Jun 09, 2022

プレスリリース

報道関係各位

ノバルティス ファーマ株式会社

この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年5月28日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。本適応症は日本では未承認です。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。

  • ELARA試験において「キムリア」投与患者の68%に完全奏効が認められ、全奏効率は86%にのぼり、優れた安全性プロファイルも確認1
  • 「キムリア」投与による持続的な臨床的ベネフィットを確認– 完全奏効を達成した患者のうち、85%が12カ月後も奏効を持続1
  • 「キムリア」は外来投与が可能であり、治療の柔軟性が高まり、患者やケアチームの治療負担を軽減する可能性1,2
  • 「キムリア」は現在、3つの適応症で米国食品医薬品局(FDA)の承認を受けており、成人および小児両方で承認されている唯一のCAR-T細胞療法1

2022年5月28日、スイス・バーゼル発-ノバルティスは本日、米国食品医薬品局(FDA)から2ライン以上の全身療法後の再発または難治性(r/r)の濾胞性リンパ腫(FL)の成人患者の治療薬としてCAR-T細胞療法「キムリア®」(一般名:チサゲンレクルユーセル、以下「キムリア」)の迅速承認を得たことを発表しました。迅速承認プログラムに従って、この適応症の承認の継続には、検証的試験での臨床的ベネフィットの検証および説明が条件として課されています。「キムリア」は現在、3つの適応症でFDAの承認を受けており、成人および小児両方に承認されている唯一のCAR-T細胞療法です1

ノバルティスの米国のイノベーティブメディスンのプレジデントであるVictor Bultoは、「本日、『キムリア』の3つ目の適応症に対する承認をFDAから得られたことを嬉しく思います。長期奏効をもたらす可能性のあるこの治療選択肢が、濾胞性リンパ腫患者における絶え間なく続く治療サイクルの連鎖を断ち切る助けとなるものと期待しています。」と述べ、「私たちは、細胞療法における先駆けとなる研究を足がかりとして、患者さんへの影響を念頭に革新的な研究を続けていくという使命を負っています。」と続けました。

今回の承認は、単群非盲検試験である第II相ELARA試験のデータに基づいています。この試験では患者90例の有効性を評価し、追跡期間の中央値は約17カ月でした。完全奏効を達成した68%を含め、キムリアの投与を受けた患者の86%が奏効を達成しました1

完全奏効を達成した患者のうち、最初に奏効が確認されてから12カ月時点の奏効維持率は85%であり、本治療による奏効の長期持続が示されました1。キムリアは、多くの前治療歴、難治性疾患、初回治療開始後 24 カ月以内の疾患進行歴(POD24)、巨大病変、または濾胞性リンパ腫国際予後指標(FLIPI)スコアHigh等を有する高リスク患者において有効であることが示されました1

追跡期間の中央値21カ月時点で安全性の評価が可能であった患者97例で、「キムリア」は優れた安全性プロファイルを示しました1。患者の53%にサイトカイン放出症候群(CRS)(Lee尺度で定義されるグレードを問わず)が発現しましたが、グレード3以上のCRSが報告された症例はありませんでした1。患者の43%に神経学的事象(グレードを問わず)が発現しましたが、グレード3以上の神経学的事象が認められたのは患者の6%でした1。患者の18%(97例中17例)は外来で投与を受けました3

ペンシルベニア大学 ペレルマン医学大学院の教授(慢性リンパ球性白血病・リンパ腫臨床ケア研究/ロバート&マルガリータ・ルイス・ドレイファス)かつ、アブラムソンがんセンターのリンパ腫プログラム責任者であり、ELARA試験の治験責任医師でもあるStephen J. Schuster(MD)は、「再発または難治性の濾胞性リンパ腫患者は予後不良であり、意義のある持続的な奏効が得られないまま、いくつもの治療を受け続けなければなりません。」と述べました。「この新しい有効な選択肢は濾胞性リンパ腫患者に長期ベネフィットをもたらす可能性があります。」と続けました。

