プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
ノバルティス ファーマ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:レオ・リー)は 多発性硬化症の患者さん向け情報紹介サイト「多発性硬化症.jp」内に新たに特設ページを立ち上げ、「つづけ、ワタシ」をテーマとした疾患啓発活動を開始しました。本ページは、多発性硬化症の患者さんの日々の活動に役立つ医療情報を提供し、患者さんご自身がしっかりと自分自身の疾患と向き合うサポートをすることを目的としています。
多発性硬化症は、脳や脊髄、視神経の様々な部分に病変が出現し、視力障害、運動・感覚障害、歩行障害など多彩な症状が現れることにより、日常生活に大きな影響を及ぼします。また、再発と寛解を繰り返しながら徐々に障害が進行するため、より早期に適切な治療を開始し、継続することにより、再発と障害進行を抑制することが重要です1。しかし、実際には多発性硬化症と診断されるまでに数年もの時間を要したり、診断されても治療を受けられていない、あるいは治療を中断してしまい適切な医療を受け続けられていない患者さんが一定数いらっしゃることが問題視されています。
東北医科薬科大学医学部 老年神経内科学教授の中島一郎先生は以下のように述べられています。「多発性硬化症では、再発や進行を抑制するための早期治療および継続した治療が重要ですが、実際の医療現場では、症状が出始めてから診断されるまでに複数の医療機関を受診せざるをえないために治療の開始が遅れたり、継続した治療がなされていない患者さんがおられます。このため、最適な治療タイミングを逃し、障害の進行・悪化を起こしてしまう可能性があります。我々医療関係者は、適切な治療を行うことに加えて、『なぜ早期の治療が必要なのか?』『今は症状がなくても治療を継続していくことが患者さんの将来にどうつながるのか?』を患者さんに伝えていくことが重要です。また、患者さんが抱える現在および将来の不安を共有し、これからの治療目標について一緒に考え、話し合いながら、未来への希望を患者さんに持っていただく必要があります。」
今回、ノバルティス ファーマは、適切な治療により自分らしく、前を向いて、あしたへ向かうことをイメージした「つづけ、ワタシ」の特設ページを立ち上げ、疾患や治療に関する情報に加えて、患者さんと医師とのコミュニケーションを手助けするツールや実際に各地域で患者さんの診療にあたられている先生方の応援メッセ―ジを予定しています。新たに作成した「治療相談シート」は、患者さんがより自分の疾患について考え、「自分らしい生活」や「やりたい」と思ったことを実現するために、生活や仕事・ライフイベントに関して医師に詳しく確認したいことや「こうありたい」との思いを具体的に医師に伝えるコミュニケーションツールになっています。
この疾患啓発を通して、患者さんが疾患と向き合いより深く疾患を理解し、治療に対して自身の想いを伝え、納得して治療を受けていただけるサポートを続けていきます。
多発性硬化症について
多発性硬化症(MS)は、ミエリンの損傷、脳、視神経および脊髄の機能障害を特徴とする中枢神経系の慢性炎症性疾患です2。日本におけるMS患者数は約1万9千人とされ、年々増加しています3。また、発症のピークは20歳代で、女性に多い疾患です4。MSは、発症後しばらくは症状があらわれる期間(再発期)と症状が治まる期間(寛解期)を繰り返す再発寛解型MS(RRMS)として経過しますが、半数は次第に再発の有無にかかわらず病状が進行する二次性進行型MS(SPMS)に移行します。進行期に移行すると日常生活に影響をおよぼす不可逆的な身体的障害が徐々にみられるようになります5。また、認知機能障害が進み、雇用に影響をもたらすこともあります6。その結果、日常生活において、次第に家族のサポートが必要となることから、進行の症状は患者のみならず家族の社会生活にも少なからず影響を与える指定難病です7,8。MSのさまざまな病型は、患者が再発(明確に定義できる神経機能を悪化させる急性炎症性発作)を経験するかどうか、および/または疾患の発症から神経損傷および身体障害進行につながるかどうかに基づいて判断されます2。
本患者さん向け情報サイトについて、ノバルティス ファーマの代表取締役社長レオ・リーは次のように述べています。「多発性硬化症は、治療薬の有効性と安全性のバランスや、患者さんの予後不良因子、症状、ライフスタイル、個々の希望する人生など、非常に多くの要因を鑑みて治療選択をする必要があります。しかし、患者さんの適切な疾患認知が不足しており、適切に早期治療や治療継続がなされていないことが課題となっています。この度開設したサイト「つづけ、ワタシ」が、多発性硬化症と共に生きている患者さんが、しっかりと疾患と向き合い、それぞれの患者さんらしい人生を叶える一助となり、患者さんに貢献するものとなることを期待しています。」
ノバルティスの神経内科領域における取組みについて
ノバルティスは、神経内科領域においてアンメットニーズの高い疾患に苦しむ患者への革新的な治療法をお届けすることができるよう研究開発に注力しています。私たちは、MS、片頭痛、アルツハイマー型認知症、パーキンソン病、てんかん、注意欠陥多動性障害など、複数にわたる疾患の患者と医療関係者へのサポートに努め、MS、アルツハイマー型認知症、脊髄性筋萎縮症、および特殊神経領域での有望なパイプラインを揃えています。
ノバルティス ファーマ株式会社について
ノバルティス ファーマ株式会社は、スイス・バーゼル市に本拠を置く医薬品のグローバルリーディングカンパニー、ノバルティスの日本法人です。ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。ノバルティスは世界で約11万人の社員を擁しており、8億人以上の患者さんに製品が届けられています。ノバルティスに関する詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.co.jp
以上
参考文献
- NakashimaI,etal.:ClinExpNeuroimmunol6(3),275–280,2015.
- Guthrie E. Multiple sclerosis: a primer and update. Adv Studies Pharm. 2007;4(11):313-317.
- 難病情報センターホームページ 特定疾患医療受給者証所持者数https://www.nanbyou.or.jp/entry/1356
- Multiple Sclerosis International Federation.: Atlas of MS 2013.
- [Nandoskar A, et al. (2017)] Pharmacological aproaches to the Management of Secondary Progressive Mulitple Sclerosis. Drugs; 7 (8); 885-910.
- [Strober L, et al, (2014)] Unemployment in multiple sclerosis (MS) : utility of the MS Functional Composite and cognitive testing. Mult Scler; 20(1):112-5.
- [Naoshy S, et al. (2015)] The Impact of Increasing Multiple Sclerosis (MS) Severity Level on Employment and Caregiver Burden. Value Health 18(7) 722-9.
- 医療情報科学研究所 編.: 病気がみえる vol.7 脳・神経 第2版, メディックメディア, 2017Smith P, Huck C, Wegert V, et al. Low-dose, subcutaneous anti-CD20 therapy effectively depletes B-cells and ameliorates CNS autoimmunity. Poster presentation at: ECTRIMS; September 2016; London, UK.
ノバルティス、多発性硬化症患者さんに向けて「つづけ、ワタシ」をテーマに疾患啓発活動を開始~患者さんが、それぞれの自分らしい人生を叶えるために~(PDF 281KB)