プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2024年7月18日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.com をご参照下さい。
- 2024年第2四半期の売上高は11%増(実質ベース1、米ドルベース 9%増)、コア営業利益は19%増(実質ベース、米ドルベース 17%増)
- エンレスト(実質ベース 28%増)、ケシンプタ(実質ベース 65%増)、コセンティクス(実質ベース 22%増)、Kisqali(実質ベース 50%増)、レクビオ(実績ベース134%増)、Pluvicto(実質ベース 44%増)などの製品が引き続き堅調
- コア売上高営業利益率は、主に売上高の伸びが寄与し、2.7ポイント増(実質ベース)の39.6%
- 2024年第2四半期の営業利益は47%増(実質ベース、米ドルベース 43%増)、純利益は49%増(実質ベース、米ドルベース 43%増)
- 2024年第2四半期のコアEPSは、21%増(実質ベース、米ドルベース 17%増)の1.97米ドル
- 2024年第2四半期のフリーキャッシュフロー1は、46億米ドル(米ドルベース 40%増)となり、営業活動からのキャッシュフロー(純額)の増加が寄与
- 2024年上半期の売上高は11%増(実質ベース、米ドルベース 9%増)、コア営業利益は21%増(実質ベース、米ドルベース 16%増)
- 2024年第2四半期の研究開発における主なマイルストーン:
- ファビハルタ(イプタコパン) – 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)適応が、EU、日本、中国で承認される
- ルタテラ – 小児(12歳以上)の膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)患者への適応が、FDAに承認される
- セムブリックス – 慢性骨髄性白血病(CML)の一次治療としての適応の申請を、FDAが受理、画期的治療薬(Breakthrough Therapy)に指定される
- Atrasentan – IgA腎症の成人患者への適応の申請をFDAが受理
- Kisqali – NATALEE試験の最新データで、治療開始から4年間までの中央値における臨床的効果を引き続き立証
- 好業績を受け、2024年通期のコア営業利益の予想を上方修正2
- 売上高は、一桁台後半から10%台前半の成長率を予想(変更なし)
- コア営業利益は、10%台半ばから後半の成長率を予想(10%台前半から半ばの成長率から上方修正)
2024年7月18日、スイス・バーゼル発 ― ノバルティスCEOのヴァス・ナラシンハンは、2024年第2四半期の業績について、次のようにコメントしています。
「ノバルティスは、第2四半期に11%の増収と40%近くのコア売上高営業利益率を達成するなど、力強い業績を達成しました。私たちの業績は、米国ならびにそれ以外の地域の双方において、主な成長製品が引き続き堅調であることを反映しており、これに伴い、私たちは2024年通期の業績予想を上方修正することができました。私たちはまた、第2四半期に、セムブリックスの慢性骨髄性白血病(CML)の一次治療としての適応ならびにatrasentanのIgA腎症適応のFDAへの申請や、Kisqaliの初期乳がん(eBC)に対する強力な製品特性をサポートするNATALEE試験の最新データの入手、放射性リガンド療法(RLT)および前立腺がん領域でのパイプライン拡充に向けた複数の取引の実施など、パイプラインを前進させました。ノバルティスは、中期的な売上高の成長(2023年~2028年の年平均成長率5%増)ならびにコア売上高営業利益率の予想(2027年までに40%以上)の達成に向け、順調に歩みを進めています」
主要数値
第2四半期(4~6月)
継続事業2 | ||||
2024年 | 2023年第2四半期 | 前年同期比(%) | ||
百万米ドル | 百万米ドル | 米ドルベース | 実質ベース | |
売上高 | 12 512 | 11 437 | 9 | 11 |
営業利益 | 4 014 | 2 807 | 43 | 47 |
純利益 | 3 246 | 2 271 | 43 | 49 |
1株当たり 純利益(EPS) | (米ドル) | (米ドル) | ||
1.60 | 1.09 | 47 | 52 | |
フリーキャッシュ フロー | 4 615 | 3 292 | 40 |
