プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年5月4日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。本適応症は日本では未承認です。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。
- 「キムリア」は、進行した再発または難治性濾胞性リンパ腫患者に対し、優れた安全性プロファイルを提示。単回投与で高い有効性が期待できるCAR-T細胞療法を欧州で提供
- 複数の前治療を受けた患者に対して、追跡調査解析により「キムリア」の高い奏効率(全奏効率86%、完全奏効率69%)が確認された第II相ELARA試験に基づき欧州委員会(EC)で承認取得1
- 濾胞性リンパ腫は、複数ラインの治療後にも再発を繰り返す、治癒が難しい悪性腫瘍のひとつ2,3
- 再発または難治性の濾胞性リンパ腫に対する承認は、EUにおける「キムリア」の3つ目の適応症
2022年5月4日、スイス・バーゼル発 -ノバルティスは本日、欧州委員会(EC)が、2ライン以上の全身療法後の再発または難治性(r/r)の濾胞性リンパ腫(FL)の成人患者の治療製品としてCAR-T細胞療法「キムリア®」(一般名:チサゲンレクルユーセル、以下「キムリア」)を承認したと発表しました。この承認は、欧州医薬品庁(EMA)の欧州医薬品委員会(CHMP)による3月の肯定的な見解を受けたもので、欧州連合の全27の加盟国とアイスランド、ノルウェー、リヒテンシュタインに適用されます。この承認は「キムリア」の3つ目の適応症となり、r/r FL患者(グレード1、2、および3Aを含む)に対してEUで承認された初のCAR-T細胞療法となります1。
パリ第7大学(フランス)血液学教授で、セントルイス病院(パリ)血液腫瘍科部長のCatherine Thieblemont氏(MD、PhD)は「濾胞性リンパ腫は治療に奏効しない場合や再発した場合、通常、より悪性度が高くなり、治療が困難になります。複数の治療によりベネフィットが低下し状態が悪化する患者さんがほとんどです。」と述べています。「欧州において『キムリア』が承認されたことで、患者さんは根治をもたらす可能性のある治療を受けることができ、転帰の改善につながると期待されます。」と続けました。
今回の承認は、「キムリア」の投与を受けた患者の86%に奏効が認められ、69%に完全奏効(CR)が認められた国際共同第II相ELARA試験に基づいています1。CRを達成した患者の87%において、最初に奏効が達成されてから9カ月後以降も効果が持続し、奏効の長期持続が示されています1。この試験では、投与を受けた患者94例の有効性を評価し、追跡期間の中央値は約21カ月でした1。
安全性が評価可能であった患者97例で確認された「キムリア」の安全性プロファイルは良好でした1。「キムリア」投与を受けた患者の50%にサイトカイン放出症候群(CRS)が報告されましたが、グレード3または4(Lee尺度)のCRSは報告されませんでした1。「キムリア」投与後8週間以内に患者の9%(1%がグレード3または4)に神経系副作用が発現しました1。患者の16%に重度の感染症(グレード3または4)が発現しました1。
ノバルティスのインターンナショナル地域(米国以外)のイノベーティブメディスンのプレジデントおよびチーフ・コマーシャル・オフィサーであるMarie-France Tschudinは、「今回の承認により、このような現状を打破できる治療法をこの治療が難しい血液がんに苦しんでいる世界中の多くの患者さんに提供できることをうれしく思っています。長期間持続する治療効果と柔軟な投与を可能にする安全性プロファイルにより、私たちはがん患者さんのさらなる生存期間延長と、患者さんや医療制度に対して、この疾患の負担を軽減することを目指しています。」と述べています。
欧州では、「キムリア」は、r/r FLに加え、難治性、移植後の再発、または2回目以降の再発のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児および若年成人(25歳まで)の治療、および2ライン以上の全身療法を受けたr/rびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の成人患者の治療としても承認されています1。
細胞・遺伝子治療に対するノバルティスの取り組みについて
ノバルティスでは、4つのがん治療プラットフォーム(放射性リガンド療法、標的療法、免疫療法、および細胞・遺伝子治療)を独自の戦略として注力しています。この一環として、より多くの患者さんががんから解放された状態で生活できるように、細胞療法による治癒を目指しています。私たちは引き続き、時代に即したイノベーションをさらに前進させるために、科学を開拓し、製造とサプライチェーンのプロセスに投資していきます。
ノバルティスは世界で最初にCAR-Tの研究に大規模な投資を行い、世界的規模でCAR-T治験を開始した製薬会社です。ペンシルベニア大学ペレルマン医学部と共同で開発し、世界で初めて承認されたCAR-T細胞療法の「キムリア」は、CAR-T細胞療法に対するノバルティスの取り組みの基盤です。
ノバルティスは、「キムリア」をひとりでも多くの患者さんに届けるために取り組んでいます。現在、30カ国で1つ以上の適応症に対し、370以上の医療機関で「キムリア」が使用可能です。臨床試験および実際の診療において、6,900例を超える患者さんが投与を受けられました。ノバルティスは、今後も、これまでの経験を活かして次世代CAR-T細胞療法の開発を行い、細胞治療の先駆として取り組んでいきます。ノバルティスの新しいT-ChargeTMプラットフォームを利用し、適応症を造血器腫瘍全体に拡大させ、さらに他のがん患者さんにも治癒の希望をもたらすことが期待されています。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com
以上
ノバルティス、「キムリア®」が再発または難治性の濾胞性リンパ腫の成人患者に対する初のCAR-T細胞療法として欧州委員会(EC)承認を取得(PDF 294KB)
参考文献
- Kymriah [summary of product characteristics]. 2022.
- Sutamtewagul G, Link BK. Novel treatment approaches and future perspectives in follicular lymphoma. Ther Adv Hematol. 2019;10:2040620718820510. Published 2019 Jan 11. doi:10.1177/2040620718820510.
- Wudhikarn, K., et al. Comparative effectiveness research in follicular lymphoma: current and future perspectives and challenges. J Comp Eff Res. 2014.