、ABLミリストイルポケット(学術文献ではSTAMP阻害剤といわれる)を特異的に標的とすることにより作用する最初のCML治療薬です19-21。現在承認されているCML治療薬は、ATP結合部位を標的とする(ATP競合型)TKIです21。
「セムブリックス」は、2剤以上のTKIによる治療歴があるPh+ CML-CPの成人患者の治療として、日本、米国およびEUを含む70ヵ国以上で承認されています22-24。米国を含む一部の国では、「セムブリックス」はT315I変異を有するPh+ CML-CP患者に対しても承認されています23-25。
「セムブリックス」は、2剤のTKI治療に抵抗性や不耐容を示す患者にとって重要な治療選択肢となっています2-17。現在、本剤は、Ph+ CML-CPの複数の治療ラインで単剤療法と併用療法の両方について試験が実施されています18-20,24,26-38。
* 2剤以上のTKIによる治療歴のあるPh+CML-CPに対する80 mg 1日1回投与、およびT315I変異を有するPh+ CML-CPに対する200 mg 1日2回投与ついては、日本では未承認。
CMLに対するノバルティスの取り組みについて
ノバルティスは、CMLで苦しむ患者さんに対して長年にわたって科学的な取り組みを行っています。ノバルティスの20年以上にわたる研究開発により、多くの患者さんにとって、この疾患は致死的な白血病から慢性疾患へと変化しました。このような進歩のなかで、ノバルティスは現在も歩み続けています。今後も、この疾患に対する治療法を追求し、治療効果の目標を達成できずに多くの患者さんが直面する治療抵抗性や不耐容という課題に取り組んでまいります。これまで培ってきたものは、将来のイノベーションの原動力となります。ノバルティスは引き続き、CMLにおける深刻なアンメットニーズに対処するための新薬開発を先導していきます。このコミットメントは科学を超えるものです。Max Foundationとの提携により、低中所得国の患者さんに対し20年以上前からグリベック、タシグナ、そして現在では「セムブリックス」へのアクセスを提供し、現在までに10万人の患者さんを支援してきました。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日が過ごせるため「医薬の未来を描く (Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で2.5億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
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以上
参考文献
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