|
コアベース |
|
| ||
営業利益 | 4 953 | 4 240 | 17 | 19 |
純利益 | 4 008 | 3 502 | 14 | 18 |
1株当たり 純利益(EPS) | (米ドル) | (米ドル) | ||
1.97 | 1.69 | 17 | 21 |
上半期(1~6月)
継続事業2 | ||||
2024年 | 2023年上半期 | 前年同期比(%) | ||
百万米ドル | 百万米ドル | 米ドルベース | 実質ベース | |
売上高 | 24 341 | 22 235 | 9 | 11 |
営業利益 | 7 387 | 5 425 | 36 | 43 |
純利益 | 5 934 | 4 421 | 34 | 43 |
1株当たり 純利益(EPS) | (米ドル) | (米ドル) | ||
2.91 | 2.12 | 37 | 47 | |
フリーキャッシュ フロー | 6 653 | 5 976 | 11 |
|
コアベース | ||||
営業利益 | 9 490 | 8 146 | 16 | 21 |
純利益 | 7 689 | 6 735 | 14 | 19 |
1株当たり 純利益(EPS) | (米ドル) | (米ドル) | ||
3.77 | 3.23 | 17 | 22 |
1 実質ベースの数値、コアベースの業績ならびにフリーキャッシュフローは、国際会計基準(IFRS)に準拠していません。IFRSに準拠していない数値の説明は、要約版業績報告書(英文オリジナル版)の43ページに記載されています。本リリースに掲載される成長率は、特に記載のある場合を除き、すべて前年同期に対するものです。2 業績予想の前提条件に関する詳細は、7ページ(英文オリジナル版プレスリリース)をご覧ください。3 要約版業績報告書(英文オリジナル版)の33ページに記載されるとおり、継続事業には、イノベーティブ メディスン事業ならびに継続する企業活動からなるノバルティスに残る事業活動が含まれ、非継続事業には、サンド事業の業績が含まれます。
戦略
事業の集中
2023年、ノバルティスは、革新的医薬品に特化した製薬企業への転換を完了しました。ノバルティスは、4つのコア疾患領域(循環器・腎臓・代謝、イムノロジー、中枢神経、オンコロジー)に明確に焦点を合わせ、この4つの疾患領域のそれぞれに、負担が大きい疾患に対する治療薬であり、大きな成長の可能性を持つ複数の上市済みならびに開発中の製品を持っています。また、ノバルティスは、既存の2つの技術プラットフォーム(低分子医薬品、抗体医薬品)に加え、新たに3つのプラットフォーム(遺伝子・細胞治療、放射性リガンド療法、核酸医薬品)の研究開発力および生産規模の拡大に、優先的かつ継続的に投資しています。地理的な面では、優先地域である米国、中国、ドイツ、日本での成長にフォーカスしています。
優先課題
- 成長を加速:付加価値の高い医薬品(新規化合物)供給への注力を新たにするとともに、すべてのコア疾患領域での豊富なパイプラインを背景とした優れた上市活動にフォーカス
- 株主への還元:卓越した事業運営と財務業績の改善を継続。資本配分における規律と株主中心の継続、ならびに資金生成と、資本の柔軟性を支える強力な資本構成の実現
- 基盤の強化:社員の能力の最大化、データサイエンスおよび技術の規模拡大、社会との信頼関係構築の継続
財務業績
2023年9月15日の株主によるサンドの独立の承認後、ノバルティスは、当期ならびに過去の会計年度の連結業績報告書を「継続事業」と「非継続事業」に分けて報告しています。
継続事業には、イノベーティブ メディスン事業ならびに継続する企業活動からなるノバルティスに残る事業が含まれます。非継続事業には、サンド事業部門およびサンドの事業に関連する一部の企業活動、さらに、独立に関わる特定の費用が含まれます。
この後の説明は、継続事業に関するものが中心ですが、非継続事業についての情報も提供しています。
継続事業
2024年第2四半期(4~6月)
2024年第2四半期の売上高は、販売量の15ポイントの伸びが寄与し、125億米ドル(9%増、実質ベース 11%増)となりました。ジェネリック医薬品との競合によるマイナス影響は2ポイント、価格低下によるマイナス影響は2ポイントでした。
営業利益は、売上高の増加と減損費用の減少が研究開発費の拡大により一部相殺されたことが主な要因となり、40億米ドル(43%増、実質ベース 47%増)となりました。
