Jan 11, 2022

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2021年12 月10日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本剤について日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。

  • CDK4/6阻害剤での短期間の治療歴を有する患者または内分泌療法耐性のバイオマーカーであるESR1変異を有する患者においても、アルペリシブが有効性を示す1-5
  • 最新のガイドラインは、閉経後のPIK3CA変異を有するHR陽性/HER2陰性転移・再発乳がん患者に対して、CDK4/6阻害剤による治療直後でのアルペリシブとフルベストラントの併用治療の有効性を支持6
  • アルペリシブは、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)経路およびエストロゲン受容体経路で、それぞれフルベストラントと相乗的に作用し、既知の原因遺伝⼦であるPIK3CAの変異を有する転移・再発乳がんに対し承認されている唯一の治療薬(日本では未承認)7-9
  • BYLieve試験の発表5件は、長期追跡調査のデータ、およびHR陽性/HER2陰性転移・再発乳がん患者の最大56%が有するESR1変異に関するデータを含む1-5,10-11

2021年12月10日、スイス・バーゼル発 — ノバルティスは本日、BYLieve試験の3コホートすべての解析から、広範な患者および疾患特性においてアルペリシブがベネフィットを示すとの新たなデータを発表しました。BYLieve試験は、CDK4/6阻害剤と内分泌療法などによる治療中または治療後に病勢が進行した、ホルモン受容体陽性、ヒト上皮成長因子受容体2陰性(HR+/HER2-)の転移・再発乳がん(mBC)の男性と閉経前後の女性を対象として、アルペリシブと内分泌療法併用を評価する、進行中の第II相、非盲検、3コホート、非対照比較試験です1-5

これらのデータは、12月7日から10日に開催される2021年サンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で発表されました。
カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)ヘレン・ディラー・ファミリー総合がんセンターの乳がんおよび臨床試験教育責任者であるHope S. Rugo博士は、次のように述べています。「BYLieve試験の3コホートすべてから得たデータは、変異を有するHR+/HER2-乳がん患者さんのCDK4/6阻害剤による治療後のアルペリシブのベネフィットを示しており、これは医学界や私たちがケアしているmBC患者さんにとって価値のあるものです。このデータは、アルペリシブの有効性および安全性を示し、さらに、CDK4/6阻害剤による治療期間に関わらず、アルペリシブがさまざまなサブグループの患者さんにベネフィットをもたらす可能性について、意義のある知見を示しています」

SABCSで発表されたBYLieve試験データの注目点

  • BYLieve試験のコホートA(P1-18-03):18ヵ月の追跡調査後の最新の安全性および有効性データでは、CDK4/6阻害剤とアロマターゼ阻害剤(AI)による治療の直後にアルペリシブとフルベストラントの併用による治療を受けた患者の全生存期間の中央値は26.4ヵ月(95%信頼区間[CI]:21.0-30.5)に改善されることが示されました1。すべてのグレードで最もよくみられた有害事象(AE)(n=127)は、下痢(63.8%)、高血糖(59.8%)、悪心(46.5%)、および発疹(31.5%)でした1
  • BYLieve試験のコホートC(PD13-05):3つめとなる最後のBYLieve試験コホートには、直前の治療として化学療法または内分泌療法を受けた患者で、CDK4/6阻害剤による治療を受けた可能性のある患者も含まれました2
    • 主要評価項目である、6ヵ月時点で生存しており病勢進行の認められない患者の割合は48.7%(95% CI:39.3%-58.2%)であり、主要評価項目は達成されました2
    • データから、PIK3CAを原因遺伝子とする標的治療薬として、アルペリシブの臨床的に意義のある活性が確認されました2
    • 新たな安全性シグナルは認められず、すべてのグレードで最もよくみられたAE(n=126)は、高血糖(65.1%)、下痢(52.4%)、悪心(40.5%)、および発疹(38.9%)でした2
  • BYLieve試験のコホートAおよびB(P1-18-08、P5-13-03、PD15-01):探索的バイオマーカー解析および事後解析により、CDK4/6阻害剤治療の早期中止歴(コホートA:6ヵ月以下[無増悪生存期間(PFS)の中央値12.0ヵ月]および6ヵ月超[PFSの中央値6.2ヵ月]、ハザード比[HR]=0.51、95% CI:0.29-0.89、コホートB:6ヵ月以下[PFSの中央値5.9ヵ月]および6ヵ月超[PFSの中央値5.6ヵ月]、HR=0.72、95% CI:0.45-1.18)のある患者で、CDK4/6阻害剤耐性のmBCにおけるアルペリシブとフルベストラント/レトロゾール併用の有効性が示され、これらの患者でCDK4/6阻害剤直後の治療選択肢としてアルペリシブと内分泌療法の併用が支持されました3。グレード3以上のAEは、コホートAの6ヵ月以下および6ヵ月超のサブグループの患者のそれぞれ84.6%(n=22)および66.0%(n=66)、コホートBの6ヵ月以下および6ヵ月超のサブグループの患者のそれぞれ62.5%(n=20)および72.5%(n=66)で発現しました3

