Nov 11, 2025

プレスリリース

報道関係各位

 

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が20251029日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照ください。なお、本製品は日本では未承認です。

  • NEPTUNUS-1試験とNEPTUNUS-2試験で、主要評価項目である疾患活動性の低減を達成し、臨床的に意義のある効果を確認1
  • 副次評価項目において一貫した改善と良好な安全性プロファイルを示した1
  • ノバルティスは2026年前半に世界各国の規制当局へ承認申請予定
  • 承認されれば、ianalumabはこの不均一な全身性自己免疫疾患に対する初の標的治療薬になる可能性

 

20251029、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは本日、米国リウマチ学会年次総会の速報発表で、2番目に患者の多い自己免疫性リウマチ疾患2であるシェーグレン病に対するianalumabVAY736)の新たなデータを発表しました1

III相グローバル試験のNEPTUNUS-1試験とNEPTUNUS-2試験において、ianalumab 300 mgの月1回投与は疾患活動性の改善と患者負荷の軽減を示し、臨床的に意義がある効果をもたらしました1Ianalumabは、プラセボと比較して、EULARシェーグレン症候群疾患活動性指標(ESSDAI)による評価で、16週目までに疾患活動性の数値的な低下を示し、その改善効果は52週目まで持続しました1

フランスのパリ公立病院連合(Assistance Publique - Hôpitaux de Paris)ビセートル病院(Bicêtre Hospital)免疫リウマチ学部門長、パリ=サクレ大学Xavier Mariette教授は次のように述べています。「シェーグレン病は消耗性の自己免疫疾患です。複数臓器を冒して乾燥、疲労、疼痛などの多様な症状を引き起こし、リンパ腫のリスクを上昇させることから、重大な疾患負荷が生じます。NEPTUNUS試験は、シェーグレン病を対象として、ianalumabが疾患活動性を有意に改善し、臨床的に意義のある効果を患者にもたらす可能性を示した最初の第III相試験です」。

Ianalumabは、B細胞の枯渇と、BAFF-Rシグナルの遮断を介したB細胞の活性化と生存の阻害という新規の2つの作用機序を有する完全ヒト型モノクローナル抗体です3B細胞機能異常は、炎症や組織損傷に至る自己免疫反応を引き起こし、シェーグレン病で重要な役割を果たします4-6

ノバルティスの開発部門プレジデント兼チーフ・メディカル・オフィサーであるShreeram Aradhye, M.D.は次のように述べています。「今回の結果は、現時点では標的治療薬が存在しないこの複雑な疾患の治療を変える可能性を示しており、ianalumabが新たな標準治療を確立するという確信をさらに強めるものです。この革新的な治療を、自己免疫性リウマチ疾患で2番目に多いシェーグレン病の患者さんに届けられるよう、世界各国の規制当局との協議に期待しています」。
 

35か国219の試験施設におけるNEPTUNUS試験の結果:

2つのNEPTUNUS試験で、ianalumab 300 mgの月1回投与は、主要評価項目のESSDAIにおいて、48週時点で統計学的に有意な改善を示しました1。数値的な改善は16週目で認められ、試験期間中を通じて持続しました1

Ianalumab投与群では、以下の副次評価項目でも一貫した数値的改善を示しました。

  • ESSDAIによる低疾患活動性を示す患者の増加1
  • 医師による全般的評価(PhGA)の改善1
  • 患者による全般的評価(PaGA)において疾患負荷が8週目に軽減し、52週目まで持続1
  • シェーグレン症候群の症状日誌およびEULARシェーグレン症候群患者報告指数で評価した乾燥、疼痛、疲労の数値的改善1
  • ベースライン時の刺激性唾液流量(sSF)が0.4 mL/分を超える患者の、プラセボと比較したsSFと口腔乾燥の改善(事後解析)1

 

Ianalumab 300 mgの月1回投与は医師および患者報告アウトカムを数値的に改善しました1。 試験および統合データセットにおいて、PhGAおよびPaGA、さらにESSDAIに基づく低疾患活動性を達成した患者数について、名目上の有意差が確認されました1。ただし、統合および個別の患者報告による副次評価項目では、統計学的な有意差は認められませんでした1

両試験において、有害事象および重篤な有害事象の全体的な発現率はプラセボと同程度であり、良好な安全性が示されました1

NEPTUNUS-1試験およびNEPTUNUS-2試験について

IIINEPTUNUS-1試験およびNEPTUNUS-2試験は、シェーグレン病患者を対象にianalumabの有効性および安全性を評価するグローバル、多施設共同、ピボタル試験です7,8。これらの試験は、活動性の腺外病変を有するシェーグレン病患者を対象に、標的治療薬としてのianalumabの可能性に関する包括的なデータが得られるようデザインされています3,7,8

NEPTUNUS-1試験は、ianalumab 300 mgを月152週間皮下投与したときの臨床的有効性、安全性および忍容性を、プラセボと比較して評価するようデザインされた多施設共同、二重盲検、ランダム化、2群比較、第III相試験(275例)です7NEPTUNUS-2試験は、ianalumab 300 mgを月1回または3カ月ごとに最大52週間皮下投与したときの臨床的有効性、安全性および忍容性を、プラセボと比較して評価する多施設共同、二重盲検、ランダム化、3群比較、第III相試験(504例)です8

