Nov 22, 2023

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:レオ・リー、以下「ノバルティス ファーマ」)は、本日、家族性高コレステロール血症および高コレステロール血症に対する国内初のLDLコレステロール(以下、「LDL- C」)低下siRNA(低分子干渉リボ核酸)製剤、「レクビオ®皮下注300mgシリンジ」(一般名:インクリシランナトリウム、以下「レクビオ」)を新発売しました。

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高コレステロール血症は、LDL-C値が 140 mg/dL 以上であることが診断基準と規定されており、虚血性心疾患、脳梗塞等を含む動脈硬化性心血管疾患(以下「ASCVD」)と密接に関連しています1
また、家族性高コレステロール血症はLDL-Cが血液中で高くなり、若いときから動脈硬化が進んで、血管が細くなったり詰まったりする遺伝性疾患で、特に心臓の血管(冠動脈)に影響が大きく、心筋梗塞や狭心症を引き起こします2

心疾患イベントを発症したことがあるなどのASCVD高リスクの患者さんは、厳格なLDL-C管理の必要がありますが、複数の脂質低下療法が利用可能であるにもかかわらず、LDL-C 管理に苦慮する患者さんも少なくありません。
レクビオは、モダリティの革新性から、一度の投与によってLDL-C管理を半年間維持することで、患者さんの利便性に寄与するだけでなく、厳密なLDL-C管理にも貢献できます。

また、これまでsiRNAという革新的技術は希少疾患にのみ使用されてきましたが、ノバルティスはこの革新的技術を希少疾患以外へも率先して広げ、医薬の未来を描き、医療をより良いものに変えていきます。

ノバルティス ファーマの代表取締役社長 レオ・リーは次のように述べています。
「これまでLDL-C管理に苦慮されてきた患者さんに、このレクビオという革新的な治療を新たな選択肢としてお届けできることを、大変嬉しく思います。
レクビオを使用できる患者さんは高コレステロール血症の中でも限られていますが、その中でより多くの患者さんの日常生活を豊かにすること、そしてご家族のご負担を減らすことができれば幸いです。
ノバルティスは、循環器病にフォーカスする企業として、レクビオのような高度な治療モダリティの開発とそのアクセスの確立に今後も取り組んでいきます。」

動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)とLDL-C管理

ASCVD は世界的に死因の第1 位であり3、国内においても心疾患及び脳血管疾患による死亡は死亡原因割合の22.2%を占めており、その死亡者数は年間30 万人を超えます4。LDL-C は喫煙、高血圧、糖尿病等とともに、ASCVD の予防における介入可能かつ主要なリスク因子の一つ1で、日本においては男性の16.4%、女性の20.6%がコレステロールを下げる薬を服用しているとの報告があります5。特に心疾患イベントを発症したことがあるなど、高リスクの患者では、より厳格なLDL-C管理が求められますが、複数の脂質低下療法が利用可能であるにもかかわらず、心疾患イベントの二次予防が必要な患者のLDL-C 管理目標値の達成率は非常に低く、目標値が100 mg/dL 未満の患者で約60%、70 mg/dL 未満の患者で約25%に留まるという報告もある6ことから、長期的かつ確実なLDL-C 低下効果を示し、投与回数が少なく良好なアドヒアランスが見込める新たな治療法が望まれています。

レクビオについて

レクビオはLDL-C 及びPCSK9 の低下効果を目的とした製品としてRNAi(RNA interference;RNA干渉)治療薬のリーディングカンパニーであるAlnylam Pharmaceuticals社が開発したsiRNA製剤です。ノバルティスは、Alnylam Pharmaceuticals社とのライセンス・提携契約の下で、レクビオの開発、製造および商品化の世界的な権利を取得しています。
欧州では2020 年12 月に「原発性高コレステロール血症(家族性ヘテロ接合体及び非家族性)及び混合型脂質異常症」を効能・効果として承認されました。米国では2021 年12 月に「HeFH (ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症)及びASCVD の既往を有する高コレステロール血症」を効能・効果として承認され、 その後2023年7月に、ASCVDの既往が無いものの心血管イベントの発現リスクが高い患者も新たに投与対象に追加され、効能又は効果が「HeFHを含むLDL-C高値の原発性高脂血症」に変更されました。日本では2023年9月25日に「家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症」に対して承認されました。
レクビオは、2023 年9 月現在、世界90以上 の国又は地域で承認されています。