純利益は、主に営業利益の増加により、32億米ドル(43%増、実質ベース 49%増)となりました。1株当たり純利益(EPS)は、発行済み株式数の加重平均値の減少が寄与し、1.60米ドル(47%増、実質ベース 52%増)となりました。
コア営業利益は、売上高の増加が研究開発費の拡大により一部相殺されたことが主な要因となり、50億米ドル(17%増、実質ベース 19%増)となりました。コア売上高営業利益率は、2.5ポイント増(実質ベース 2.7ポイント増)の39.6%となりました。
コア純利益は、主にコア営業利益の増加により、40億米ドル(14%増、実質ベース 18%増)となりました。コアEPSは、発行済み株式数の加重平均値の減少が寄与し、1.97米ドル(17%増、実質ベース 21%増)となりました。
継続事業のフリーキャッシュフローは、継続事業にかかわる営業活動からのキャッシュフロー(純額)の増加が寄与し、前年同期の33億米ドルから46億米ドル(米ドルベース 40%増)に増加しました。
2024年上半期(1~6月)
売上高は、販売量の15ポイントの伸びが、ジェネリック医薬品との競合による2ポイントならびに価格低下による2ポイントのマイナス影響に一部相殺され、243億米ドル(9%増、実質ベース 11%増)となりました。
営業利益は、売上高の増加と減損費用および事業再編費の減少によるプラス効果が、前年同期に係争関連の一時的な収入があったことに伴うマイナス効果により一部相殺され、74億米ドル(36%増、実質ベース 43%増)となりました。
純利益は、主に営業利益の増加が寄与し、59億米ドル(34%増、実質ベース 43%増)となりました。1株当たり純利益(EPS)は、2.91米ドル(37%増、実質ベース 47%増)となり、発行済み株式数の加重平均値の減少が寄与しました。
コア営業利益は、売上高の増加による増益効果が、研究開発費の増加により一部相殺されたことが主な要因となり、95億米ドル(16%増、実質ベース 21%増)となりました。コア売上高営業利益率は、2.4ポイント上昇(実質ベース 3.1ポイント増)し、39.0%となりました。
コア純利益は、主にコア営業利益の増加により、77億米ドル(14%増、実質ベース 19%増)となりました。コアEPSは、発行済み株式数の加重平均値の減少によるプラスの影響があり、3.77米ドル(17%増、実質ベース 22%増)となりました。
継続事業のフリーキャッシュフローは、継続事業にかかわる営業活動からのキャッシュフロー(純額)の増加に伴い、前年同期の60億米ドルから67億米ドル(米ドルベース 11%増)に増加しました。
非継続事業
2023年第1四半期の非継続事業の業績には、サンドのジェネリック医薬品およびバイオシミラー事業部門、サンドに関連する一部の企業活動、さらに、サンドの事業の独立に関わるそのほかの特定の費用が含まれます。
2024年第2四半期(4~6月)
サンドの独立は2023年10月3日に完了したため、2024年第2四半期には非継続事業の業績の計上はありません。2023年第2四半期の非継続事業の売上高は24億米ドル、営業利益は113百万米ドル、純利益は46百万米ドルでした。詳細は、要約版業績報告書(英文オリジナル版)の注記3(Significant acquisition of businesses and spin-off of Sandoz business)ならびに注記11(Discontinued operations)をご覧ください。
2024年上半期(1~6月)
サンドの独立は2023年10月3日に完了したため、2024年上半期には非継続事業の業績の計上はありません。2023年上半期の非継続事業の売上高は50億米ドル、営業利益は351百万米ドル、純利益は190百万米ドルでした。詳細は、要約版業績報告書(英文オリジナル版)の注記3(Significant acquisition of businesses and spin-off of Sandoz business)ならびに注記11(Discontinued operations)をご覧ください。
ノバルティス全体
2024年第2四半期(4~6月)
2024年第2四半期のノバルティス全体の売上高は、前年同期の23億米ドルから32億米ドルに、基本EPSは、前年同期の1.11米ドルから1.60米ドルに増加しました。ノバルティス全体の営業活動からのキャッシュフローの純額は49億米ドル、フリーキャッシュフローは46億米ドルでした。
2024年上半期(1~6月)
2024年上半期のノバルティス全体の売上高は、前年同期の46億米ドルから59億米ドルに、基本EPSは、前年同期の2.20米ドルから2.91米ドルに増加しました。ノバルティス全体の営業活動からのキャッシュフローの純額は71億米ドル、フリーキャッシュフローは67億米ドルでした。
