プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2021年12 月20日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。なお、本剤は日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- Ociperlimab追加により、革新的かつ補完的な後期開発段階のTIGIT阻害薬が加わることとなり、ノバルティスオンコロジーのポートフォリオは拡充
- 非小細胞肺がんを対象とした2つの第III相臨床試験、その他の広範な固形腫瘍を対象とした新たな試験が進行中
- 戦略的業務提携により、ノバルティスの免疫療法プログラムにおいて併用による相乗効果をもたらす可能性のあるPD-1阻害薬Tislelizumabとともに開発する機会を拡大
- 革新的な市場開発提携契約も締結し、現在ノバルティスが中国でカバーしていない地域でのノバルティスオンコロジーの一部製品の供給を拡大
2021年12月20日、スイス・バーゼル発 — ノバルティスは本日、Ociperlimab(BGB-A1217)に関してBeiGene社とオプション・提携・ライセンス契約を締結し、がん免疫領域における研究開発活動を拡大することを発表しました。Ociperlimabは、TIGIT(T cell immunoreceptor with immunogloblin and ITIM domains)というタンパク質受容体を遮断する新規クラスの抗がん剤として後期開発段階にあるTIGIT阻害薬です。Ociperlimabは現在、肺がんを適応とする2つの第III相臨床試験で評価が進められており、その他の広範な固形腫瘍を適応とした新たな試験も進行中です。
本契約の条件に基づき、ノバルティスはBeiGene社に対し3億米ドルの前払いを行います。2023年後半以前にオプションが行使された場合、BeiGene社には最大7億米ドルが支払われます。オプションの行使により、ノバルティスは米国、カナダ、メキシコ、欧州連合、英国、ノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタイン、スイス、ロシア、日本におけるOciperlimabの開発、販売権を取得します。BeiGene社は、承認取得後に米国においてディテーリング活動を共に実施することに同意しており、中国およびその他の国におけるOciperlimabの権利を維持します。
ノバルティスオンコロジーのプレジデントであるSusanne Schaffert, PhDは、「今回の契約は、大きな影響をもたらす可能性のある新規治療法を当社の拡大されつつある免疫療法のプラットフォームに追加するものであり、がん治療における次の革新を推進するためのノバルティスオンコロジーの幅広い取り組みの一環です」と述べ、次のように続けました。「Ociperlimabは非小細胞肺がんにおいて有望な後期開発段階の化合物であり、広範な固形腫瘍で有効となる可能性があります。これは、PD-1阻害薬であるTislelizumabとの併用による相乗効果をもたらす可能性のある強力な治療薬候補であると考えています。ノバルティスは、BeiGene社との間に強力かつ革新的な提携関係を構築したことを誇りに思っています。これは、Tislelizumabでのこれまでの提携に基づくものであり、今後もがんとともに生きる人々のための医薬品の新たな未来を描くうえで役立つでしょう」
Ociperlimabは現在、進行非小細胞肺がんの第III相臨床試験で検討が進められており、その開発はノバルティスのPD-1阻害薬Tislelizumabの開発計画を補完するものです。早期研究では、TIGIT阻害薬は、肺がん、食道がん、胃がん、乳がん、黒色腫などの広範な腫瘍に対して活性を有する可能性のあることが示唆されています。
オプション期間中は、ノバルティスとBeiGene社はOciperlimabとTislelizumabの併用の臨床開発で協力し、ノバルティスが世界規模の2剤併用臨床試験の依頼者となり、デザイン、実施、資金提供を行います。
また、ノバルティスとBeiGene社は戦略的商業契約を締結し、これによってBeiGene社はノバルティスが現在カバーしていない地域における営業資源や知識を活用し、中国の幅広い市場でノバルティスオンコロジーの幾つかの製品についてプロモーションを実施します。ノバルティスは、すでに商業的なプレゼンスを確立している地域において当該製品と広範なポートフォリオについて市場での活動を継続します。この市場開拓に係る業務提携により、患者さんへの新規治療提供に取り組んでいるノバルティスオンコロジーの中国への進出拡大が期待されています。
OciperlimabとTGIT阻害について
免疫チェックポイント分子であるOciperlimabは、開発段階の強力なTIGIT阻害薬であり、Fc機能が損なわれておらず、TIGIT抗体の抗腫瘍活性に重要な役割を果たすと考えられています。
TIGITを標的とすることで、免疫を抑制する腫瘍微小環境から免疫細胞(T細胞、NK細胞、樹状細胞など)を救出し、効率的な抗腫瘍免疫応答を誘発する可能性のある作用をもたらします。TIGIT経路は、PD-1と協調して腫瘍浸潤エフェクター免疫細胞を最大限に抑制し、抗PD-1療法への抵抗性を促進することが分かっています。TIGITは、多数の患者さんに対して抗PD-1療法の治療効果を大幅に向上および/または拡大させる可能性のある有望な標的です。
Ociperlimabは現在、2つの世界規模の第III相臨床試験であるAdvanTIG-301試験およびAdvanTIG-302試験において、非小細胞肺がんを適応としたTislelizumabとの併用での検討が進められています。これまでに、肺がん、食道扁平上皮がん、子宮頸がんの患者集団を対象とした6つの世界規模の臨床試験を含むOciperlimabの開発プログラムに約600人の患者さんが登録されています。
Ociperlimabに関する業務提携でノバルティスとBeiGene社の既存の提携関係を拡大
今年初旬に締結された契約でBeiGene社は、提携およびライセンス契約のもと、北米、欧州および日本におけるTislelizumabの開発、製造および販売権をノバルティスに付与しました。 Tislelizumabは、マクロファージ上のFcγRへの結合を抑制するよう設計されたヒト化抗PD-1 モノクローナル抗体です。前臨床試験において、マクロファージ上のFcγRへの結合は、マクロファージが媒介する抗体依存性エフェクターT細胞の障害を活性化することでPD-1抗体の抗腫瘍活性を低下させることが実証されています。これらの特徴の臨床的な影響については依然として不明です。
ノバルティスは、併用によって相乗効果をもたらす可能性のあるものとしてTislelizumabの開発を進めており、新しい併用療法を通じて多数の腫瘍および多くのラインの治療でより多くの患者さんの生存期間を延長することを目標としています。ノバルティスは、BeiGene社との提携およびライセンス契約により、北米、欧州および日本でTislelizumabを開発、製造、販売する権利を有しています。
ノバルティスと肺がんについて
ノバルティスは、科学界や医学界と協力して肺がん治療の未来を描くために、肺がん患者の生存期間を延長できる薬剤の進歩を追求しています。ノバルティスは、がんの増殖を阻害する実験的な治療の開発、身体の免疫系を活性化する方法の研究、慢性炎症と腫瘍の増殖や進行との関係の理解の向上、がんと闘うための先進的な核医学の探究に取り組んでいます。
肺がんは世界的に最も多くみられるがんであり、毎年200万人以上の人々が新たに肺がんの診断を受けています。毎年肺がんで死亡する患者数は、他のどのがん種よりも多くなります。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者に届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。 詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
ノバルティス、TIGIT阻害薬Ociperlimabに関するBeiGeneとのオプション・提携・ライセンス契約により免疫療法のパイプラインを強化(PDF 0.35 MB)