プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2021年12月22日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。本剤は日本国内では未承認です。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版は https://www.novartis.com をご参照ください。
- 年2回投与のinclisiranは、FDAが初めて承認したLDL-C(悪玉コレステロール)を低下させる低分子干渉RNA(siRNA)医薬品1
- 最大耐用量のスタチン治療を受けている動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)患者に対して、プラセボと比較してinclisiranは効果的かつ持続的にLDL-Cを最大52%低下2,3
- 米国において、コレステロールを低下させるためにスタチンを服用しているASCVD患者のうち約1,600万人(心臓発作または脳卒中を経験した人を含む)が推奨されているLDL-C目標値に未達4,5
2021年12月22日、スイス・バーゼル発 – ノバルティスは、本日、初回投与および3ヵ月目の投与後は年2回の投与で低比重リポタンパクコレステロール(悪玉コレステロール、以下、LDL-C)値を低下させる初めての低分子干渉RNA(以下、siRNA)医薬品であるinclisiranが、米国食品医薬品局(以下、FDA)に承認されたと発表しました。
ノバルティス社 CEO Vas Narasimhanは、次のように述べています。「InclisiranはLDL-Cを低下させる画期的なアプローチであり、現在の公衆衛生上の課題である心血管疾患へ医療システムがどのように影響するかについて、新たな可能性を生み出すものです。私たちは、パートナーと協力し、米国全体でASCVDに取り組むため、初めて承認されたLDL-Cを低下させるsiRNA医薬品を提供する機会を得ることが出来ました」。
米国では、inclisiranは、動脈硬化性心血管疾患(以下、ASCVD)または家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(以下、HeFH)を有し、食事療法および最大耐用量のスタチン療法を受けてもLDL-Cのさらなる低下が必要な成人患者の治療として承認されています。心血管疾患の罹患率と死亡率に対するinclisiranの効果は、現在進行中の臨床試験で検討されています。
Norman Lepor 医師(ロサンゼルス在住の心臓専門医でinclisiranの第III相臨床プログラムの治験責任医師)は、次のように述べています。「ASCVDは、3,000万人のアメリカ人が罹患している公衆衛生上の重大な課題です。これまでにないsiRNA医薬品であるinclisiranは、年2回投与で、他のコレステロール治療薬とは異なる作用機序を有します。これは、LDL-C目標値達成に苦心しているコレステロール治療薬投与中の何百万人ものASCVD患者にとって強力な選択肢となります」。
inclisiranは、循環血液中のコレステロールレベルを維持させる役割を果たすタンパク質の産生を抑える事で、血中のLDL-Cを減少させます6,7。inclisiranは皮下注射として医師が初回投与後、3ヵ月目に投与し、その後は6ヵ月ごとに投与します。この方法は、自己投与もしくは投与頻度の多さ故に治療継続が困難な患者さんに役立つ可能性があります。Inclisiranは2022年1月初旬に米国において発売される予定です。
Mended Hearts エグゼクティブディレクターAndrea Baerは、次のように述べています。「ASCVDの患者さんは、高コレステロールにより心臓発作または脳卒中を経験し、家族に負担をかけ、生活に悪影響をおよぼしていると思われます。患者さんの健康改善の最初のステップの1つは高コレステロールを管理することであり、この年2回の新治療法が新しい選択肢として提供されることに私たちは勇気づけられています」 。
FDAの承認は、包括的な第III相臨床試験であるORION-9、10および11試験の結果に基づいており、これらの試験では、ASCVDまたはHeFHを有し、最大耐用量のスタチンを投与されている3,457例が対象でした2,3。第III相臨床試験では17ヵ月時点で、inclisiranはプラセボと比較して最大52%の有効かつ持続的なLDL-C低下作用を示し、良好な忍容性が報告され、安全性プロファイルはプラセボと同等であることが示されました2,3。主な副作用は、軽度から中等度の注射部位反応(痛み、赤み、発疹など)、関節痛、尿路感染、下痢、感冒、下肢または腕の痛みおよび息切れでした2,3。
ノバルティスは、RNAi治療薬のリーダーであるアルナイラム・ファーマシューティカルズ社とのライセンス・提携契約の下で、inclisiranの開発、製造、商品化の世界的な権利を取得しています。
循環器・腎・代謝領域におけるノバルティスについて
循環器、腎および代謝疾患は、グローバルな健康問題です8-11。これらの慢性で複雑な、しばしば遺伝性である疾患は相互に関連していることが多く、医療や治療の限界がありながら、その状況に変革をもたらす治療薬がないため、ほとんどの場合、同じ転帰、すなわち心血管死に至ります8-11。
心血管疾患は世界で最も死亡率の高い疾患です8。すべてのがんを合わせた数よりも多く、全世界で3人に1人の割合でその命を奪っています8,12。すべての心血管イベントのうち、80%は予防可能です13。患者とその家族、そして社会もより良い治療法を求めています。
当社のレガシー、グローバルな基盤、最先端の科学の組み合わせのおかげで、ノバルティスはこの状況を変える手助けができる独自のポジションに位置しています。私たちは、これらの疾患を生涯通じてどのように管理していくか、それらとの関係について考え方を変えつつあります。私たちの努力は、早期の治療介入、予防から管理までの心血管疾患、腎および代謝性疾患のスペクトルに対処する先駆的な治療法の開発、並びに革新的なアクセスモデルの創出を含みます。社会との関わり方を書き換えることで、健康アウトカムを改善し、心血管死の危機を後退させるための世界的な取り組みをリードします。 私たちの目標は、心血管疾患による早期死亡を減らすことで、生存曲線を変えることです。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
参考文献
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- Raal FJ, Kallend D, Ray KK, et al. Inclisiran for heterozygous familial hypercholesterolemia. N Engl J Med. 2020;382(16):1520-1530. doi:10.1056/NEJMoa1913805
- Wong ND, Young D, Zhao Y, et al. Prevalence of the American College of Cardiology/American Heart Association statin eligibility groups, statin use, and low-density lipoprotein cholesterol control in US adults using the National Health and Nutrition Examination Survey 2011-2012. J Clin Lipidol. 2016;10(5):1109-1118. doi: 10.1016/j.jacl.2016.06.011
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https://www.cancer.org/content/dam/cancer-org/research/cancer-facts-and… - World Health Organization. Cardiovascular diseases: Data and statistics. Accessed November 23, 2021. https://www.euro.who.int/en/health-topics/noncommunicable-diseases/card…
ノバルティス、年2回投与でコレステロールを低下させるファースト・イン・クラスのsiRNAである inclisiranの FDA承認を取得(PDF 305KB)