2024年第2四半期の成長の主な原動力
第2四半期の業績は、以下を含む主な成長製品への継続的なフォーカスに下支えされました(第2四半期の売上高の伸びに対する貢献順):
エンレスト | (売上高:1,898百万米ドル、実質ベース 28%増) 欧米において心不全適応でガイドラインに沿った治療が引き続き採用されたことによる普及拡大があったほか、中国での高血圧症適応の普及拡大があり、需要増に伴う伸びが継続 |
ケシンプタ | (売上高:799百万米ドル、実質ベース 65%増) 高い有効性と利便性を併せ持つ自己注射製剤の需要拡大を反映し、すべての地域で増収に |
コセンティクス | (売上高:1,526百万米ドル、実質ベース 22%増) 新規適応症の上市(米国における化膿性汗腺炎適応や静注製剤など)ならびに主要な適応症での販売量増加が寄与し、主に米国で売上高を拡大 |
Kisqali | (売上高:717百万米ドル、実質ベース 50%増) HR陽性HER2陰性進行性乳がん患者の全生存期間(OS)に関する効果の認知向上、ならびにカテゴリー1 NCCNガイドラインでの推奨が後押しとなり、すべての地域で大幅な増収に |
レクビオ | (売上高:182百万米ドル、実質ベース 134%増) 顧客・患者の採用拡大、買収およびアクセスに関する顧客からの信頼向上、疾患啓発活動へのフォーカスが寄与し、堅調な伸びが継続 |
Pluvicto | (売上高345百万米ドル、実質ベース 44%増) 米国および欧州で売上高が拡大。生産の制限がなくなり、既存の放射性リガンド療法(RLT)の治療拠点でのシェア拡大、新規治療拠点の開設、照会先の開拓、新規患者への処方拡大に注力 |
ゾレア | (売上高:427百万米ドル、実質ベース 22%増) 主に新興成長市場および欧州が成長を牽引 |
イラリス | (売上高:368百万米ドル、実質ベース 20%増) 米国・欧州を筆頭に、すべての地域で増収を達成 |
セムブリックス | (売上高:164百万米ドル、実質ベース 56%増) 慢性骨髄性白血病(CML)患者における高いアンメットニーズを反映し、すべての地域で売上高が拡大 |
ジャカビ | (売上高:471百万米ドル、実質ベース 13%増) 骨髄線維症および真性多血症での力強い需要に牽引され、すべての地域で増収を達成 |
タフィンラー・メキニスト併用療法 | (売上高:523百万米ドル、実質ベース 9%増) 新興成長市場に牽引され、すべての地域で売上高が拡大 |
ルタテラ | (売上高:175百万米ドル、実質ベース 17%増) 膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)の一次治療の適応に関するNETTER-2試験の結果の発表を受け、需要拡大によりすべての地域で売上高が増加 |
ファビハルタ | (売上高:22百万米ドル) 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)への適応が承認された初めての経口単剤療法として、引き続き米国において期待が持てる上市初期の指標を示す |
新興成長市場* | 全体で16%の増収(実質ベース)。主にエンレストおよびゾレアの好調により、中国の売上高が27%増(実質ベース)の11億米ドルに拡大 |
* 米国、カナダ、西欧諸国、日本、オーストラリア、ニュージーランドを除く全市場
2024年第2四半期 売上高上位20製品
2024年第2四半期 | 前年同期比(%) | 2024年上半期 | 前年同期比(%) | |||
百万米ドル | 米ドルベース | 実質ベース | 百万米ドル | 米ドルベース | 実質ベース | |
エンレスト | 1 898 | 25 | 28 | 3 777 | 30 | 32 |
コセンティクス | 1 526 | 20 | 22 | 2 852 | 21 | 23 |
ケシンプタ | 799 | 63 | 65 | 1 436 | 64 | 66 |
Kisqali | 717 | 45 | 50 | 1 344 | 48 | 52 |
レボレード | 544 | -7 | -5 | 1 064 | -6 | -4 |
タフィンラー・メキニスト | 523 | 5 | 9 | 997 | 5 | 7 |
ジャカビ | 471 | 8 | 13 | 949 | 12 | 15 |
タシグナ | 446 | -6 | -4 | 841 | -10 | -9 |
