プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年12月8日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。本適応症は日本では未承認です。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。
- 第III相APPOINT-PNH試験は、補体阻害薬未治療の発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)患者において、主要評価項目を達成1
- APPOINT-PNHのデータはAPPLY-PNHの結果と一貫しており、補体阻害薬未治療のiptacopan投与患者のかなりの割合で、輸血を受けずにベースラインと比較して臨床的意義のあるヘモグロビン値の増加が達成されたことが示された1
- 抗C5抗体薬による治療にもかかわらず、PNH患者の大部分は貧血や疲労を呈し、輸血を要する。PNHには抗C5療法では対処できない重大なアンメットニーズがある
- APPOINT-PNH試験の結果は、今後、医学会議で発表され、2023年の承認申請の一部として含まれる予定
2022年12月8日、スイス・バーゼル発―ノバルティスは本日、補体阻害薬(抗C5抗体薬等)未治療のPNH成人患者を対象として開発中のiptacopan経口単剤療法の第III相APPOINT-PNH試験(NCT04820530)が主要評価項目を達成したことを発表しました。本発表では、24週時点でiptacopan(200 mg、1日2回)投与患者のかなりの割合で、輸血を受けずに臨床的に意味のあるヘモグロビン値の上昇(ベースラインから2 g/dL以上の上昇)が達成されたことが示されました1。
本試験におけるiptacopan単剤療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されているデータと一貫していました1,6,7。詳細な結果は、今後の医学会議で発表され、2023年の承認申請にも含まれる予定です。
ノバルティスの循環器・腎・代謝領域開発部門統括責任者であるDavid Soergel, (M.D.)は次のように述べています。「第III相APPOINT-PNH試験で得られた補体阻害薬未治療患者における試験結果は非常に心強いものです。本試験は、PNHに対するiptacopanの2つ目の結果となりますが、この治療の有益性が頑健である可能性を強調するものです。本試験の結果を元に、iptacopanをPNHに対する最初の経口単剤療法とすることを目標に、幅広い適応について申請を検討しています。」
先日公表された第III相APPLY-PNH試験では、2つの主要評価項目を達成し、抗C5抗体薬による前治療にもかかわらず貧血が残存しているPNH成人患者において、iptacopanは抗C5薬(エクリズマブ又はラブリズマブ)に対する優越性を示しました8。
この試験では、24週時点で輸血を受けずにヘモグロビン値がベースラインから2 g/dL以上増加した患者,及び12 g/dL以上に増加した患者の割合が、抗C5療法と比較して、いずれも統計学的に有意かつ臨床的に意味のある増加を示しました8。
ノバルティスは、本研究を可能にした患者及び治験責任医師の時間、信頼、そして献身的な取り組みに感謝するとともに、iptacopanがPNHに対する最初の経口単剤療法の選択肢となる可能性を引き続き追求していきます。
Iptacopanは他に補体介在性腎疾患(CMKD; Complement Mediated Kidney Diseases)であるC3腎症(APPEAR-C3G試験 [NCT04817618])、IgA腎症(APPLAUSE-IgAN試験 [NCT04578834])および非典型溶血性尿毒症症候群(APPELHUS試験 [NCT04889430])の患者を対象とした第III相試験を実施しています7-9。
第III相臨床試験APPLY-PNH試験のデータを米国血液学会で発表後、ノバルティスファーマは2022年12月13日の18:30 CET/12:30 ET時に投資家向け電話会議を開催します。同時ウェブキャストは、ノバルティスのウェブサイトhttps://www.novartis.com/investors/event-calendar からアクセスできます。また、終了後の再生も可能です。
第III相 APPOINT-PNH試験について
APPOINT-PNH(NCT04820530)は、抗C5抗体薬等(例:エクリズマブ又はラブリズマブ)の補体阻害薬未治療成人PNH患者を対象とした、iptacopan200mg1日2回経口単剤療法の有効性及び安全性を評価する第III相、国際共同、多施設共同、非盲検、単群試験です12。
主要評価項目は、24週時点で赤血球輸血を受けずにヘモグロビン値がベースラインから2 g/dL以上増加した被験者の割合を評価することでした12。副次評価項目は、赤血球輸血を受けることなく、ヘモグロビン値12 g/dL以上への増加を持続的に達成した被験者の割合、輸血を必要としない被験者の割合、ヘモグロビン値の平均変化量、乳酸脱水素酵素(LDH)値の平均変化率、ブレイクスルー溶血の発現率、網状赤血球数の平均変化量、疲労の変化、および主要血管有害事象イベントの発現率が含まれました。
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH: Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria)について
PNHは、希少、慢性かつ重篤な補体介在性血液疾患です2-5。PNH患者は、造血幹細胞(骨髄内に存在し、赤血球、白血球、血小板に成長・分化することができる細胞)の一部に後天的変異が生じ、これにより補体系による早期破壊を受けやすい赤血球が産生されます2-5,11-14。その結果、血管内溶血(血管内での赤血球の破壊)や血管外溶血(主に脾臓や肝臓での赤血球の破壊)が生じ、貧血(循環赤血球量が少ない)、血栓症(血の塊の形成)、疲労、その他の生活の質に影響を及ぼす消耗性症状が引き起こされます11-15。
毎年、全世界で100万人あたり約1〜2人が新たにPNHと診断されると推定されています11, 16。PNHはどの年齢でも発症する可能性がありますが、その多くが30〜40歳で診断されています17。
PNH患者の大部分は、抗C5抗体(エクリズマブまたはラブリズマブ)による治療にもかかわらず、貧血や疲労を呈し輸血に依存しており、PNHには抗C5療法では対処できない重大なアンメットニーズが存在します2,11-15,18,19。
iptacopanについて
iptacopanは、補体副経路のB因子を標的として阻害するファースト・イン・クラスの経口投与の治験薬です1-3。C5終末経路の上流で作用し、血管内だけでなく血管外におけるPNHの溶血も予防します1-3。このため、iptacopanは経口単剤療法としての選択肢を提供すると共に、PNHに関与する主要な生物学的作用の一部を標的とすることで、抗C5療法よりも治療上の利点があるのではないかと考えられています1-3。
ノバルティスのバイオメディカル研究所で発見されたiptacopanは、現在、腎臓病であるC3腎症、IgA腎症、非典型的溶血性尿毒症(aHUS)、膜性腎症(MN)、ループス腎炎(LN)、および血液疾患である特発性血小板減少性紫斑病(ITP)や寒冷凝集素症(CAD)など、重大なアンメットニーズが存在する多くの補体介在性疾患(CMD; Complement Mediated Diseases)を対象として開発が進められています。
疾患の有病率と第II相試験の肯定的なデータに基づき、iptacopanはFDAからPNHに対する画期的治療薬指定、FDAおよびEMAからPNHおよびC3Gに対する希少疾病用医薬品指定、EMAからC3Gに対するPRIME指定とIgANに対する希少疾病用医薬品指定を受けています20-23。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com
以上
参考文献
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- Novartis announces European Medicines Agency (EMA) has granted orphan drug designation for iptacopan (LNP023) in IgA nephropathy (IgAN). Novartis. Accessed September 22, 2022. https://www.novartis.com/news/media-releases/novartis-announces-europea….
- Novartis received European Medicines Agency (EMA) PRIME designation for iptacopan (LNP) in C3 glomerulopathy (C3G). Novartis. Accessed September 22, 2022. https://www.novartis.com/news/media-releases/novartis-received-european….
ノバルティスの経口治験薬iptacopan、補体阻害薬未治療のPNH患者において臨床的意義のあるヘモグロビン値の上昇を示す(PDF 362KB)