プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2022年12月13日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。本適応症は日本では未承認です。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。
- 前治療歴のあるPSMA陽性mCRPC患者において、[177Lu]Lu-PSMA-617と最善の標準治療(BSoC)の併用により、全生存期間及び画像診断に基づく無増悪生存期間を有意に改善したピボタル第III相VISION試験の結果に基づき欧州委員会で承認取得1
- [177Lu]Lu-PSMA-617は,治療転帰を改善する新たな治療選択肢に対する重要なアンメットニーズに応える、進行性前立腺がん患者に対する最初の標的放射性リガンド療法の市販薬2
- 進行度の低い転移性前立腺がん治療における[177Lu]Lu-PSMA-617の評価を目的とした更なる第III相試験が進行中
- ノバルティスは、がん治療を目的とした放射性リガンド療法の幅広いポートフォリオを有し、この治療に対する世界的な需要の高まりに対応するために製造能力の拡大に向けて投資中
2022年12月13日、スイス・バーゼル発—本日、ノバルティスは、欧州委員会が標的放射性リガンド療法であるlutetium Lu 177 vipivotide tetraxetan(以下、[177Lu]Lu-PSMA-617)を承認したことを発表しました。[177Lu]Lu-PSMA-617は、前立腺特異的膜抗原陽性転移性去勢抵抗性前立腺がん(PSMA陽性mCRPC)の成人患者の治療を適応として、アンドロゲン受容体(AR)の経路阻害剤を伴う又は伴わないアンドロゲン遮断療法(ADT)との併用療法として承認されています3。これらの患者は、AR経路阻害剤及びタキサン系化学療法を受けていました3。
この承認は、10月に欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が発行した肯定的見解に従い、欧州連合の全27の加盟国に加え、アイスランド、ノルウェー、北アイルランド、リヒテンシュタインにも適用されます。
欧州委員会の承認は、ピボタル第III相VISION試験の結果に基づいており、同試験では、AR経路阻害剤とタキサン系化学療法による治療歴のある患者に対して、[177Lu]Lu-PSMA-617と最善の標準治療(BSoC)を併用したところ、BSoC単独群と比較して死亡リスクが38%低下し、画像診断に基づく疾患進行又は死亡(rPFS)のリスクが統計学的に有意に低下しました(60%)1。ベースライン時に評価可能な病変を有していた患者の約3分の1(30%)が、[177Lu]Lu-PSMA-617とBSoCの併用により、客観的奏効(RECIST 1.1に基づく)を示したのに対し、BSoC単独群では2%でした1。
ノバルティス、欧州部門プレジデントのHaseeb Ahmadは次のように述べています。 「本日、欧州委員会が[177Lu]Lu-PSMA-617を承認したことは、代替治療法がほとんどない病期の進行性前立腺がんの患者さんにとって、大きなマイルストーンとなるものです。[177Lu]Lu-PSMA-617がこれらの患者さんに画期的な臨床的ベネフィットをもたらし、世界で3番目に多く診断される前立腺がんの治療を変革する可能性に期待しています4。」
2020年には欧州全体で約473,300人の前立腺がん患者、108,000人の前立腺がん関連死亡が発生しています5。転移性前立腺がん患者が5年生存する確率は約3割であり6、これらの患者に対する新たな標的治療選択肢に対する高いアンメットニーズがあります2。ノバルティスは、全世界の疾病の負荷の軽減、前立腺がん患者の延命、及び現在の標準治療の向上を目標として、放射性リガンド療法及びプレシジョン・メディスンによるがん医療の刷新を通じて、このニーズに応えることに尽力しています。
lutetium(177Lu)vipivotide tetraxetanについて
lutetium(177Lu)vipivotide tetraxetan(以下[177Lu]Lu-PSMA-617)は、標的化合物(リガンド)と治療用放射性核種(放射性粒子、この場合はlutetium-177)を組み合わせた放射性リガンド療法の静脈内投与です1。血中に投与された[177Lu]Lu-PSMA-617は、膜貫通蛋白質であるPSMAを発現する前立腺がん細胞などの標的細胞に結合します1。結合すると、放射性同位元素からのエネルギー放出によって標的細胞や近傍の細胞が損傷し、細胞の複製能力を阻害および/又は細胞死を誘発します3。
[177Lu]Lu-PSMA-617は、既に他の抗癌治療(アンドロゲン受容体経路阻害剤及びタキサン系化学療法)を受けたことがある前立腺特異的膜抗原陽性の転移性去勢抵抗性前立腺がん(PSMA陽性mCRPC)と呼ばれる進行性がんの一種を有する成人患者の治療薬として、米国、及び英国やカナダなどの他の国で承認されています3,7,8。
ノバルティスでは、進行度の低い前立腺がんにおける[177Lu]Lu-PSMA-617放射性リガンド療法を研究する機会も検討しています9,10。
VISION試験について