ゾレア | 427 | 18 | 22 | 826 | 15 | 18 |
イラリス | 368 | 16 | 20 | 724 | 12 | 17 |
サンドスタチン グループ | 313 | -5 | -4 | 668 | 1 | 3 |
Pluvicto | 345 | 44 | 44 | 655 | 45 | 45 |
ゾルゲンスマ | 349 | 12 | 14 | 644 | 4 | 6 |
ルセンティス | 275 | -30 | -28 | 589 | -27 | -26 |
エックスフォージ グループ | 178 | -3 | 1 | 370 | 0 | 3 |
ルタテラ | 175 | 17 | 17 | 344 | 15 | 16 |
レクビオ | 182 | 133 | 134 | 333 | 135 | 137 |
ジレニア | 138 | -49 | -47 | 313 | -38 | -36 |
セムブリックス | 164 | 55 | 56 | 300 | 65 | 67 |
ディオバン グループ | 160 | 3 | 9 | 300 | -4 | 1 |
上位20製品 合計 | 9 998 | 15 | 18 | 19 326 | 16 | 18 |
研究開発関連のアップデート ― 第2四半期の主な進捗
新規承認
ファビハルタ (イプタコパン) | 希少な血液疾患である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の成人患者の治療薬として、EU、日本、中国で承認される。 |
ルタテラ (ルテチウムオキソドトレオチド) | ソマトスタチン受容体陽性膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)の12歳以上の小児に対する治療薬として、FDAが承認。 |
承認申請に関するアップデート承認申請に関するアップデート
セムブリックス (アシミニブ) | 初発の慢性期フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)の成人患者への適応がFDAの画期的医薬品(Breakthrough Therapy)に指定される。 CMLの一次治療としての適応をFDAに申請、現在Real-Time Oncology Reviewプログラムにより審査中。 |
Astrasentan | IgA腎症(IgAN)の成人患者の治療薬としての申請が、FDAに受領される。 |
ルタテラ (ルテチウムオキソドトレオチド) | EUは、初発の切除不能又は転移性のソマトスタチン受容体陽性高分化型(グレード2および3)膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)の成人患者に対する治療薬としての申請を受理。 |
進行中の臨床試験の結果およびその他のハイライト
セムブリックス (アシミニブ) | 第III相ASC4FIRST試験において、セムブリックスは、初発の慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(Ph+ CML-CP)成人患者において、48週時点の分子遺伝学的大奏効率(MMR)に関して、医師選択の標準治療であるチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)(67.7%対49.0%)およびイマチニブ(69.3%対40.2%)と比較して、優れた有効性を立証。加えて、セムブリックスは良好な安全性および忍容性プロファイルを示した。これらの試験結果は、米国食品医薬品局(FDA)に提出され、Real-Time Oncology Review(RTOR)プログラムのもとで審査中。本試験データは、2024年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)ならびに欧州血液学会(EHA)で発表されるとともに、The New England Journal of Medicineに掲載された。 |