現在試験に登録されている患者は、これらの試験の経過観察を継続するか、ianalumabの長期にわたる有効性と安全性を引き続き評価する長期継続試験に参加する機会が与えられています9

Ianalumabは、免疫性血小板減少症(ITP)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎(LN)、温式自己免疫性溶血性貧血(wAIHA)、全身性強皮症(SSc)など、B細胞に起因する他の自己免疫疾患を治療する可能性についても検討されています3,10-14Ianalumabは、ノバルティスが2024年に買収したMorphoSys AGとの初期の共同研究に端を発しています15

シェーグレン病(旧名称:シェーグレン症候群)について

シェーグレン病は、炎症や組織損傷を引き起こし、全身に影響を及ぼす複雑な全身性自己免疫疾患です16。主に外分泌腺が障害され、過度な乾燥が生じて患者の90%超にドライアイや口内乾燥の症状が現れます16,17。疾患は不均一で症状は多岐にわたり、多くみられる症状は乾燥、疲労、広汎性の疼痛などであり、患者の3040%に腺外臓器病変が生じます18,19。腺外症状は皮膚、筋骨格系、腎臓、肺その他の臓器など多岐にわたります19。シェーグレン病患者では、リンパ腫のリスクが上昇します18。シェーグレン病の有病率は人口の約0.25%で、50%が未診断と推定されます20-21。女性患者は男性患者の9倍です16

免責事項

本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。

ノバルティスについて

ノバルティスは、革新的医薬品の研究、開発、製造、販売を行うグローバル製薬企業です。ノバルティスは、患者さん、医療従事者、社会全体と共に病に向き合い、人びとがより充実した健やかな毎日を過ごせるため「医薬の未来を描く(Reimagining Medicine)」ことを追求しています。ノバルティスの医薬品は、世界中で約3億人の患者さんに届けられています。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
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以上

参考文献

  1. Thomas GB, Xavier M, Stephanie F et al. Ianalumab demonstrates significant reduction in disease activity in patients with Sjögren’s Disease: Efficacy and safety results from two global Phase 3, randomized, placebo-controlled double-blind studies (NEPTUNUS-1 and NEPTUNUS-2). Presented at the American College of Rheumatology (ACR) Congress; October 24-29, 2025; Chicago, Illinois
  2. National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine; Health and Medicine Division; Board on Health Care Services; Committee on Selected Immune Disorders and Disability. Sjögren’s Disease/Syndrome. [Last accessed: October 2025] https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK584486/
  3. Dorner T et al, Safety and Efficacy of ianalumab in patients with Sjögren’s disease: 52-week results from a randomized, placebo-controlled, Phase 2b dose-ranging study, Arthritis and Rheumatology 2025, 77(5):560-570
  4. Lee AY, Qi Z, Jackson KJ, et al. Self-reactive B cells are increased in all major stages of peripheral development in Sjögren's disease. Immunology & Cell Biology 2025; 103: 401-410.
  5. Both T, Dalm VA, van Hagen PM, et al. Reviewing primary Sjögren's syndrome: beyond the dryness - From pathophysiology to diagnosis and treatment. Int J Med Sci 2017; 14: 191-200.
  6. Cornec D, Devauchelle-Pensec V, Tobón GJ, et al. B cells in Sjögren's syndrome: from pathophysiology to diagnosis and treatment. J Autoimmun 2012; 39: 161-167.
  7. ClinicalTrials.gov NCT05350072 [Last accessed: October 2025]
  8. ClinicalTrials.gov NCT0539214 [Last accessed: October 2025]
  9. ClinicalTrials.gov NCT05985915 [Last accessed: October 2025]
  10. ClinicalTrials.gov NCT05653219 [Last accessed: October 2025]
  11. ClinicalTrials.gov NCT05639114 [Last accessed: October 2025]
  12. ClinicalTrials.gov NCT05126277 [Last accessed: October 2025]
  13. ClinicalTrials.gov NCT05648968 [Last accessed: October 2025]
  14. ClinicalTrials.gov NTC06470048 [Last accessed: October 2025]
  15. Novartis to strengthen oncology pipeline with agreement to acquire MorphoSys [AG Press release]. [Press release]. Available at: Novartis to strengthen oncology pipeline with agreement to acquire MorphoSys AG for EUR 68 per share or an aggregate of EUR 2.7bn in cash | Novartis [Last accessed: October 2025]
  16. Negrini S et al, Sjögren’s syndrome: a systemic autoimmune disease, Clin Exp Med. 2022; 22(1): 9–25
  17. Maleki Fischbach-M, et al, Manifestations and management of Sjögren’s disease, Arthritis Res Ther, 2024; 26(1):43
  18. Mariette, Primary Sjögren’s symptoms, New England Journal of Medicine, 2018, 378;10
  19. Kerry Gairy et al, Burden of illness among subgroups of px with primary SjD and systemic involvement, Rheumatology 2021, Volume 60, Issue 4, April 2021, Pages 1871–1881
  20. Conrad N, et al, Incidence, prevalence, and co-occurrence of autoimmune disorders over time and by age, sex, and socioeconomic status: a population-based cohort study of 22 millions individuals in the UK, Lancet. 2023;401(10391):1878-1890;  
  21. Narváez J et al, Prevalence of Sjögren’s syndrome in the general adult population in Spain: estimating the proportion of undiagnosed cases, Sci Rep. 2020;10(1):10627

 

 

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