「多くの人への貢献」を目指して入社
4つの部署でキャリアを積む
入江 桃子
人事統括部
2008年に新卒でノバルティスに入社後、営業を皮切りに3つの部署を経て、3ヶ月前に人事統括部に異動しました。現在は、ノバルティスのカルチャーをさらに浸透させていく取り組みを軸に、働き方改革の推進、社員のウェルビーイングの向上を目指すプロジェクトなどを担当しています。
大学では化学を専攻していました。化学式は万国共通で、世界中のどんな人にも分け隔てなく役に立つものになり得ます。私はそんな化学が好きでしたので
「より多くの人に貢献したい」というパーパスを、心の中で醸成していたのかもしれません そんなこともあり、卒業後は研究職に就くのではなく、製薬業界の営業職を目指しました。数ある製薬会社の中からノバルティスを選んだのは、なんといっても「人と環境」に惹かれたからです。ノバルティスの製品開発力がほかの製薬企業と比べて群を抜いていることは、業界研究をしている時点でわかっていました。また就職活動中は、当時の面接官の新薬にかける思いがひしひしと伝わってきて、「この会社で働いてみたい!」という思いを強くしました。 今年で14年目ですが、異動が多いのは、昔から新しいものが好きで、いろいろな経験を積んで刺激を受け、引き出しを増やしていきたい、という思いが強かったからかもしれません。実際、異動のうち2回は、社内公募への応募でした。「急がば回れ」。遠回りをしながら仕事をすることが、自分のこやしになるのではないかと思っています。
ICUは「人ではないコーチ」 自問自答の確認ツール
ノバルティスでは、ICU(Inspired, Curious, Unbossed)の定義を詳細に社員に教えることはほとんどありません。ですから私も当初は、自分なりにUnbossed(主体性を持って自ら動く)とは何かを考え、かなりネガティブな印象を持っていました。「上司と部下の垣根を取り払うこと」がUnbossedの定義だと決めつけて、「そうは言っても、現実に上司は存在するんだし……。どうしたらよいか、わからないな」とモヤモヤしていたんです。そんなとき、グローバルのある社員の「私たちが行うすべてのやり取りがUnbossedの機会である。そしてその機会は、自分の視野を広げてくれるものだ」という話を聞いて、とても感銘を受けました。
また、こんなこともありました。オンラインの社内イベントの運営を担当していたときに、機材の不備でしばらくの間、映像も音声も配信できないというトラブルが連続で起きたんです。なんとか復旧してイベントは無事終了したのですが、かなりへこんでしまいました。そんなときに上司から「失敗は行動した証。そこから何を学んで、どう次の行動に移すのか。それを考えるのが、あなたの責任だよ」と言われたんです。
Unbossedという文字面だけで判断して「特別な何かを、自ら生み出さなければいけない」と思い込んでいたのですが、そうではない。これらの経験から、成功体験だけでなく失敗も含めたあらゆる行動で会得した学びをみんなで共有し、改善につなげていくことが「責任」であり、その責任をもって行動することがUnbossedだと、私なりに考えるようになりました。
もちろん、ICUの考え方は、社員1人ひとり違います。私にとってICUは、一言でいうと「人ではないコーチ」です。「誰かをInspired(自らを鼓舞し互いを刺激し合う)できているか?」「私はいま、Curious(好奇心を持つ)しているか?」を自問自答しながら課題に気づくための、確認ツールとも言えます。
一方で、ICUが広まっていくと、当然、社員それぞれに「ICUとはこういうものだ」という固定概念が生まれます。社員の数だけ、それぞれのUnbossedがあるということは伝えていきたいですし、自分の中の常識にとらわれすぎずに、広い心で受け止めてもらえるように導くことが責務だと思っています。
自分なりのICUを考えること、そしてそれは独りよがりにならないように、周囲のアドバイスが欠かせません。幸いノバルティスでは、上司も同僚も、そして部下にも、積極的に困っている人を助けたい、サポートしたいという姿勢が自然に備わっています。特にクロスファンクショナルのチームからのフィードバックは本当に有益で、いつも新たな気づきを与えてくれます。
私自身、できるだけ社員に声をかけるように心がけていますし、そんなときも、一定の回答しかできないような誘導尋問にならないように注意をしています。
“人生100年時代”を迎える日本で
社員それぞれが、生き生きと働くために
新しいものが好きなので、経験したことのない試みにチャレンジして、達成できたときには、やりがいを感じます。日本は超高齢化社会に突入し、“人生100年時代”を迎えようとしています。まさに、いまだかつて誰も経験したことのないほど、多くの人が長生きできる時代がやってきます。まずは製薬会社であるノバルティスの社員が生き生きと働いて、よりよい新薬を開発することができれば、それだけ日本の医療の負担を減らすことができます。
また、生き生きと働くためのノウハウを、講義や講演などの形で社外に発信することができれば、よりよい社会づくりに貢献できます。
ですから、全社員が長期的にベストなパフォーマンスができる環境を作ることを、自らの目標にしています。そのために、いろいろな立場や部署の社員からフィードバックを受けて、自己満足におちいらないようにすることを心がけています。
1000人いれば1000通りの「生き生きとした働き方」があります。全員の声を聞き入れてすべてを反映させるのは、現実的ではありません。生き生きとした働き方の定義は、全社員が自分自身で決めるものだと思っています。「自分にとっての生き生きとは?」「自分が生き生きと働くためには何が必要か?」を社員それぞれに考えてもらい、それをサポートするのが、私の新たなチャレンジです。
ノバルティスのミッションである「Reimagine Medicine - 医薬の未来を描く-」にも通じると思いますので、今からとてもワクワクしています。
私が行っている業務は、直接、患者さんや社会に貢献できるようなものではありません。いままでお話してきたように、間に介在するさまざまなステークホルダーを介して、少しずつ影響を与えることで、最終的によりよい社会づくりに貢献してきたいと思っています。
※本記事の内容は取材当時のものです。