プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
- 高親和性抗IgEモノクローナル抗体であるligelizumabは、第III相PEARL 1試験およびPEARL 2試験において12週時点でプラセボに対する優越性を示したが、オマリズマブに対しては示さず1
- ノバルティスは現在もPEARL試験のデータを評価中であり、今後適切な時期に最新情報を発表し、今後の開発プログラムも示す予定
2021年12月20日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは2021年12月20日、慢性特発性蕁麻疹(以下、CSU)を対象とした第III相 臨床試験であるPEARL 1試験およびPEARL 2試験のトップライン結果から、主要評価項目である12週時点でのligelizumab(QGE031)のプラセボに対する優越性は達成されたものの、オマリズマブに対する優越性は達成されなかったことを発表しました1。
ノバルティスのグローバル医薬品開発部門の責任者でチーフ・メディカル・オフィサーであるJohn Tsai(M.D.)は次のように述べています。「ligelizumabが CSUに対し、オマリズマブより優れた有効性を示すことができなかったことを非常に残念に思います。私たちは、アンメット・ニーズの高い慢性の刺激誘発型蕁麻疹および食物アレルギーの領域においても、ligelizumabが患者さんにベネフィットをもたらす可能性について、引き続き検討を進めてまいります。」
第III相臨床試験のPEARL 1試験およびPEARL 2試験の全データは、2022年後半の試験終了後に公表されます。
CSUは予兆なく症状が現れる全身性皮膚疾患であり、かゆみや痛みを伴う皮膚の腫れ(膨疹)、血管性浮腫、あるいはその両方が6週間以上持続することを特徴とし2,3、世界の人口の最大1%が罹患しています2。そのうち、患者の約60%は、第一選択薬の抗ヒスタミン薬では症状の完全なコントロールを達成することができません4-7。
ノバルティスは、直近では、CSUにおいて迅速かつ効果的に疾患コントロールを示した、選択性が高く強力な経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬remibrutinib(LOU064)の第III相臨床試験を開始しました8,9。
ノバルティスとCSUについて
ノバルティスは、CSU、乾癬、尋常性ざ瘡、アトピー性皮膚炎など、QoLに顕著な影響をおよぼす可能性のある疾患に対する治療方法の未来を描くことに注力しています。ノバルティスは、CSU患者がこの疾患による苦痛や予測不能な症状を伴う事なく生活できるよう、CSU治療を前進させる医薬品の開発に取り組んでいます10。開発ポートフォリオには、高親和性抗免疫グロブリンE(IgE)モノクローナル抗体であるligelizumabと、自己免疫疾患の治療ではベストインクラスとなる可能性のある、選択性が高く強力な経口BTK阻害薬であるremibrutinib(LOU064)が含まれます。CSU治療薬として既に承認されている「ゾレア®」(一般名:オマリズマブ)に加え、これらの開発品目が、新たな治療薬としてノバルティスの医薬品ポートフォリオに加わることが期待されています。
ligelizumabについて
ligelizumabは、高親和性抗IgEモノクローナル抗体です。第IIb相用量設定臨床試験では、CSUの膨疹が完全に消失した患者の割合は、「ゾレア®」と比較してligelizumabで多い結果となりました11。
PEARL 1試験およびPEARL 2試験について
PEARL 1試験およびPEARL 2試験(NCT03580369およびNCT03580356)は、2つの同一デザインの第III相、多施設共同、無作為化、二重盲検、実薬およびプラセボ対照、並行群間比較臨床試験です12,13。この2試験は、ヒスタミンH1受容体拮抗薬による治療で効果不十分な成人および青年期(12歳以上)のCSU患者を対象とし、プラセボおよび「ゾレア®」(オマリズマブ)に対するligelizumabの有効性および安全性を検証するデザインになっています12,13。世界48カ国で2,000人を超える成人および青年期患者が、ligelizumab 72 mg群、ligelizumab 120 mg群、オマリズマブ300 mg群、またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、4週毎の投与を1年間受けました12-14。プラセボに割り付けられた患者は、投与開始24週より52週の投与期間終了までligelizumab 120 mgに切り替えられました。主要評価項目として、12週時の週間蕁麻疹活動性スコア(UAS7)のベースラインからの変化を評価しました12-14。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Novartis Data on File.
- Maurer M, Weller K, Bindslev-Jensen C, et al. Unmet clinical needs in chronic spontaneous urticaria. A GA2LEN task force report. Allergy. 2011;66:317-330.
- Vestergaard C and Deleuran M. Chronic spontaneous urticaria: latest developments in aetiology, diagnosis and therapy. Ther Adv Chronic Dis. 2015;6:304-13.
- Zuberbier T, Latiff A, Abuzakouk M, et al. The international EAACI/GA2LEN/EuroGuiDerm/APAAACI guideline for the definition, classification, diagnosis, and management of urticaria. Allergy. Published 2021 Sept 18. doi:10.1111/all.15090.
- Kaplan AP. Chronic Spontaneous Urticaria: Pathogenesis and Treatment Considerations. Allergy Asthma Immunol Res. 2017;9(6):477-482. doi:10.4168/aair.2017.9.6.477
- Maurer M, Costa C, Gimenez Arnau A, et al. Antihistamine- resistant chronic spontaneous urticaria remains undertreated: 2-year data from the AWARE study. Clin Exp Allergy. 2020;50(10):1166-1175. doi:10.1111/cea.13716.
- Guillén-Aguinaga S, Jáuregui Presa I, Aguinaga-Ontoso E, Guillén-Grima F, Ferrer M. Updosing nonsedating antihistamines in patients with chronic spontaneous urticaria: a systematic review and meta-analysis. Br J Dermatol. 2016;175(6):1153-1165. doi:10.1111/bjd.14768.
- Clinical Trials.gov. A Phase 3 Study of Efficacy and Safety of Remibrutinib in the Treatment of CSU in Adults Inadequately Controlled by H1 Antihistamines (REMIX-1). NCT05030311. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05030311. [Last accessed: December 2021].
- Clinical Trials.gov. A Phase 3 Study of Efficacy and Safety of Remibrutinib in the Treatment of CSU in Adults Inadequately Controlled by H1- Antihistamines. NCT05032157. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT05032157. [Last accessed: December 2021].
- Weller K, Maurer M, Grattan C, et al. ASSURE-CSU: a real-world study of burden of disease in patients with symptomatic chronic spontaneous urticaria. Clin Transl Allergy. 2015;5:29.
- Maurer M, Giménez-Arnau AM, Sussman G, et al. Ligelizumab for Chronic Spontaneous Urticaria. N Engl J Med. 2019;381:1321-1332.
- ClinicalTrials.gov. NCT03580369. A Phase III Study of the Efficacy and Safety of Ligelizumab in the Treatment of CSU in Adolescents and Adults Inadequately Controlled with H1-antihistamines [online] April 2020. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03580369 [Last accessed: December 2021].
- ClinicalTrials.gov. NCT03580356. A Phase III Study of the Efficacy and Safety of Ligelizumab in the Treatment of CSU in Adolescents and Adults Inadequately Controlled with H1-antihistamines [online] March 2020. Available from: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03580356 [Last accessed: December 2021].
- Severin T, Maurer M, Giménez-Arnau A, et al. Ligelizumab versus omalizumab in CSU: Phase 3 design and rationale. Presented at the 4th GA²LEN Global Urticaria Forum; December 5–6 2018; Berlin, Germany.
ノバルティス、慢性特発性蕁麻疹(CSU)を対象としたligelizumab(QGE031)第III相臨床試験の最新情報発表(PDF 316KB)