プレスリリース
報道関係各位
ノバルティス ファーマ株式会社
この資料は、ノバルティス(スイス・バーゼル)が2023年8月28日(現地時間)に発表したものを日本語に翻訳(要約)したもので、参考資料として提供するものです。資料の内容および解釈については、英語が優先されます。英語版は、https://www.novartis.comをご参照下さい。
- 非盲検継続投与試験であるORION-8において、スタチンに加えてインクリシランを年2回*投与した結果、6年以上にわたり一貫した低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下が示された1
- 患者の10人のうち8人がLDL-C目標値**を達成した。これは過去に報告された第III相試験の結果と一貫する1-3
- 長期安全性データは過去の試験結果と一貫しており、インクリシランの確立された良好な安全性プロファイルが確認された1-3
- 心臓発作や脳卒中の既往がある患者を含めた動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)患者の5人のうち約4人はコレステロール低下のためにスタチンのみを使用しており、推奨されているLDL-C目標値に達していない4
2023年8月28日、スイス・バーゼル発―本日、ノバルティスは、ORION-9、ORION-10、ORION-11、およびORION-3の継続投与試験であり、第III相非盲検試験であるORION-8から得た新たな長期データを発表しました。このデータから、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)患者、ASCVDと同等のリスクを持つ患者、又は家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)患者において、スタチン療法に加えて年2回*のインクリシランの投与により、6年を超えて一貫した低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の低下が得られることが明らかになりました1。結果は、2023年にアムステルダムで開催された欧州心臓病学会(ESC)会議でのレート・ブレーキングセッション(Late-breaking Session)で発表されました。
ORION-8は、これまでにインクリシランを用いて完了した臨床試験の中で最大規模の試験であり、3年間の追跡調査期間の総曝露量は8,500患者年を超えており、インクリシラン投与による一貫した長期有効性、安全性および忍容性を示しました1。完了済のノバルティスの4つの臨床試験(ORION-9、ORION-10、ORION-11、ORION-3)の患者は、さらに最長で3年間、6カ月ごと*にインクリシランの投与を受けました1,5。患者の約80%(78.4%[95% CI:76.8, 80.0])が事前に定めたLDL-C目標値**を達成し、平均でLDL-Cは約50%低下しました(49.4%[95% CI:48.3, 50.4])1。これらの結果は、移行前の臨床試験の終了時に観察されたLDL-Cの低下と同等であることから、一貫した有効性を示しています1-3,6。加えて、長期安全性データは過去の試験結果と一貫しており、インクリシランの良好な長期の安全性プロファイルが確認されました1-3,6。
ロサンゼルスを拠点とする心臓専門医であり米国国立心臓研究所の所長でもあるノーマン・レポール(Norman Lepor, M.D.)先生は、以下のように述べています。「今回の長期試験の結果は、ASCVD患者と心血管疾患の発症のリスクが高い患者において、スタチン治療に上乗せする形でインクリシランを年2回投与すると、一貫したLDL-Cの低下をもたらすことを示しています。」「LDL-Cは心疾患において最も容易に修正できるリスク因子の1つですが、多くの患者さんはスタチン療法のみでは推奨されているLDL-C目標値を達成していません。これまでに示されたインクリシランの長期有効性により、医療従事者による6カ月間に1回の投与頻度に対して、患者さんも医療従事者も自信を持つことができることを示しています。」
ORION-8は、インクリシランのコレステロール低下作用についてのエビデンス創出のために世界中の医療パートナーと共同で作り上げた大規模かつダイナミックな臨床試験プログラムであるVictORIONの一部の試験です。このプログラムには、50カ国以上、30本以上の臨床試験において、6万人を超える患者が登録されています7。
ノバルティスの循環器・腎・代謝領域開発部門統括責任者であるデビッド・スーゲル(David Soergel, M.D.)は以下のように述べています。「ORION-8の結果により、患者さんがLDL-Cの持続的な低下を達成するのを助けるという点でインクリシランのベネフィットが確認されました。LDL-Cの累積曝露は動脈内のプラークの進展や心血管イベントのリスクの上昇につながるため、このことは重要です。」「本試験は、広範かつ多様なASCVD患者集団を対象にインクリシランの使用を検討する、ノバルティスの現在進行中のVictORIONプログラムの中で蓄積しているインクリシランのエビデンスの一部です。」
インクリシランは、最初で唯一のLDL-Cを低下させる低分子干渉RNA(siRNA)療法です。米国、EUおよび中国を含む80カ国以上で承認されています8,9。米国では、FDAが2023年7月に添付文書の更新を承認しました。これにより、心血管イベントを発現していないものの、心疾患のリスクが高く、LDL-Cが高い患者に対する食事療法およびスタチン療法を補完するLDL-C低下療法として、インクリシランを早期に使用することが認められました8,10。
*初回および3カ月後の投与後。
**ASCVD患者の目標値は70 mgdL未満、またはASCVDのリスクが高い患者の目標値は100 mg/dL未満。
インクリシランについて
インクリシランは、初回投与、初回投与3カ月後、それ以降は6カ月ごとに医療従事者によって投与される皮下注射剤です8,9。医療提供者によって年2回投与される治療薬であるインクリシランは、コレステロール管理における一般的な問題である治療アドヒアランスの課題を解決するのに役立つと考えられます2.3,11。 インクリシランは、米国、EU、および中国を含む世界80カ国以上で承認されています8,9。