また、コホートAおよびBの探索的血中循環腫瘍DNA(ctDNA)解析(コホートAおよびBのPFSの中央値は、それぞれ7.3ヵ月および5.7ヵ月)から、アルペリシブが、併用する内分泌療法や腫瘍のゲノムプロファイル、その他のCDK4/6阻害剤耐性に関連する遺伝子変異に関わらず、CDK4/6阻害剤による治療後に有効であることが認められました4。3つのコホートにおいて、コホートAのように曝露期間が長い場合でも、新たな安全性シグナルは認められず、アルペリシブに蓄積毒性がないことが確認されました1-3

毎年、世界で推定361,826人がmBCと診断され、HR+/HER2-サブタイプの約40%は、予後不良と関連するPIK3CA変異を有しています8-9

ノバルティスのオンコロジー領域への取り組みなど、ノバルティスの最新情報、およびSABCSのバーチャル科学プログラムのデータ発表へのアクセスは、https://www.hcp.novartis.com/virtual-congress/sabcs-2021/をご覧ください(登録者のみ閲覧可能)。

アルペリシブについて

アルペリシブは、内分泌療法中または内分泌療法後に進行したHR+/HER2-、PIK3CA変異陽性を有する転移・再発乳がんの閉経後女性および男性の治療を目的に、フルベストラントとの併用を意図して開発されたキナーゼ阻害剤です7。アルペリシブは、米国やEU加盟国を含む64ヵ国で承認されています12,*

ノバルティスはアルペリシブの追加試験によってがん治療の開拓に取り組んでいます。EPIK-B5試験は、SOLAR-1試験を補完する、アルペリシブとフルベストラントの併用の大規模第III相臨床試験です13。また、ノバルティスは現在、EPIK-B3第III相臨床試験においてトリプルネガティブ乳がん(TNBC)、EPIK-B2第III相臨床試験においてHER2+転移・再発乳がん**、EPIK-O第III相臨床試験において卵巣がんに対して、アルペリシブの可能性を検討しています14-16
 
* 日本においてはアルペリシブは未承認。

** EPIK-B3第III相臨床試験、EPIK-B2第III相臨床試験については日本は未参加。

転移・再発乳がんにおけるノバルティスの取り組みについて

ノバルティスは、優れた科学、協働、患者さんのケアへの情熱を元に、乳がん治療に取り組んでいます。大胆なアプローチで研究に臨み、臨床試験の対象からはしばしば外れてしまう患者集団を組み入れ、疾患の進行に関与する可能性のある新たな経路や遺伝子変異を特定するとともに、患者さんの生活の質を維持するだけでなく、向上に貢献してきました。これまでも、これからも、私たちは、転移・再発乳がんと診断された患者さんの生活を改善し、生存期間の延長に寄与する治療提供に取り組んでいきます。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者に届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com

以上

ノバルティス、PIK3CA変異を有するHR陽性/HER2陰性転移・再発乳がんにおけるCDK4/6阻害剤による治療直後のアルペリシブの有効性を示すデータを発表(PDF 0.4 MB)