Kisqali (ribociclib) | HR陽性HER2陰性初期乳がんを対象とした第Ⅲ相NATALEE試験に参加した全患者の治療終了後の新たな解析において、臨床的に意義のある効果の持続、ならびに一貫した安全性プロファイルが示される。本試験結果は、今後の医学学会で発表予定。 さらに、NATALEE試験のiDFS(無浸潤疾患生存期間)データに関する最終データカットオフ時点におけるサブグループ解析では、高リスクのリンパ節転移陰性(N0)患者の内分泌療法にKisqaliを上乗せした場合に、iDFSに関するリスクを28%低減。高リスクN0患者グループにおける有効性・安全性・忍容性プロファイルは、NATALEE試験全般の患者層と同等。試験データを2024年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で発表。 |
ファビハルタ (イプタコパン) | 第III相APPEAR-C3G試験において、支持療法に加えてファビハルタで治療を受けたC3腎症患者では、支持療法に加えてプラセボで治療を受けた患者と比較して、6ヵ月時点で蛋白尿の35.1%の減少を達成。推算糸球体濾過量(eGFR)に関する副次評価項目データではプラセボとの比較でファビハルタ投与群では6ヵ月間の数値的な改善が示される。本試験では、ファビハルタの安全性プロファイルが良好であることも示され、新たな安全性シグナルは認めらなかった。C3腎症の成人患者への適応のFDAならびに欧州医薬品庁(EMA)への申請は、2024年下半期の予定。試験データを2024年の欧州腎臓学会(ERA)で発表。 第III相APPLAUSE-IgAN試験のデータでは、9カ月時におけるIgA腎症患者において、プラセボ比で38.3%の蛋白尿の減少が示される。ファビハルタは、優れた忍容性と、これまでに報告された試験データと同等の安全性プロファイルを示す。試験データを2024年の世界腎臓学会(WCN)で発表。 |
Atrasentan | 第III相ALIGN試験で事前に規定した中間解析の結果において、支持療法に加えてatrasentanを投与された患者では、支持療法(レニン・アンジオテンシン系[RAS]阻害薬)に加えてプラセボを投与された患者と比べて、36週時点の蛋白尿が統計学的に有意な36.1%の減少を示す。試験結果を2024年の欧州腎臓学会(ERA)で発表。 |
レミブルチニブ | 第III相REMIX-1試験およびREMIX-2試験において、投与開始1週時点という早期からの蕁麻疹活動性スコア(UAS7)の改善と52週までの効果の維持が認められ、慢性特発性蕁麻疹(CSU)に対するレミブルチニブの経口投与による持続的な効果と長期にわたる安全性が立証される。両試験において、レミブルチニブは、1年後まで良好かつ一定した安全性プロファイルを示し、肝機能検査値はプラセボと同程度であった。ノバルティスは、2025年にレミブルチニブを申請予定。試験データを2024年の欧州アレルギー臨床免疫学会(EAACI)で発表。 |
リアメット (artemether-lumefantrine) (アルテメテル・ ルメファントリン) | 第II相/第III相CALINA試験において、マラリアを患う体重5 kg未満の乳児へのコアルテムの最適用量の投与により、必要な薬物動態プロファイルならびに優れた有効性・安全性が得られることが立証される。試験データを、2024年のMultilateral Initiative on Malaria Pan-African Malaria Conferenceで発表。 |
提携・買収など | オンコロジー領域への戦略的集中の方針に沿って、ノバルティスは、MorphoSys社の全株式資本の90%超を取得し、pelabresib(開発後期段階の骨髄線維症に対するBET阻害薬)ならびにtulmimetostat(開発初期段階の固形腫瘍またはリンパ腫に対するEZH2およびEZH1の二重阻害薬)をパイプラインに追加。 ノバルティスは、さまざまな固形腫瘍に対する画期的な放射性リガンド療法(RLTs)の開発を専門とするバイオテク企業のMariana Oncology社を買収。この買収により、非小細胞肺がん適応で治験中のアクチニウムベースのMC-339を含む強力なRLTプログラムのポートフォリオが追加される。 ノバルティスは、PeptiDream社とのペプチド探索に関する共同研究を拡大。複数のプログラムに関する合意内容に基づき、PeptiDream社は、放射性リガンド療法への適用の可能性がある、ノバルティスが選定した標的に対する新種の大環状ペプチドの同定・最適化を行う。 ノバルティスは、第二世代のPROTAC®アンドロゲン受容体(AR)分解誘導化合物であるARV-766の全世界での開発・販売に関する、Arvinas社との独占的な戦略的ライセンス契約に合意。ノバルティスの前立腺がんに対する放射性リガンド療法のパイプラインを補完。 |
資本構成および純負債額
