プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2025年9月30日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照ください。なお、本製品は日本では未承認です。
第53条LRに基づく臨時発表
- レミブルチニブは、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を標的とすることでヒスタミンやその他の炎症性メディエーターの放出を抑制し、特発性の慢性蕁麻疹(CSU)治療に対する独自のアプローチとなる1
- 投与2週時の早期から良好な疾患コントロールが認められ、臨床検査値のモニタリングを必要としない安全性プロファイルが証明された1
- 米国では170万人がCSUを患い、半数以上の患者が増量した抗ヒスタミン薬を投与しても症状が続く2,3
- レミブルチニブは、刺激誘発型の蕁麻疹、食物アレルギー、化膿性汗腺炎の治療薬としても開発中であり、ノバルティスの免疫領域ポートフォリオを拡大している
2025年9月30日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、レミブルチニブがヒスタミンH1受容体拮抗薬による治療にもかかわらず、症状が続く特発性の慢性蕁麻疹(CSU)の成人患者を対象とした経口治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました。レミブルチニブは、1日2回服用する錠剤で、注射や臨床検査値のモニタリングを必要としません。また、CSUに対して初めてFDAに承認されたブルトン型チロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)です。レミブルチニブは、BTKを標的としてヒスタミンやその他の炎症性メディエーターの放出を抑制し、CSU治療に対する独自のアプローチとなります1。
Icahn School of Medicine at Mount Sinarの臨床治療学部長で、レミブルチニブの第III相REMIX試験の運営委員会のメンバーであるMark Lebwohl, M.D.は次のように述べています。「CSUは、予測できない身体を衰弱させる症状の再燃が起こり得る深刻な疾患で、診断と管理は困難です。レミブルチニブはCSUの新たな治療法で、BTKの活性化を阻害することによって、CSUにおける免疫応答の主要な経路を遮断させます。これは、幅広い患者さんが迅速な症状緩和を得られる可能性を秘めた、画期的な選択肢です」。
CSUは免疫異常によって引き起こされると考えられる肥満細胞が関与している疾患です。CSU患者では、アレルギー性(IgE)または自己免疫性(IgG)の経路を介して免疫系が活性化されます4。これにより、特定の免疫細胞(肥満細胞と好塩基球)がBTKを活性化させます。CSUの発症の原因は完全に解明されていないものの、活性化されたBTKはヒスタミンやその他の炎症性メディエーターの放出を誘発し、CSUでよくみられる赤み、腫脹、かゆみを伴う皮疹(膨疹)を引き起こすと考えられています5,6。
CSUの症状は予測不能で、特定の原因なく6週間以上繰り返します7。診断には最大24カ月を要する場合があります8。多くの患者はCSUの症状により、睡眠、仕事、メンタルヘルスに悪影響を受けていると報告されています9,10,11。第一選択薬である抗ヒスタミン薬では増量しても半数以上の患者に症状が続きます2。抗ヒスタミン薬に反応しない患者のために注射剤も存在しますが、投与されるのは適格患者の20%未満に止まります12。
Endeavor Healthのアレルギー専門医および免疫学者で、University of Chicago Pritzker School of Medicineの臨床准教授およびREMIX試験の治験責任医師でもあるGiselle Mosnaim, M.D., M.S., は次のように述べています。「レミブルチニブの承認は、CSU治療における重要な出来事です。症状をすばやく緩和し、患者さんが日常的に経験する膨疹やそう痒をコントロールできるようにします。既存の注射剤による治療の範囲を拡大し、日常生活に容易に取り入れられる経口投与の選択肢を提供するという点で、患者さんに大きな影響を与えます」。
Allergy & Asthma Networkのチーフ・エグゼクティブ・オフィサーであるLynda Mitchellは次のように述べています。「多くのCSU患者さんは、自身の疾患が理解されていないと感じており、自身のニーズを完全に満たさない治療で我慢しています。私たちは患者さんが自身に最適な治療を選択できる新たな治療の選択肢を支持します。この利便性の良い新たな経口治療薬は、CSUの管理に期待できる新しい道を切り開き、この難しい疾患と共に生きる患者さんの日常生活を改善する可能性を秘めています」。
承認の裏付けとなる臨床データ
FDAによるレミブルチニブのCSUに対する承認は、第二世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬による治療にも関わらず、症状が続く患者を対象とした第III相REMIX-1試験(NCT05030311)およびREMIX-2試験(NCT05032157)の結果に基づいています。レミブルチニブ群は、投与12週時のそう痒(ISS7)、膨疹(HSS7)、蕁麻疹活動性(UAS7)のベースラインからの平均変化量において、プラセボ群に対する優越性が認められました13。プラセボ群と比較して、レミブルチニブ投与群では、早くも投与2週時および12週時で良好な疾患コントロール(UAS7≤6)を達成した患者が有意に多く、また投与12週時には約1/3の患者でそう痒と膨疹の完全な消失が見られました13。レミブルチニブは臨床検査値のモニタリングを必要としない安全性プロファイルが証明されました13。最も頻度の高い有害事象(発現頻度≥3%)は、鼻詰まり、のどの痛み、鼻水(鼻咽頭炎)、出血、頭痛、悪心、腹痛でした13。
レミブルチニブはCSUの治療薬として、欧州連合(EU)、日本、中国を含む多くの国で規制当局へ承認申請され、中国においては優先審査の指定を受けています。
免疫領域における治療の変革
ノバルティスの米国プレジデントのVictor Bultóは次のように述べています。「レミブルチニブがCSU治療における最初で唯一のBTK阻害薬として承認されたことは、見過ごされがちな免疫関連疾患の治療に変革をもたらし、さらに多くの患者さんに迅速な症状緩和の可能性をお届けする私たちの取り組みにおける重要なマイルストーンです。ノバルティスは、アレルギー性疾患、皮膚疾患、リウマチ性疾患の治療を推進してきた長年の知見を基に、免疫領域において革新的で患者さん中心の治療へのさらなる開発に全力を注いで取り組んでまいります」。
当社で開発された炎症の誘因となるBTK経路を標的するレミブルチニブは、刺激誘発型の蕁麻疹 (CIndU)、化膿性汗腺炎(HS)、食物アレルギー(FA)を含むさまざまな免疫関連疾患を対象とした臨床試験が進められています。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日を過ごせるため「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で約3億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
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以上
参考文献
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