ノバルティスは、RNAi治療薬のリーディングカンパニーであるAlnylam Pharmaceuticals社とのライセンス・提携契約の下で、インクリシランの開発、製造および商品化の世界的な権利を取得しています。
ORION-8試験について
ORION-8(NCT03814187)試験は、18カ月間のプラセボ対照第III相試験であるORION-9、ORION-10、及びORION-11、4年間の第II相試験であるORION-3(1年間の第II相試験であるORION-1の継続投与試験)の3年間の非盲検継続投与試験です5,12。ORION-8試験は、最大耐用量のLDL-C低下療法にもかかわらず、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)、ASCVDのリスクが高い患者(糖尿病や高血圧などの併存疾患を有する患者を含む)、又は家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体(HeFH)であり、低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)高値の患者3,274例を対象に、インクリシランの長期安全性、有効性及び忍容性を評価しました5。2,446例の患者がDay 1080(3年)までの本試験を完了しました1。本試験の主要評価項目は、Day 1080又は最終投与から90日後のいずれかで定義される試験終了時に、事前に定めたLDL-C目標値を達成した患者の割合でした5。患者は移行前の試験の後、さらに最長で3年間、インクリシランナトリウム300 mgの年2回*(6カ月毎)投与を受けました3。注射部位の有害事象の発現割合は,ORION-9、ORION-10及びORION-11試験の併合解析のインクリシラン群では8%でしたが,本試験では5.9%でした1,8。
VictORIONについて
VictORIONはインクリシランの革新的かつ頑健な臨床プログラムであり、30本を超える試験から構成され、世界50カ国以上で6万を超える患者が登録されています7。本プログラムは、多様な患者集団におけるインクリシランによるLDL-C低下の基礎的エビデンスをさらに拡大するようデザインされており、ランダム化臨床試験、実装研究、リアルワールドエビデンス、一次及び二次予防における心血管アウトカムに対する潜在的ベネフィットの確立を目的とした複数の試験が含まれています。ORION-4(二次予防)、V(VictORION)-2-PREVENT(二次予防)、V-1-PREVENT(高リスク患者の一次予防)、V-INITIATE、V-INCEPTION、V-REAL、V-DIFFERENCE、V-PLAQUEなどの主要な試験による広範囲なデータを得るために、更に多くの試験が計画されています。
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD:Atherosclerotic cardiovascular disease)について
動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)とは、動脈内壁のプラークの発生及び進展により生じる様々な疾患のことを言います13。動脈硬化性プラークは、主に低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)で構成され、時間の経過とともに蓄積します13。LDL-Cへの累積曝露量は動脈プラークの増殖に比例し、進行により心臓発作や脳卒中などの心血管イベントの続発リスクをもたらします13,14。心血管疾患による全死亡の85%を占めるASCVDは、欧州連合における主要な死因であり、米国ではASCVDによる負担は他の慢性疾患よりも大きなものとなっています15-18。ASCVDと同等のリスクとは、ASCVDイベントと同様のリスクをもたらす病態(例:糖尿病、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体など)を指します2,18。
心血管領域におけるノバルティスについて
心血管(CV)疾患は、世界的な健康危機であり、全世界における死因の第1位です15,19。CV疾患による死亡者数は、すべてのがんによる死亡者を合わせた数よりも多く、世界で3人に1人がCV疾患により死亡しています15,19。すべての心血管イベントのうち、80%は予防可能です20。患者さんやその家族の暮らしをより良いものに、私たちの社会もより良いものにすべきです。
ノバルティスは、これまで受け継がれてきた歴史、世界的な生産拠点、そして最先端の科学を統合することで、この状況を変えられる独自の立場にあります。ノバルティスでは、生涯を通してCV疾患を管理する方法についての考え方に変革をもたらそうとしています。早期介入の導入、CV疾患の予防から管理まで対処する先駆的な治療薬の開発、革新的な医療アクセスモデルの作成などに取り組んでいます。ノバルティスは、社会との協働の方法を変えていくことで、健康アウトカムを改善し、CV死の危機を脱するための世界的な取り組みを主導します。
ノバルティスは、CV疾患による早期死亡を減らし、阻止することにより、人々の寿命曲線を改善することを目指しています。
免責事項
本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了承ください。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照ください。
ノバルティスについて
ノバルティスは、より充実したすこやかな毎日のために、医薬の未来を描いています。社会が直面する数々の重大な疾病負担を軽減するために、価値のある医薬品の創出を志し、研究開発における技術的リーダーシップと新しいアクセスの在り方を追求しています。新薬開発のために、常に世界トップクラスの研究開発費を投資しています。世界の約8億人の患者さんに当社の製品を届けるために、約10万3千人の社員が世界中で働いており、その国籍は140カ国以上に及びます。詳細はホームページをご覧ください。
https://www.novartis.com
以上
参考文献
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