ノバルティス ファーマ株式会社について

ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品のグローバルリーディングカンパニー、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、医薬の未来を描いています。ノバルティスは約8億人の患者さんに製品を届けています。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.co.jp

以上

参考文献

  1. 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022 年版. 一般社団法人 日本動脈硬化学会<https://www.j-athero.org/jp/wp-content/uploads/publications/pdf/GL2022_…;.
  2. 一般の皆様へ:家族性高コレステロール血症(FH)について<https://www.j-athero.org/jp/general/6_fh/&gt;.
  3. The top 10 causes of death <https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/the-top-10-causes-of-d…;.
  4. 令和3 年(2021)人口動態統計(確定数)の概況 第6 表 <https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei21/dl/15_all.pdf&…;.
  5. 令和元年国民健康・栄養調査報告 <https://www.mhlw.go.jp/content/000710991.pdf&gt; .
  6. Achievement Rates for Low-Density Lipoprotein Cholesterol Goals in Patients at High Risk of Atherosclerotic Cardiovascular Disease in a Real-World Setting in Japan. J Atheroscler Thromb; (in press).

 

<参考資料> 
レクビオ®皮下注300mgシリンジの製品概要

製品名:
レクビオ®皮下注300mgシリンジ

一般名:
インクリシランナトリウム

効能、効果又は性能:
家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症
ただし、以下のいずれも満たす場合に限る。

  • 心血管イベントの発現リスクが高い
  • HMG-CoA還元酵素阻害剤で効果不十分、又はHMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない

《効能、効果又は性能に関連する使用上の注意》
〈効能共通〉 

  • 適用の前に十分な診察及び検査を実施し、家族性高コレステロール血症又は高コレステロール血症であることを確認した上で本剤の適用を考慮すること。 
  • 家族性高コレステロール血症以外の患者では、最新のガイドライン等を参考に、動脈硬化性心血管疾患、末梢動脈疾患、糖尿病、慢性腎臓病等の罹患又は既往歴等から、心血管イベントの発現リスクが高いことを確認し、本剤投与の要否を判断すること。
  • 家族性高コレステロール血症のうちホモ接合体については、 添付文書「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性について十分に理解した上で、本剤による治療の適否を慎重に判断すること。

〈HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない場合〉

  • 本剤は以下に示す患者に使用すること。
    • 副作用の既往等によりHMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が困難な患者
    • HMG-CoA還元酵素阻害剤の使用が禁忌とされる患者

用法及び用量又は使用方法:
通常、成人にはインクリシランナトリウムとして1回300mgを初回、3カ月後に皮下投与し、以降6カ月に1回の間隔で皮下投与する。

《用法及び用量又は使用方法に関連する使用上の注意》

  1. HMG-CoA還元酵素阻害剤による治療が適さない場合を除き、HMG-CoA還元酵素阻害剤と併用すること。 
  2. 初回投与後の血中脂質値を測定し、患者の状態等も考慮して継続の可否を検討すること。投与を継続する場合は血中脂質値を定期的に検査し、本剤に対する反応が認められない場合には投与を中止すること。

承認条件:
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

承認取得日:
2023年9月25日

薬価基準収載日:
2023年11月22日

薬価:
443,548円

製造販売(輸入):
ノバルティス ファーマ株式会社

効能、効果又は性能に関連する使用上の注意並びに用法及び用量又は使用方法に関連する使用上の注意は、添付文書をご覧下さい。

ノバルティス、持続型LDLコレステロール低下作用を有する「レクビオ®皮下注300mgシリンジ」を発売開始(PDF 312KB)