MSL: 医師とのディスカッションを通し、疾患概念の確立に貢献したい。
メディカル本部 中枢神経メディカルフランチャイズ部 中枢神経リエゾングループ2
薬学部卒 2014年入社
科学的見地から疾患と向き合う
MSL(メディカルサイエンスリエゾン)の仕事は、疾患の治療に対して医師とコミュニケーションを取り、科学の観点から意見を交換し、医師の求める情報を提供する役割を果たすことです。私は多発性硬化症という疾患を扱うグループに所属していて、東北地方全域と都内の数施設の医師約20人を担当しています。ノバルティス ファーマのMSLは、プロモーション活動を主とする営業とは異なり、メディカル本部という独立した組織に所属しているのが特徴です。薬剤の価値の最大化を図るという意味で、MSLはあくまで科学的見地から疾患と向き合うため、製品にとって不利と思われるデータであっても、医師とのディスカッションの材料とし、長期的な視点で医師との信頼関係を深めることに注力しています。
私の扱っている多発性硬化症という疾患は、発症のメカニズムや病態がまだよくわかっておらず、難病指定されています。アンメットメディカルニーズ(十分に満たされていない医療ニーズ)がたくさんあり、医師とのディスカッションのテーマも多岐に渡ります。以前は治療薬もありませんでしたが、最近はノバルティス ファーマの扱う製品も含めて複数の治療薬が使われるようになりました。しかし、適切なタイミングでの治療や安全性の確保などについて未解明の部分も多いのが現実です。さまざまな治療を試してみて、初めて病態が分かってくるといった側面さえあります。それだけに、自分の活動が疾患の概念自体を形成し、確立していくうえで、とても重要な意味を持っているという実感を抱いています。一つの疾患ではありますが、医療の進歩・発展に貢献できていると感じられるのは、とてもやりがいのあることです。
社員にパワーがみなぎっている印象
私は英国の高校・大学を卒業したのですが、卒業を機にいったん帰国したいという思いがあり、日本で働くことを前提とした就職活動をしました。薬学を学んだので製薬会社を志望しましたが、ノバルティス ファーマを選んだのは、新卒でMSLを採用していたことがいちばん大きな理由でした。開発、学術、MRといった仕事があることは知っていましたが、MSLの仕事については知識がなく、科学をベースに医師とディスカッションできることが魅力的でした。新しい職種であり、自分たちで役割を作り上げていくことに惹かれたのも要因の一つです。また、ノバルティス ファーマは、単にグローバル企業というだけではなく、パイプラインが豊富にあって、会社に勢いがあり、社員の方々にパワーがみなぎっている印象を受けました。この人たちと一緒にいれば、前向きに働くことができそうだ。そんな気持ちになれたので、入社を決めました。
新人のMSLは、最初、先輩に同行して医師訪問をするのですが、半年後には自立します。一人で医師を訪問するようになってまもなく、私は大失敗をして医師から厳しく注意を受けました。会社として伝えなければならないメッセージがあったのですが、そのことに夢中になってしまい、医師の意見や反応をまったく無視してしまっていたのです。およそディスカッションする態度ではなく、深く反省させられました。一方、成功体験もあります。医師向けの講演会をしばしば開催していますが、参加した医師から「充実した内容の講演会だった」とお褒めの言葉をいただきました。開催するにあたって、講師を務める医師と時間をかけ何度も打ち合わせをしてきたので、苦労が報われた思いがしました。また、打ち合わせの過程で議論が深まり、講師を務めた医師と揺るぎない信頼関係を築くこともできたと思います。
小さな振り返りの積み重ねを大切にしてきた
日々の仕事では、常に振り返りを行うことを大切にしています。医師との面談においても、改善点はなかったか、次の機会にもっと上手くやるためにはどうすればよいかを考え、報告書とは別に自分のための記録をとっています。何か大きな新しいことを始めるのは勇気がいることですが、小さな改善を積み重ねることであれば自分にもできると思い、成長につなげることを目標にしています。またそのためには周りの意見も積極的に取り入れられるような、柔軟な心構えでいたいと考えています。
今後のキャリアについて、漠然とではありますが、英語を活かし、日本の状況を海外に発信していくような部署・職種に就きたいという夢を持っています。メディカル本部でいえば、MSE(メディカルサイエンスエキスパート)と呼ばれるノバルティスのグローバル本社の担当者や社内の他部門と密にコミュニケーションを取りながら、メディカルプランの策定や論文や学会でのデータ発表などを行う職種があります。MSL出身のMSEもかなり多いので、自分のキャリアの選択肢の一つとしてあるかもしれません。ただ、部署の壁を超えて、キャリアを築いている人たちが身近にたくさんいるので、私も視野を広く持ちたいと思っています。大きな会社だからこそ、さまざまなファンクションがあり、そこにいろいろなチャンスがあるはずです。私はロジカルシンキングやプレゼン力が不足していると感じているので、こうしたスキルを強化できるよう注力しビジネスパーソンとしての基礎力を高めて、将来に備えたいと考えています。