プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年6月7日(現地時間)に発表したプレスリリースを日本語に翻訳・要約したもので、報道関係者の皆様に対する参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については英語が優先されます。英語版はhttps://www.novartis.comをご参照ください。
- 「セムブリックス®」は、24週時点の結果に続き、96週時点の分子遺伝学的大奏効率が、ボスチニブに比べて2倍以上改善する優れた有効性を提示(37.6% vs. 15.8%)1,2
- 長期安全性は一貫しており、有害事象による中止率は「セムブリックス®」群がボスチニブ群の3分の1未満(7.7%対26.3%)1,2
- 最新結果は、2種類以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による治療歴のある慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(CML)患者における「セムブリックス®」の使用、並びに新規作用機序により標準治療を変える可能性を引き続き支持1,2
- 臨床開発プログラムは引き続きCMLの複数の治療ラインで「セムブリックス®」を評価中、追加データはEuropean Hematology Association 2022 Hybrid Congressにて発表予定
2022年6月7日、スイス・バーゼル発 — ノバルティスは本日、2022年米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会にて、2剤以上のチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による治療歴がある慢性期のフィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病患者(Ph+ CML-CP)を対象とした第III相ASCEMBL試験の長期追跡調査データを発表しました。この解析では、96週の時点で分子遺伝学的大奏効(MMR)を達成した被験者の割合は、「セムブリックス®」(一般名:アシミニブ塩酸塩、以下「セムブリックス」)群(n=157)では、ボスチニブ群(n=76)と比べて2倍以上高く(37.6% vs. 15.8% [P=.001])、前回の解析から大幅に増加しました1,2。さらに、「セムブリックス」の投与を受けた患者で72週間以上MMRが維持される確率は96.7%(95%信頼区間(CI)、87.4%-99.2%)であり、長期的な有効性の持続が示されました1。
曝露期間(中央値)は「セムブリックス」群がボスチニブ群に比べて長いにも関わらず(23.7カ月vs. 7.0カ月)、最新の96週解析において、有害事象(AE)により治療を中止した患者の割合は、「セムブリックス」群で、引き続きボスチニブ群の3分の1未満でした(7.7% vs.26.3%)。24週時の主要解析以降、治療中の新たな死亡は報告されませんでした1,2。
Augusta University, Georgia Cancer Center, DirectorであるJorge E. Cortes医学博士は次のように述べています。 「既存治療の多くに抵抗性が発現したり、時間が経つにつれ患者さんの生活の質が治療の副作用によって悪影響を受けることのある慢性がんにおいて、長期的に『セムブリックス』による治療を受けた患者さんで有効性の維持と向上がみられ、一貫して十分な忍容性が得られたことは勇気づけられる結果です。この96週のデータは、『セムブリックス』の可能性とそのユニークな作用機序がCMLの治療パラダイムの変革に役立つことを示しています。」
「セムブリックス」は、ABLミリストイルポケットと結合して作用する、米国食品医薬品局(FDA)によって初めて承認されたCML治療薬です3。この新規の作用機序は、学術論文ではSTAMP阻害剤としても知られており、「セムブリックス」は、Ph+ CML-CP患者のTKI治療への耐性に対処し、白血病細胞の過剰産生と関連するBCR-ABL1遺伝子の変異を克服できる可能性があります2,4-10。「セムブリックス」は、引き続きCML-CPに対する複数の治療ラインでの試験で検討が進められています11-18。
主要解析と一致する持続的な奏効に加えて、「セムブリックス」群ではボスチニブ群と比べて、より多くの患者が96週時にBCR::ABL1≤1%を達成しました(45.1% vs 19.4%)。最も発現頻度の高かった(いずれかの投与群で10%超)グレード3以上のAEは、「セムブリックス」群とボスチニブ群でそれぞれ、血小板減少症(22.4%、9.2%)、好中球減少症(18.6%、14.5%)、下痢(0%、10.5%)、およびアラニンアミノトランスフェラーゼ増加(0.6%、14.5%)でした1。これらは、24週間および48週間の解析で報告された結果と同様でした1,2,19。
ノバルティスのExecutive Vice Presidentであり、Oncology & Hematology Development のGlobal Head であるJeff Legosは、次のように述べています。「これらの長期追跡期間の結果は、『セムブリックス』の有望な可能性をさらに強く示しており、世界中のより多くの患者さんにこの治療法をお届けするために進めている各国規制当局への承認申請を支持するものとなります。CMLの治療革新のリーダーとして、当社は、『セムブリックス』がこの疾患の患者さんの標準治療を再び変革する可能性があると確信しています。」
ノバルティスが掲げるreimagining cancer care(がん治療の未来を描く)に対する大胆なアプローチやASCOデータプレゼンテーションへのアクセスを含む、ASCOでのノバルティスからの最新情報は、https://www.hcp.novartis.com/virtual-congress/a-2022/をご覧ください。早期の治療ライン、並びにT315I変異を有する患者でセムブリックスを評価する試験の更なる最新情報は、次回のEuropean Hematology Association 2022 Hybrid Congressで発表する予定です。詳細については、https://www.hcp.novartis.com/virtual-congress/eha-2022/をご覧ください。
「セムブリックス」(一般名:アシミニブ塩酸塩)について