事業への投資と強力な資本構成、魅力ある株主還元の適切なバランスを保つことを今後も引き続き優先します。
2024年上半期に、ノバルティスは、スイス証券取引所のセカンド・トレーディングラインを通じて、合計2,670万株の自己株式を27億米ドルで買い戻しました。これには、2023年7月に発表された最大で150億米ドルの自己株式購入(最大で101億米ドルの資金が残る)の一環としての2,590万株(26億米ドル)が含まれています。加えて、社員持ち株制度に伴う希釈化影響を緩和するため、80万株(1億米ドル)が買い戻され、2024年下半期にも同じ目的で残りの自己株式の買い戻しを行う予定です。さらに、110万株(株式価値1億米ドル)が、社員から買い戻されました。同じく2024年上半期に、社員持ち株制度関連の株式受け渡しにより、840万株(株式価値5億米ドル)が受け渡されました。この結果、発行済み株式総数は、2023年12月31日時点と比べて1,940万株減少しました。これらの自己株式の取引により、株主資本が23億米ドル減少するとともに、27億米ドルの現金が支出されました。
2024年6月30日現在の純負債額は、2023年12月31日時点の102億米ドルから188億米ドルに増加しました。増加の主な要因は、3月に実施された76億米ドルの年間配当金の支払いと、50億米ドルのM&Aおよび無形資産の取引による現金支出(純額)、27億米ドルの自己株式の取引による現金支出(純額)が、フリーキャッシュフロー67億米ドルによって一部相殺されたことです。
2024年第2四半期現在のノバルティスの長期信用格付けは、ムーディーズ・レーティングスがAa3、S&Pグローバル・レーティングがAA-となっています。
2024年通期業績予想
不測の出来事を除く;実質ベースの前年比成長率 | これまでの予想 | |
売上高 | 一桁台後半から10%台前半の成長率を予想 | (変更なし) |
コア営業利益 | 10%台半ばから後半の成長率を予想 | (10%台前半から半ばの成長率) |
主な前提条件:
- 上記の業績予想は、米国においてエンレストならびにPromacta(レボレード)のジェネリック医薬品が2024年に上市されないことを前提としています
外国為替の影響
2024年7月中旬の為替レートが2024年の残りの期間も継続すると仮定した場合、2024年通期での為替の影響は、売上高に対してマイナス2ポイント、コア営業利益に対してマイナス3ポイントとなると予想しています。業績への為替影響の予想は、ノバルティスのウェブサイトで毎月提供されています。
2025年定時株主総会
取締役への推薦
ノバルティスの取締役会は、本日、Elizabeth M. McNally, MD, PhDを取締役に推薦することを発表しました。McNally博士は、ノースウェスタン大学ファインバーグ医学部 遺伝医学センター部長です。心臓専門医として診療を行うほか、心血管・神経筋疾患の遺伝子治療を専門とする著名な研究リーダーでもある彼女の臨床および科学的な専門知識は、ノバルティスの取締役会に多いに役立つものと考えています。McNally博士は、医学士号および博士号をアルバート・アインシュタイン医科大学で取得し、ハーバード・メディカルスクールのBrigham and Women’s Hospitalで内科および循環器科の研修を行いました。McNally博士は、全米医学アカデミーの会員であり、筋ジストロフィー学会の理事、さらに、Ikaika Therapeuticsの創業者および最高経営責任者(CEO)でもあります。
取締役会の発表
取締役会は、また、Charles L. Sawyers氏ならびにWilliam T. Winters氏が、12年間の任期上限のため、2025年の定時株主総会で再選を目指して立候補しないことを発表しました。ノバルティスの取締役会ならびに経営委員会は、二人のすばらしい貢献と顕著なサービスに感謝しています。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日が過ごせるため「医薬の未来を描く (Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で2.5億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
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以上
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