濾胞性リンパ腫は一般に悪性度の低い種類のがんですが、FL患者が受ける治療ライン数は中央値で4ラインで、多ければ13ラインを受けることもあります4,5。複数の全身療法が利用可能ですが、これらのレジメンの有効性は後の治療ラインになるほど急速に低下します6

リンフォーマ・リサーチ・ファンデーションの最高経営責任者であるMeghan Gutierrezは、「『キムリア』が承認されたことで、再発または難治性の濾胞性リンパ腫患者には新たな治療選択肢と患者アウトカム改善の新たな希望がもたらされます。」と述べ「この単回投与の治療選択肢を持つことは、医療提供者がこの種の血液がんにアプローチする方法を転換するのに役立つでしょう。私たちは患者のベネフィットのために科学研究の加速に貢献している方々を称賛します。」と続けました。

2022年5月初旬、欧州委員会は、「キムリア」を2ライン以上の全身療法後のr/r FL成人患者の治療薬として承認しました。これは、欧州連合内の患者が「キムリア」を利用できる3つ目の適応症となります。

細胞・遺伝子治療に対するノバルティスの取り組みについて

ノバルティスでは、4つのがん治療プラットフォーム(放射性リガンド療法、標的療法、免疫療法、および細胞・遺伝子治療)を独自の戦略として注力しています。この一環として、より多くの患者さんががんから解放された状態で生活できるように、細胞療法による治癒を目指しています。私たちは引き続き、時代に即したイノベーションをさらに前進させるために、科学を開拓し、製造とサプライチェーンのプロセスに投資していきます。

ノバルティスは世界で最初にCAR-Tの研究に大規模な投資を行い、世界的規模でCAR-T治験を開始した製薬会社です。ペンシルベニア大学ペレルマン医学部と共同で開発し、世界で初めて承認されたCAR-T細胞療法の「キムリア」は、CAR-T細胞療法に対するノバルティスの取り組みの基盤です。

ノバルティスは、「キムリア」をひとりでも多くの患者さんに届けるために取り組んでいます。現在、30カ国で1つ以上の適応症に対し、370以上の医療機関で「キムリア」が使用可能です。臨床試験および実際の診療において、6,900例を超える患者さんが投与を受けられました。ノバルティスは、今後も、これまでの経験を活かして次世代CAR-T細胞療法の開発を行い、細胞治療の先駆として取り組んでいきます。ノバルティスの新しいT-ChargeTMプラットフォームを利用し、適応症を造血器腫瘍全体に拡大させ、さらに他のがん患者さんにも治癒の希望をもたらすことが期待されています。

ノバルティスについて

ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com

以上

ノバルティス、「キムリア®」が再発または難治性の濾胞性リンパ腫の成人患者に対するCAR-T細胞療法としてFDA承認を取得(PDF 341KB) 

参考文献

  1. Kymriah [prescribing information]. East Hanover, NJ: Novartis Pharmaceuticals Corp; 2022.
  2. Fowler, NH. et.al. Assessment of Healthcare Resource Utilization and Costs in Patients with Relapsed or Refractory Follicular Lymphoma Undergoing CAR-T Cell Therapy with Tisagenlecleucel: Results from the Elara Study. Abstract #3533. 2021 American Society of Hematology (ASH) Annual Meeting, Dec 11-14, Atlanta, GA and Virtual.
  3. Fowler, N.H., et al.Tisagenlecleucel in adult relapsed or refractory follicular lymphoma: the phase 2 ELARA trial. Nature Medicine. 2021;10.1038/s41591-021-01622-0.
  4. Data on File, Novartis, 2020.
  5. Schuster, S., et al. Chimeric antigen receptor T cells in refractory B-cell lymphomas. NEJM. 2017;377(26):2545–2554.
  6. Sutamtewagul, G. & Link, B.K. Novel treatment approaches and future perspectives in follicular lymphoma. Ther Adv Hematol. 2019; 10:1–20.