「セムブリックス」は、2剤以上のTKIによる治療歴のあるPh+CML-CPの成人患者およびT315I変異を有するPh+CML-CPの成人患者の治療を適応症として米国FDAに承認されています*。1つめの適応症は、24週時点のMMR率に基づき、FDAのAccelerated Approval Programのもとで承認されており、この適応症に対する承認は、検証的なエビデンスに基づく臨床的ベネフィットの確認および説明に基づいて維持され得ます3。
「セムブリックス」は現時点で利用可能なTKI治療に抵抗性および/または不耐容である患者にとって重要な進歩であり、現在、CML-CPの複数の治療ラインで開発が検討されています2,11-18。特に、第III相ASC4FIRST試験(NCT04971226)は、新たに診断されたPh+CML-CPの成人患者を対象に、「セムブリックス」と治験担当医師が選択したTKIを比較し、評価する試験であり、被験者登録が進んでいます12。
世界中、複数の国や地域の規制当局において「セムブリックス」の審査が進行中です。世界中のより多くの国でさらに多くの患者さんに「セムブリックス」をお届けするため、これらの96週時のASCEMBL試験の最新結果は規制当局と共有されます。
*2剤以上のTKIによる治療歴のあるPh+CML-CPに対する80 mg 1日1回投与、およびT315I変異を有するPh+ CML-CPに対する200 mg 1日2回投与については、日本では未承認。
CMLに対するノバルティスの取り組みについて
ノバルティスは、CMLで苦しむ患者さんに対して長年にわたって科学的な取り組みを行っています。ノバルティスの20年以上にわたる研究開発により、多くの患者さんにとって、この疾患は致命的な白血病から慢性疾患へと変化しました。このような進歩のなかで、ノバルティスは現在も歩み続けています。今後も、この疾患に対する治療法を追求し、多くの患者さんが直面する治療抵抗性や不耐容という課題に取り組みます。また、ノバルティスは今後も、患者さんの持続可能な医療へアクセスできるよう尽力し、グローバルなCMLコミュニティと連携しながら、CML治療の未来を描いてまいります。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬品と医療の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は約140カ国に及びます。詳細はホームページをご覧ください。https://www.novartis.com
以上
ノバルティスの新作用機序を有する「セムブリックス®」、慢性骨髄性白血病患者に対する96週間の追跡期間において優れた長期有効性および一貫した忍容性を示す(PDF 344KB)
参考文献
- Cortes JE, et al. Oral presentation at ASCO 2022; June 3-7, 2022. Chicago, IL and virtual. Abstract 7004.
- Rea D, et al. A Phase 3, Open-Label, Randomized Study of Asciminib, a STAMP Inhibitor, vs Bosutinib in CML After≥ 2 Prior TKIs. Blood. 2022. DOI: 10.1182/blood.2020009984. PMID: 34407542.
- Scemblix [prescribing information]. East Hanover, NJ: Novartis Pharmaceuticals Corp.
- Wylie AA, et al. The allosteric inhibitor ABL001 enables dual targeting of BCR–ABL1. Nature. 2017;543(7647):733-737. 4.
- Schoepfer J, et al. Discovery of Asciminib (ABL001), an Allosteric Inhibitor of the Tyrosine Kinase Activity of BCR-ABL1. J Med Chem. 2018;61(18):8120-8135.
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- Ottmann OG, et al. ABL001, a Potent, Allosteric Inhibitor of BCR-ABL, Exhibits Safety and Promising Single- Agent Activity in a Phase I Study of Patients with CML with Failure of Prior TKI Therapy. Blood. 2015;126(23):138.
- Mauro MJ, et al. Combination of Asciminib Plus Nilotinib (NIL) or Dasatinib (DAS) in Patients (PTS) with Chronic Myeloid Leukemia (CML): Results from a Phase 1 Study. Poster presented at: EHA Annual Meeting; June 15, 2019.
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- ClinicalTrials.gov. 2021. Study to Determine the Dose and Safety of Asciminib in Pediatric Patients With Chronic Myeloid Leukemia [online] Available at: https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04925479.
- Mauro, JM. Efficacy and Safety Results from ASCEMBL, a Multicenter, Open-Label, Phase 3 Study of Asciminib, a First-in-Class STAMP Inhibitor, Vs Bosutinib in Patients with Chronic Myeloid Leukemia in Chronic Phase after ≥2 Prior Tyrosine Kinase Inhibitors: Update after 48 Weeks. Oral presentation at: ASH Annual Meeting; Dec. 11, 2021. Abstract #310.