プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2021年12月9日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本剤の糖尿病黄斑浮腫は日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版は https://www.novartis.com をご参照ください。
- 第III相KESTREL試験の2年目の結果において、糖尿病黄斑浮腫による視力障害を有する患者に対する「ベオビュ®」(一般名:ブロルシズマブ)6mgの全体的なベネフィット・リスク・プロファイルは良好であるという1年目の結果を確認1,2
- 「ベオビュ」は1年目と一致する視力改善を示し、2年目(100週目)も中心サブフィールド厚の平均減少は持続1
- アフリベルセプト群に対し「ベオビュ」群は、2年目に網膜内および/または網膜下の滲出液の消失を経験した患者が多数
- 導入期後の最初の12週間隔投与を完了した「ベオビュ」患者のうち、70%が2年目まで12週間隔投与を継続出来たことから、アフリベルセプトと比較して少ない注射回数で DME患者の治療を行える可能性を提示
2021年12月9日、スイス・バーゼル発– ノバルティスは、本日、第III相KESTREL試験の2年目(100週目)のトップライン結果を発表しました。本試験では、糖尿病黄斑浮腫(以下、DME)による視力障害を有する患者を対象に「ベオビュ®」(一般名:ブロルシズマブ、以下「ベオビュ」)6mgの安全性および有効性を評価しました。2年目の結果では、DME患者の負担となっている頻回治療に対処しながらも、1年目で示された視力改善、滲出液減少の所見および安全性プロファイルが確認されました1,2。 KESTREL試験の2年目の結果は、最高矯正視力(以下、BCVA)の維持および中心サブフィールド厚の持続的減少 (以下、CSFT)など、1年目の結果と一致していました1,2。さらに、網膜内および/または網膜下の滲出液(以下、IRF/SRF)を有した「ベオビュ」投与患者は、アフリベルセプト投与患者よりも数値的に低値を示しました1。CSFTは網膜内の滲出液の重要な指標であり、滲出液は疾患活動性の重要なマーカーです3,4。 「ベオビュ」投与患者の40%以上が12週間隔投与を維持し、導入期後の最初の12週間隔投与を完了した患者の70%が2年目まで12週間隔投与を継続したことから、「ベオビュ」はアフリベルセプトと比較して、より多くのDME患者に対し少ない注射回数で滲出液に対処できる可能性が示されました1。 Retina Consultants of TexasTMのリサーチディレクターであるDavid M Brown医学博士は、次のように述べています。「DMEと診断される患者の平均年齢は48歳で、DMEは主に労働年齢の成人に影響をおよぼします。つまり、複数の糖尿病の合併症に加えて、視力を管理しなければならないことが、生産性の低下および雇用の不安定さにつながる可能性があります5,6。KESTREL試験の2年目に観察された長期投与および滲出液消失から、「ベオビュ」の導入期後12週間隔投与が、患者にとって疾患をより効果的に管理するのに役立つ可能性があることを示唆しています」。
DMEにおける「ベオビュ」のもう1つの重要な第III相臨床試験であるKITE試験*の結果とともに、KESTREL試験の2年目の結果の詳細は、今後の医学学会で発表される予定です。
KESTREL試験の2年目の安全性結果について
KESTREL試験(NCT03481634)における眼内炎症(以下、IOI)の発現率は、「ベオビュ」6mg群で4.2%、「ベオビュ」3mg群で5.3%、アフリベルセプト群で1.1%でした。網膜血管炎(以下、RV)の発現率は、「ベオビュ」6mgで0.5%、「ベオビュ」3mgで1.6%、アフリベルセプトで0%でした1。網膜血管閉塞(以下、RO)の発現率は、「ベオビュ」6mgおよび3mgの両群で1.6%であったのに対し、アフリベルセプト群では0.5%でした1。IOIの大部分は管理可能であり、臨床的な合併症を発症することなく消失しました1。2年目(52から100週目)に血管イベントは報告されませんでした1。KESTREL試験の2年目に新たなRVイベントは報告されませんでした1。2年目に報告された4件の新規RO(2例は「ベオビュ」6mg、1例は「ベオビュ」3mg、1例はアフリベルセプト)のうち、いずれもIOIまたはRVと関連していませんでした1。
滲出型加齢黄斑変性 (以下、AMD)における「ベオビュ」の承認用量はブロルシズマブ6mgです7。ノバルティスはDME患者への「ベオビュ」6mgを届けるため、2021年下半期にKESTREL試験およびKITE試験(NCT03481660)のデータを世界の保健当局に提出します。
KESTREL試験とKITE試験について
KESTREL試験およびKITE試験は、DMEによる視力障害を有する患者を対象とした「ベオビュ」とアフリベルセプトの安全性および有効性を比較検討する2年間の国際共同無作為化二重盲検第III相臨床試験です8,9。
KESTREL試験およびKITE試験には、36ヵ国から926名の患者が参加しました8,9。両試験の導入期では、「ベオビュ」群の患者に6週間ごとに計5回投与しました。アフリベルセプト群は添付文書の記載に従い、試験開始時に4週間隔で計5回投与されました8,9。導入期投与後、「ベオビュ」群の患者は引き続き12週間間隔投与を受け、疾患活動性を示した患者は試験の残りの期間、8週間ごとの投与に移行しました8,9。KITE試験では72週目に、12週毎に投与されていた「ベオビュ」患者は16週毎の投与まで延長することができ、8週毎に投与された患者は12週毎まで延長することができました9。
糖尿病黄斑浮腫(DME)について
DMEは糖尿病患者によくみられる微小血管合併症であり、視力を低下させ、最終的に失明に至る可能性があります10。DMEは先進国における成人の失明原因の第1位であり、1型糖尿病患者の12%、2型糖尿病患者の28%が罹患しています10。
糖尿病に伴う高血糖は、眼の中の細い血管を傷つけることで滲出液の原因になります11。この損傷により、血管内皮増殖因子(VEGF)が過剰に産生されます10,11。VEGFは血管の成長を促すタンパク質です10,11。DME患者のVEGF濃度が上昇すると、VEGFは異常で漏出性の血管の増殖を刺激します10,11。その結果、黄斑部に滲出液(浮腫として知られる)がたまり、視力障害や失明に至ることさえあります10,11。黄斑とは、網膜の中で鮮明な中心視力を担う部位です11。DMEの初期症状には中心視力のかすみ、視覚の歪み、色覚異常などがありますが、早期段階では無症状で進行することもあります11,12。
「ベオビュ」(一般名:ブロルシズマブ)6mgについて
