メディカル・アフェアーズ本部
メディカルサイエンスリエゾン部
矢野 雄暉
MSL、メディカルサイエンスリエゾンの主な業務は、アンメットメディカルニーズと呼ばれる、疾患領域全体として満たされていない医療ニーズを特定することです。患者さんにより良い医療を提供することに貢献するために、例えば、ある医薬品がどのように使用されるべきか、どのようなデータがあれば患者さんに最適な治療を届けられるかなど、医師の要望に応じた情報提供や医師との意見交換を通じてニーズを特定し、課題を解決するための活動をしています。
日本の製薬企業に自社医薬品の販売促進に関わらないメディカル部門ができたのは、ここ10~15年ぐらいのことだと思います。現在では多くの企業がメディカル部門を設置していますが、新卒を採用する会社は、まだ少ないです。
私はノバルティスのメディカル部門に新卒として入社し、今年で4年目になります。ノバルティスは早くからメディカル部門に力をいれており、業界内でも規模が大きいと思われます。入社後の研修もしっかりしていると聞いていましたし、メディカル部門を志望していた私としては「これはノバルティスに入るしかない。」と思っていました。
人に何かを伝えることが好き
キャリアチャレンジデイ*のことは、営業部門の方々からお誘いを受けるまで全く知りませんでした。ノバルティスの社会的役割、社員の意志、そして求められる能力を中学生へ紹介するプログラムを通じて、がんについて知ってもらえる機会を作れるのではないか、とご提案いただきました。企画の話を聞いて「なんて私が好きそうな話を持ってきてくれたのだろう。」と思いました。
というのも、今の道とは別に、私には教師になりたいという夢もありました。大学に入ってからは、塾講師のアルバイトをしていました。元々、人に何かを伝えるということが好きでした。
ただ営業部門の方々は、そのことは知らなかったはずです。私はメディカル部門として、今回のキャリアチャレンジデイ*の1つのテーマであったメラノーマ領域に携わっています。営業部門の方々とは日頃の業務の関わりもあり、私に声をかけてくださったのかな、と思っています。企画に参加したいという旨を上司に相談したところ「他部署からそんな話をいただくことなんてない。是非やってみなさい。」と言っていただけました。
伝わりやすい言葉選びを意識
キャリアチャレンジデイ*で使用した発表スライドを作るのは大変でした。これまで、メディカル部門の他部署で作成・承認された資材を使って医師に情報提供をすることはあっても、自分で資材を作った経験はありませんでした。会社の代表として発表する以上、メディカルだけでなく広報部門としての視点もあり、コンプライアンス部門としての視点もありました。関連する様々な社内の部署に相談して回りました。
今回は紹介する相手が中学生ということもあり、伝わりやすい言葉選びを心掛けました。製薬業界は専門用語が非常に多いです。6年間塾講師をしていた経験から、生徒に理解してもらえないときには、説明している自分が悪いことが多いと感じていました。振り返ってみると、理解してもらえることが前提で話してしまっていました。発表の準備をするにあたり、どのような言葉遣い・表現であれば中学生が理解しやすいかを意識しました。
キャリアチャレンジデイ*の講義は3日程で計6回行いました。話す内容自体は同じでしたが、1日目2日目の生徒の反応から、どのような内容が気になっていたのかを本企画のタスクメンバーと共に考えました。回数を重ねるごとに、我々の伝えたいメッセージが明確になっていきました。キャリアチャレンジデイ*はコロナ禍における職場体験に代わるオンライン授業ということもあり、1日目2日目は、キャリアや仕事への質問がほとんどでした。それが3回目になると、がんに関する質問がとても増えたことに驚きました。キャリアチャレンジデイ*の枠組みとしてはもちろんキャリア教育がメインですが、がん領域に携わる製薬企業としてがんについて知るきっかけが作れればと思っていたので、生徒にメッセージが届いていたことを実感しました。
講義が終わったあとには、キャリアチャレンジデイ*に参加した生徒たちからたくさんのお手紙をもらいました。「今日の話を聞いて将来のことを考えようと思った。」、「自分にも救える人がいるかもしれない。」、他にも「人のために頑張りたいと思う気持ちを忘れないようにしたい。」といったコメントをいただき、読んでいるうちに涙が出そうになりました。
キャリアチャレンジデイ*に参加したことで、中学生のうちから薬や製薬企業、病気について知ってもらえる機会が作れましたし、私自身にとっても貴重な経験となりました。ノバルティスの社会貢献活動にメディカル部門の私が参加できたことも非常に嬉しいです。今回の企画のようにメディカル部門の活躍できる幅が広がり、今後も様々な方法で医療に貢献できればと思います。
* ©キャリアリンク株式会社