VISION試験は、治験群におけるlutetium(177Lu)vipivotide tetraxetan([177Lu]Lu-PSMA-617、7.4 GBqを6週間ごとに最大6サイクル点滴静注)と治験責任医師が選んだ標準治療(BSoC)を併用する療法の有効性及び安全性をBSoCのみの対照群と比較する、第III相国際前向き無作為化非盲検多施設共同試験です1。PSMA PETスキャン陽性のmCRPCでアンドロゲン受容体(AR)経路阻害剤及びタキサン系化学療法を受けた患者を2:1の割合で治験群と比較群に無作為に割り付けました1。主要評価項目はrPFS及び全生存期間(OS)でした1。本試験には患者831例が登録されました1。
ノバルティスと前立腺がん
前立腺がんは、2020年だけで140万を超える新規症例が認められ、375,000人が死亡しています。前立腺がんは世界の半数を超える112カ国で最も多く診断されているがん疾患です5。ノバルティスは、世界トップレベルの科学者、戦略的パートナーシップ、および業界内で最も競争力のあるパイプラインを通してイノベーションを起こし、前立腺がんにおける最大のアンメットニーズに対応するために、新たな標的療法およびプレシジョン・メディスンのプラットフォームの可能性を探索しています。標的療法という大胆な科学を通じて、私たちの目標は世界におけるこの疾病の負荷を軽減し、前立腺がん患者さんの寿命を延ばし、現在の標準治療を向上させることです。
ノバルティス及び放射性リガンド療法(RLT)
ノバルティスは、進行がん患者に対する放射性リガンド療法(RLT)により、がん治療のあり方を刷新しつつあります。RLTは、放射性同位元素の力を利用し、進行がんに応用することで、理論的には体内のあらゆる場所にある標的細胞に放射線を照射することができます11,12。ノバルティスは、放射性リガンド治療薬の生産拠点ネットワークにおいて、グローバルな専門知識、専門的なサプライチェーン、製造能力を確立しています。当社のRLTプラットフォームに対する需要拡大を支援するため、米国ニュージャージー州ミルバーン、スペイン・サラゴサ、イタリア・イブレアにおけるRLT生産能力の増強に加え、2023年に稼働予定のインディアナ州インディアナポリスにおける新しい放射性リガンド製造施設の建設に投資しています。ノバルティスは製造能力を拡大するための更なる機会を継続的に評価しています。
進行前立腺がんにおける表現型プレシジョン・メディスンについて
前立腺がん治療の進歩にもかかわらず、mCRPC患者の転帰を改善するための新たな標的治療選択肢に対する高いアンメットニーズが存在します。前立腺がん患者の80%以上は、前立腺特異的膜抗原(PSMA)13-17と呼ばれる表現型バイオマーカー13 の発現が高く、放射性リガンド療法の有望な診断(陽電子放出断層撮影[PET]スキャンによる画像診断)および治療の標的となっています18。これは、がん細胞における特定の遺伝子変異を標的とする 遺伝子型 プレシジョン・メディスンとは異なります19。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、これからの医薬の未来を描いています。私たちは、医薬品のグローバルリーディングカンパニーとして、革新的な科学とデジタルテクノロジーを駆使し、医療ニーズの高い領域で変革をもたらす治療法の開発を行っており、新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。ノバルティスの製品は、世界中の8億人以上の患者さんに届けられています。また、私たちは、ノバルティスの最新の治療法に多くの人がアクセスできるように革新的な方法を追求しています。約11万人の社員が世界中のノバルティスで働いており、その国籍は140カ国以上におよびます。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com
以上
参考文献
- Sartor O, J. de Bono KN, Chi K, et al. Lutetium-177–PSMA-617 for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer. NEJM 2021; doi: 10.1056/NEJMoa2107322.
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- Novartis Pharmaceuticals. An International Prospective Open-label, Randomized, Phase III Study Comparing 177Lu-PSMA-617 in Combination With Soc, Versus SoC Alone, in Adult Male Patients With Mhspc (PSMAddition). U.S. National Library of Medicine: Clinical Trials. 2021; NCT04720157.
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ノバルティスの[177Lu]Lu-PSMA-617進行性PSMA–陽性転移性去勢抵抗性前立腺がんの治療を目的とした初の標的放射性リガンド療法として欧州委員会の承認取得(PDF 356KB)