ノバルティスバイオメディカル研究所(NIBR)で循環器の研究をしているジェニファー・オルポート・アンダーソン氏が、今号の「ノバルティス提供:医療の未来を描く女性たち」で自身のキャリアについて語りました。
自身の目標達成のために最も役に立った自分の資質は何ですか?
情熱です。自分が情熱を傾けることができる仕事をする、それが大切です。そうすれば、どのくらいお金を稼げるかでキャリアを決める必要がなくなります。人は、お金では幸せになれません。
それから粘り強さです。科学は難しく、また私たちの仕事は簡単ではないゆえに、粘り強くかつ楽観的でなければなりません。私は大体において「グラスは半分も満たされている」と考える楽観主義者ですが、謙虚さも持ち合わせています。謙虚であることは大切です。世の中はありとあらゆるものの寄せ集めですが、私にとってはほとんど知らないことばかりですし、人それぞれに得意分野があります。(ノバルティスに)入社して間もないとか30年以上働いているとかは関係なく、学んでいかなければならないのです。私は常に(同僚から)学んでいますよ。
情熱を持って真剣に取り組めば、出来ないことはありません。
ジェニファー・オルポート・アンダーソン氏 循環器研究ディレクター
リーダーの地位に上って行くのにどのような決断が役立ったのでしょうか?
私は、自分がやりたいことをやるべきだと思っています。やりたいことを慎重に選び、チャンスを活かし、リスクを取る(ただし最初はリスクを小さくした方がよいでしょう)ことです。ただやみくもにチャンスを利用するべきだというわけではありません。気が散ってしまい集中できなくなるからです。自分が魅力を感じ、知らないことを学べると感じたチャンスを活かすべきです。私は社内異動を強く勧めます。違った環境や異なる考え方に触れることには大きな価値があるのです。
私が選んだのは、他人への思いやり、信頼です。仕事はひとりでに進むものではなく、人が行うものです。他人を信頼し、認め合うことで自身も報われ、他人の成功に喜びを感じることができます。そうすることで10倍以上の恩恵をあなたにもたらすでしょう。私は、自分の個人的な功績が認めてもらえているか、気にしたことはありません。必要とされているところで自分が好きなことをしてきただけです。
自分の功績だけを考える人は満たされることがないと思います。幸せを感じることもないでしょう。昇進したからといって、一体何になるのでしょうか。物欲を満たすことばかり気にしていると常にほしいものが出てくるので、個人的な充足感が得られることはありません。
人から受けたキャリアに関するアドバイスの中で、人に伝えたい最も良いアドバイスは?
一生涯変えることの出来ない決断はない。つまり決断を変えてもいいということです。転職を検討している時、昔からのメンターにアドバイスを求めました。彼は、「ジェン、君の一生の中でこれが最後の決断というわけではないよね。嫌だったら変えればいい」と言ってくれました。全くその通りです。
どのような姿勢を示すことが周り人の目標達成に役立つと思いますか?
はっきりしていることがあります。不平等、差別、セクシュアルハラスメントは絶対に容認できません。もしも見つけたらその場で警告します。私は声を上げることに躊躇しません。社員に対して支援システムを提供すべきであり、特に子育て期の社員にはそうするべきだと思います。私は二人の子供を働きながら産みましたし、授乳期間も仕事をしていました。他の女性たちと子育て期をどうやって乗り越えるかについて話し合うのは必要なことです。私は仕事をしていたからこそ良き母親になれたと思いますし、母親であったからこそ良いマネージャーになれたと思っています。
すべてをコントロールしようしたり、心配したりすることを止めるべきだと思います。人間には自主性と自由が必要です。最終的に一番大事なことは信頼です。「誠実ではないと証明されない限り人は善意で行動する」―私はどんな状況においてもそのような態度で臨んでいます。