参考文献

  1. Ciruelos EM et al. Alpelisib + fulvestrant in patients with hormone receptor-positive (HR+), human epidermal growth factor receptor 2-negative (HER2-), PIK3CA-mutated advanced breast cancer (ABC) previously treated with cyclin-dependent kinase 4/6 inhibitor (CDK4/6i) + aromatase inhibitor (AI): 18-month follow-up of BYLieve Cohort A. Presented at the San Antonio Breast Cancer Symposium, December 8, 2021. Abstract #P1-18-03.  
  2. Rugo HS et al. Alpelisib + fulvestrant in patients with PIK3CA-mutated, HR+, HER2- advanced breast cancer (ABC) who received chemotherapy or endocrine therapy (ET) as immediate prior treatment: BYLieve Cohort C primary results and exploratory biomarker analyses. Presented at the San Antonio Breast Cancer Symposium, December 10, 2021. Abstract #PD13-05.  
  3. Chia S et al. Effect of duration of prior cyclin-dependent kinase 4/6 inhibitor (CDK4/6i) therapy (≤6 mo or >6 mo) on alpelisib benefit in patients with hormone receptor-positive (HR+), human epidermal growth factor receptor 2-negative (HER2-), PIK3CA-mutated advanced breast cancer (ABC) from BYLieve. Presented at the San Antonio Breast Cancer Symposium, December 8, 2021. Abstract # P1-18-08.  
  4. Juric D et al. Alpelisib + endocrine therapy (ET) in patients with hormone receptor-positive (HR+), human epidermal growth factor receptor 2-negative (HER2-), PIK3CA-mutated advanced breast cancer (ABC) previously treated with cyclin-dependent kinase 4/6 inhibitor (CDK4/6i): Biomarker analyses from the Phase II BYLieve study. Presented at the San Antonio Breast Cancer Symposium, December 8, 2021. Abstract #P5-13-03.  
  5. Turner N et al. Impact of ESR1 mutations on endocrine therapy (ET) plus alpelisib benefit in patients with hormone receptor-positive (HR+), human epidermal growth factor receptor 2-negative (HER2-), PIK3CA-mutated, advanced breast cancer (ABC) who progressed on or after prior cyclin-dependent kinase inhibitor (CDK4/6i) therapy in the BYLieve trial. Presented at the San Antonio Breast Cancer Symposium, December 10, 2021. Abstract #PD15-01.  
  6. Burstein HJ, Somerfield MR, Barton DL, et al: Endocrine treatment and targeted therapy for HR-positive, HER2-negative metastatic breast Cancer: ASCO Guideline update. J Clin Oncol. July 29, 2021.  
  7. Piqray  (alpelisib) Prescribing Information. East Hanover, New Jersey, USA: Novartis Pharmaceuticals Corporation; July 2021. 
  8. The Cancer Genome Atlas Network. Comprehensive molecular portraits of human breast tumours. Nature. 2012;490(7418):61-70.   
  9. Mosele F, Stefanovska B, Lusque A, et al. Outcome and molecular landscape of patients with PIK3CA-mutated metastatic breast cancer. Ann Oncol. 2020;31(3):377-386.   
  10. Fribbens, C., et al. Tracking Evolution of Aromatase Inhibitor Resistance with Circulating Tumour DNA Analysis in Metastatic Breast Cancer. Ann Oncol. 2018;29(1):145-153. https://doi.org/10.1093/annonc/mdx483.   
  11. Dustin D, et al. ESR1 Mutations in Breast Cancer. Cancer. 2019;125(21):3714-3728, https://doi.org/10.1002/cncr.32345.   
  12. Novartis Data on File. Novartis Pharmaceuticals Corp: 2021.  
  13. Novartis Pharmaceuticals. Study to Assess the Efficacy and Safety of Alpelisib Plus Fulvestrant in Participants With HR-postitive (HR+), HER2-negative, Advanced Breast Cancer After Treatment With a CDK4/6 Inhibitor and an Aromatase Inhibitor: EPIK-B5 (October 27, 2021- November 27, 2026). Identifier: NCT05038735. https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05038735.    
  14. Novartis Pharmaceuticals. Study Assessing the Efficacy and Safety of Alpelisib + Nab-paclitaxel in Subjects With Advanced TNBC Who Carry Either a PIK3CA Mutation or Have PTEN Loss: EPIK-B3 (June 8, 2020-January 9, 2026). Identifier: NCT04251533. https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04251533.   
  15. Novartis Pharmaceuticals. EPIK-B2: A Two Part, Phase III, Multicenter, Randomized (1:1), Double-blind, Placebo-controlled Study to Assess the Efficacy and Safety of Alpelisib (BYL719) in Combination With Trastuzumab and Pertuzumab as Maintenance Therapy in Patients With HER2-positive Advanced Breast Cancer With a PIK3CA Mutation. Identifier: NCT04208178. https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04729387.
  16. Novartis Pharmaceuticals. Alpelisib Plus Olaparib in Platinum-resistant/Refractory, High-grade Serous Ovarian Cancer, With no Germline BRCA Mutation Detected: EPIK-O (July 2, 2021-January 31, 2025). Identifier: NCT04729387. https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04729387.