「ベオビュ」(一般名:ブロルシズマブ、開発コード:RTH258)6mgは、滲出型加齢黄斑変性(以下、AMD)の治療薬として、米国、EU、英国、日本、カナダ、オーストラリアを含む70ヵ国以上で承認されています7,13-16。さらに、滲出型AMD、糖尿病黄斑浮腫(DME)および増殖糖尿病網膜症(PDR)を有する患者を対象としてブロルシズマブの有効性を検討する臨床試験が現在実施中です。
眼科領域におけるノバルティス ファーマについて
ノバルティスのミッションは、より充実した、すこやかな毎日のために、新しい発想で医療に貢献することです。
眼科領域では、データや変革技術を駆使して、前眼部から後眼部にわたって人生を変えるような薬や治療法を開発してまいります。当社の眼科用剤は、未熟児から高齢者まで、年間1億5千万人以上の人に届けられています。
*Kite Pharma, Inc.はノバルティスファーマのKITE試験の治験依頼者でも関連会社でもありません。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Data on file. KESTREL (year two) first interpretable results. Novartis, 2021.
- Brown D, Wolf S, Garweg JG, et al. Brolucizumab for the treatment of visual impairment due to diabetic macular edema: 52-week results from the KESTREL & KITE studies. Presented at: The Association for Research in Vision and Ophthalmology 2021 Annual Meeting. May 2021.
- Kang SW, Park CY, Ham D-I. The correlation between fluorescein angiographic and optical coherence tomographic features in clinically significant diabetic macular edema. Am J Ophthalmol. 2004;137(2):313-322.
- Arnold J, Markey CM, Kurstjens NP, Guymer GH. The role of sub-retinal fluid in determining treatment outcomes in patients with neovascular age-related macular degeneration--a phase IV randomised clinical trial with ranibizumab: the FLUID study. BMC Ophthalmol. 2016;143(4):679-680.
- Petrella RJ, Blouin J, Davies B, Barbeau M. Prevalence, Demographics, and Treatment Characteristics of Visual Impairment due to Diabetic Macular Edema in a Representative Canadian Cohort. J Ophthalmol. 2012;2012:159167.
- Kiss S, Chandwani HS, Cole AL, Patel VD, Lunacsek OE, Dugel PU. Comorbidity and health care visit burden in working-age commercially insured patients with diabetic macular edema. Clin Ophthalmol. 2016;10:2443-2453.
- Beovu [US prescribing information] East Hanover, NJ. Novartis Pharmaceuticals Corp; 2020.
- Data on file. KESTREL clinical trial protocol (CRTH258B2301). Novartis, 2021.
- Data on file. KITE clinical trial protocol (CRTH258B2302). Novartis, 2021.
- Romero-Aroca P. Managing diabetic macular edema: The leading cause of diabetes blindness. World J Diabetes. 2011;2(6):98-104.
- National Eye Institute. Macular Edema. Available at: https://www.nei.nih.gov/learn-about-eye-health/eye-conditions-and-disea…. Accessed December 2021.
- National Eye Institute. Diabetic Retinopathy. Available at: https://www.nei.nih.gov/learn-about-eye-health/eye-conditions-and-disea…. Accessed December 2021.
- Beovu [summary of product characteristics] Basel, Switzerland. Novartis; 2020.
- Pharma Japan. National Health Insurance Pricing. Available at: https://pj.jiho.jp/sites/default/files/pj/document/2020/05/New%20Drugs%…. Accessed December 2021.
- Canadian Agency for Drugs and Technologies in Health. CADTH Canadian Drug Expert Committee Recommendation. Available at: https://cadth.ca/sites/default/files/cdr/complete/SR0632%20Beovu%20-%20…. Accessed December 2021.
- Beovu [prescription medicine decision summary] Australia. Novartis: 2020.